Ⅲ■① 結社
部活の帰り、誰かにつけられている感じがした。
「おはよ」
「おはよ!」
私の少し後に着いた友達のアメリアが挨拶して席に座る。
「最近、女子ばかりを狙った事件が多発してるらしいぜ」
「彼女の送り迎えしてやらなきゃな」
「お前彼女いねーじゃん」
「うっせー!」
男子たちが自虐ネタ漫才をしている。
「男子ってガキばっかだよね」
「アメリアちゃんは大人の男がお好みで?」
「うん。あ、ルミアの近所にいるイケメンみたいな」
私の近所にいるイケメンといえばアスタさんのことだろう。
「で、そういうルミアはどんなのが好き?」
「寂しそうな人かな」
教室の隅っこにいる子とか放っておけない。
「ルミア、風紀委員になったら?」
「ムリムリ、部活忙しい」
さすがにそこまでの献身さはない。
「じゃまたね」
「うん」
アメリアに手をふり、部室へ入る。
「よっす」
「おはよーございまー!」
女子柔道部の先輩たち、もうすぐ卒業なんだよなあ。
「す。まで言えよ~!」
「あはは!」
部活終わりに皆が学園内のシャワーを浴びて、それぞれ帰宅する。
「あ、ルミアちゃんおかえり」
「アスタさん、いつもは寝てるのに珍しいね」
「まあさっきまで縁側で寝てたけど、もう夕方だからさ」
なら縁側から玄関のある門まで出たのはどうしてだろう。
「最近は物騒だし自宅警備も兼ねて近所警備みたいな?」
「へー」
「この頃は事件も多いけど、特に君みたいな若い子が気を付けないと」
たしかに柔道を習っていても、護身術ってわけじゃない。
「うん」
私がチャイムを鳴らすと母が鍵をあけた。