5話 ---防御術教---
で、ハルはというと、魔力も纏わずにエルレン姉さんと対峙していた。
「ハル、エル姉さん。ちょっとタイム。」
ハルにアドバイスしておこう。
「ハル。カード当ての時にや出した『暖かいもの』があるだろう。あれを全身から滲み出せないか。」
ハルは「う~ん」と気張って何か出そうとしている。
お尻からナニカは出さないでね。
「そう気張らずに、自然に。そうだな、騎士フリードの鎧みたいに纏えないか。」
おっ!イイ感じ。
ハルの全身から赤い魔力がしみだしてきた。
が、無駄が多いな。
さらにイメージを附加させる。
「騎士フリードの鎧は、神の鎧だ。軽く薄いが鉄壁だ。」
魔力が無駄なく薄く全身を覆う。
最後の仕上げだ。
「神の鎧だから黄金に輝いているぞ」
魔力が赤から黄色に変化する。
「エル姉さん。これでお願いします。」
エル姉さんも何度かの打ち込みに手ごたえを感じているようだ。
ハルも流石に常時、黄色は無理なようで、剣が当たりそうな場合にのみ黄色に変化するようになっていった。
ここでもうひと押し
「ハル!神の鎧は『剣をも弾く!』」
もうすでにエル姉さんは寸止めをやめているが、その刃が弾かれている。
僕の言葉ごとに付加されたイメージは、防御強化術として完成されていった。
イメージしやすいように『騎士フリードの神の鎧』としてみたらうまくいったな。
流石に『エネルギーゼロ』や『瞬時発動』のイメージは附加できなかったが。
「団長~。ハル君、防御強化術マスターしちゃいました~。1日。いえ、1時間もかからずにマスターしちゃうなんて……。私の入団当初のあの数週間は一体なに?」
こっちも涙目になっていた。




