4話 ---防御術解---
この防御強化術。実は土魔法の応用だ。
ここから導き出されるもの。
曰く、土魔法は『土』を扱うものにあらず。固体操作だ。
体に『硬い物をこれ以上通さない』魔力を纏う事で防御していると言うものだ。
まずはそれを実践して見せた。
まず魔力を纏い、それを黄色に変色させる。
そこに先ほどの指向(思考)を乗せる。
実際に剣が触れているわけではないが、当たる感触が出てきた。
常時発動が出来れば、次は瞬時発動を試してみる。
剣が振るわれる瞬間にだけの発動だが、これにはプログラム的な指向(思考)を使う。
纏う魔力を最小にして『硬いものが近づけば、硬い物をこれ以上通さない魔力をその場所に集中する』とする。
ん~。いい感じに反応しているな。魔力消費も抑えられた。
「ウル姉さん。今度は寸止めでなく、当てるように出来ますか。」
この防御だと、運動エネルギーはそのまま伝わってしまうので、少し魔力の質を変えてみる。
『硬い物の運動エネルギーをゼロにする』
もちろん、完全にゼロにできるわけでなく余剰エネルギーが音となって拡散してゆく。
なので鎧をまとっていないのに「キン」「カキン」と音がする。
剣自身は体表上で一瞬止まるのでウル姉さんはやりにくそうだ。
さらに『硬い物を跳ね返す』魔力に変える。
反応装甲の概念だ。
ウル姉さんは最初は戸惑っていたが、次第にその反動を利用して次の斬撃につなげるようになっていった。
それならば
先の『ゼロにする』魔力も取り混ぜて対応すると…
跳ね返るかと思えば剣が止まり、止まるかと思えば跳ね返される状態で、ウル姉さんは調子狂いっぱなしにされる。
結果
「こんな瞬時の防御切り替えは私には無理~! 団長!ヒロ君にはもうこれ以上教える事がありませ~ん。」
というわけである。




