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フレイザル様、脅される。

僕は何とか二人を止めることが出来たので式典の話をすることにした。


「やっぱり僕には無理、弟たちに任せた方が……」

「フレイザル、大丈夫、お前はやればできる子だ、それに俺がちゃんと近くにいてやるから」

「……兄様」


僕の前髪を退かし覗き込むとグラフィンは優しく諭すように微笑んでくれる。

かっこいい、幼い頃のように抱きつきたいのを堪えて僕は頷いた。


「それにしても……フレイザル様ったら私には頬を染めないというのに、お兄様には赤くなるなんて……」

「っ、だって兄様は僕の憧れの人だし……ぁ」


ニヤニヤと笑うリリフに焦って答えると兄様と目が合って顔に熱が集まる。


「……相変わらず、お前は可愛らしい」


ますます優しげに見つめられてどうすればいいか分からない。


「そんなことよりもフレイザル様、お手紙が三通、届いていますわ」

「え、誰だろう、弟たちかな……っ」


弟たちじゃない。

差し出された手紙を見ただけで、それだけはわかったけど微かな不快感に襲われる。


「いいえ、差出人の名前がないので一応、毒や呪詛の類いはないか調べさせましたが問題ありませんでしたわ」

「そうか……フレイザル、大丈夫か顔色が悪い」


どうしてか、分からないけれど僕は手紙や人間、料理に至るまで自分に対する悪意を感じることが出来た。

だから、もし毒や呪詛が込められていても危険かどうかは本当は自分で判断できるけどリリフはきちんと調べてくれる。


「ん、いつものだから……」

「……ではフレイザル様にとってはよくない内容の可能性がありますわね、手紙は読まずに」

「平気だよ、確かに毒とか呪詛の感じはしないし読むぐらいなら」


封をきって中に目を通すと三通とも似たような内容だった。

式典の祝辞を辞退しろ、さもなくば命はない。


「こ、これは脅迫状、よし、すぐに辞退しよう」

「迷いなくお決めになりましたわね、フレイザル様」

「可哀想に怖がることはないぞ、差出人を探し出して俺が消し炭にしてやろう」


さわやかな笑顔と台詞が噛み合っていない気がする……守ってくれて大事にしてくれているのは解るんだけど兄様はやり過ぎてしまう。


「焦がす程度で、お願いします」

「刺客にまで優しいなんて、やはりフレイザルは可愛いな」


優しいとかではなくて容赦なしの兄様の制裁が全て僕が命じたことになっていて怖がられる一因になっているからなんだけど。


「辞退は諦められた方がいいですわ、フレイザル様、観念して練習の続きをなさいませ」

「ど、どうして?」

「私が許しません、何よりおば様が許さないでしょうね」

「なら父様に……いうしか、っぶ」


リリフの表情が抜け落ち目が座り片手で僕の頬を掴んだ。


「……国王様になんですって、まさか政務がお忙しい陛下に泣きつき、お心を痛めようなどと?」

「おい!!、リリフ、手を離せ!!」


兄様が止めようとしてくれているが、ギリギリと頬を掴んだ手に力が入れられる。


「そんなことをなさったら私、フレイザル様を消し炭にしてしまいそう」

「しにゃい、とうしゃまにはいわにゃいからぁ」

「よろしい」


リリフが満足そうに笑顔で頬から手を離す。

笑顔が恐い、震えが止まらない、頬っぺたが痛い。


「フレイザル、こっちを向きなさい、可哀想に赤くなってるじゃないか」

「フレイザル様は男の子ですもの、それぐらいなんともないですわ」


リリフはグラフィンに吐き捨てるように言うと三通の手紙を掴む。


「それにフレイザル様の騎士であるお兄様が、お守りすればいいだけのこと手紙は見なかったことにいたしましょう」

「ぁ!!」


リリフが掴んでいる部分から手紙が燃え始める。

あっという間に三通とも、リリフの手の中で消し炭なっていった。

辞退してもしなくても命の危機なんて憂鬱すぎる。


「おなかいたい」


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