呪い屋④
大地の病室を後にした俺は、一人で家に帰る。
まだ、外はほんのり明るい。この時期だからか。
赤い陽を見てちりり、と頭が痛んだ気がした。
ちりーん。ちりーー...ん
?鈴の音が聞こえる。なんとなく気になって音を頼りに裏道にはいる。
『呪い屋』
のろい、や?
なんだか凄い名前だ。店主は明らかに商売をする気はないのだろうと思う
そんな時、一人の女の子が古い木でできた門の扉を開いて出てきた
「ハザマさん!ありがとーヒカゲ様もまたね!」
大きな声で恐らく門の中にいるであろう人物に声をかけている。
しばらく見ていると女の子は俺に気がついた
「あれ?お兄ちゃんもハザマさんに用事?」
違う、という前に女の子はハザマさんという人物にお客さんだってーと声をだした
ニコニコと笑う少女とお客さんと言われた手前、素通りも出来ず話を適当にして帰ろうと門をくぐった
一言で言えば不思議。何だかよくわからないものがごちゃごちゃ置かれているかと思えば、消しゴムやペンのような文房具もおいている。
奥に入ると、畳の敷かれた段差がありそこにその人はいた。
白すぎる肌に、真っ黒い髪。その髪はかなり長くその人は座っているので詳しい長さはわからないがもしかしたら地面につくくらいかもしれない。
しかし、不思議ともさい感じもうっとおしくも感じない。とても綺麗につやつやと光っているせいかな、とぼんやり思う
服は巫女さんがきるような服に着物を羽織っている
その横に置かれた大きめの台の上には無愛想な猫がいる。
「こんにちは。あの、俺は。」
「ああ、大丈夫。りこちゃん、あ...さっきの女の子ね。あの子が早とちりしたんでしょう?ごめんね。ありがとうあの子と私を気遣ってくれて」
その人は、女の人にしては低い声で優しく言った
よく考えてみれば、体つきも細いが華奢という感じではない。男性だろうか?
親しくもないのにそんなことを聞くのもあれなので触れない
「ここって看板に呪い屋ってかいてたんですけど」
俺がそういうと、その人は可笑しそうに目を細めてコロコロと笑った
「ふふ。そうだよね、そう読めてしまうよね。でもここは呪い屋さ。自己紹介が未だだったね。私はハザマと呼ばれているよ。この猫はヒカゲ。君は?」
呼ばれている、という言い方に引っ掛かりはしたが、女の子りこちゃん?もそうよんでいたし深くはつっこまない
「あ、俺は夕陽 日暮です。」
この出会いが後に大地を救い、俺の人生を変えるなんてちっとも考えていなかった。