Ⅰ★①理系、文系、探偵、見習い
ある中学生の双子の姉弟がいました。
姉はミステリー小説、弟は刑事ドラマを観て呟きます。
「探偵ってカッコイイね!オレもなりたい!」
弟はお菓子を食べながら目を輝かせて探偵への憧れを語ると、探偵になりたいと言い出しました。
「弟、探偵になりにいこう」
「うん、なりたい!」
姉は弟の手を引いて、家を飛び出します。
たどり着いたのは狭くて人気のない場所でした。
「あっ探偵のオッサンが事務イスにすわってる」
弟はオーナーと思わしき男に指を差す。
オッサン、と言われてもオーナーは二十代の男でした。
「…結構タイプかもしれない」
姉はひそかに頬をそめます。
「探偵さん!!弟子にしてください!!」
姉弟はぺこりと頭を下げました。
「俺は弟子を取らない主義でな」
「えーなんでですかー!?」
「その根拠は?」
断られた姉弟は探偵の男に詰め寄り理由を聞きそうとします。
「とらないものはとらない」
探偵はしっしと追い払うのでした。
「その理由を三十字以内で」
「ほら、そのほうが探偵って感じに格好よくキマるから…」
「答えになっていない」
姉の方がぐいぐい迫るので探偵は焦ります。
「さっきからお前は、理科教師並みにムカつく事を…」
探偵が苦虫を噛み潰したような顔になるのでさすがに姉弟は一方引きます。
「探偵さん、理科の先生にうらみでもあるの?」
「ああ理科だけは成績が…って教えるか!」
どうやら探偵は学生時代の理科の成績がよくなかったようでした。
「私達は弟子になりたいわけじゃなく探偵になりたくて来た。
だから探偵の伊呂波を教えてほしい、それだけです」
「え?弟子じゃなかったんだ」
「世間ではそれを弟子って言うんだぞお嬢ちゃん」
探偵が折れて晴れて二人は探偵の見習い、弟子になったのでした。




