第三話 イリア達との出会い
遅れました。スミマセン。色々と考えて、少し話しを変えました。
最強ぶりはまだ先になりそうです。
大勢の人が並ぶような整然とした音が聞こえた。それは自分の真後ろの中央通りから聞こえてくる。後ろを見ずとも俺にはわかった。今、後ろに居るのは俺を捕まえにきた兵士達か、あるいは、少なくとも自分に関わってくる奴らだということを……
俺は何もせずに待つことにした。もし俺に関わりのある奴らだとするなら勝手に干渉してくるはずだ。それに…………俺から話しかけて予想が違かったら恥ずかしいしね。
ガシャッガシャッと鎧が揺れる音がする。一人、こちらに向かってきてるようだ。やはり俺の予想は正しかった。
「おっ、おいおい兄ちゃんあんた、まさかなんかやらかしたのかい?」
オッサンは俺のことを兵士達がわからないように囲んでいるのがなんとなくわかるのか俺に心配そうな声で聞いてくる。…………いや、違うか、オッサンは明らかに怯えている。俺に近づいてくる……一人の人物に。
だから俺は何でもないように笑って振り向きながらこう答えた。
「別に何もねぇさ、心配すんなオッサン。」
「それで?何か用か?…女」
憮然とした態度でそう言う。
目の前には首下あたりまで血のような深紅の髪を伸ばしているどこかの令嬢と見間違えるほどの美しさをもつ女兵士がいた。とても気品があり、厳しめな印象を受ける。腰には長めの長剣を携えていた。彼女はちょうど声をかけようとしたタイミングで俺が振り返ったからか、ほんの少し戸惑っていた。
「あっ………いや、済まない、食事を邪魔するつもりではなかったのだが……」
「………ハッ…こんな大勢で民間人一人囲んでおいて邪魔するつもりはない?頭のネジがいくつか飛んでるんじゃねぇのか?」
「ちょっ!?アンタ何様のつもり!?総長は…「止めろ!!!」……ッ!ですが、総長!」
さらに後ろにいた四人組の兵士のうちのこれまた女がなにか言いかけてくるが、目の前の女兵士が止める。どうやらこの女兵士が今この場で一番偉そうだ。後ろの四人組もそれ相応の身分ぽいが、それは今はどうでもいい。
「彼が私達の求めている予想通りの人物だとするのなら、我々のことを知らずとも無理はないだろう?」
「……ッ………確かに……そうですね………申し訳ありません総長。」
(…………?………求めている予想通りの人物?…………知らなくても無理はない?……………なるほど、とすると国がやったのかどうかはわからねぇが少なくともこいつらは俺の召喚に関わってる匂いがするな。)
「度々済まない、あれは少々気性が荒くてな、私のことを馬鹿にしたりする輩がいるとすぐにああなってしまう。」
それは暗に自分のことをバカにするなと言っているのかしら。
「部下の躾はちゃんとしておけよ女。それで?二度も言う趣味は無ぇんだ。とっとと用件を言えよ。」
「ああ、私の名前はイリア、イリア・フォル・エイデルフェルトという。この国を守護するオーディオ剣兵隊の総長を務めている。それでだな、その、つかぬことを聞くが、君は見慣れない服を着ているな?私達は今、兵を率いてある人間を探しているのだが、その人間は特徴的な姿をしていてな。なに、犯罪者というわけじゃない。だからもし良ければその帽子を取ってはくれないか?」
憮然とした態度にも怒らずに普通に自己紹介してきたか。まぁその程度の人間性がなきゃ、総長とやらも務まらないだろうが、………それにしても帽子を取れ、ね……フードのことだろうがこいつらの言ってることはよくわかる。ここまでずっとこの国に入ってから観察していたが、来る人、行く人全員に黒髪の奴が一人もいない。目の前のイリアとかいう赤髪のような奴みたいにどいつもこいつもぶっ飛んだ髪色の奴ばっかりだ。こいつの言い方からすると、まるで髪を見れば誰だかわかるような言いぶりだ。つまり…………俺の前に共通点を持ってるような奴が喚ばれてるってことか。
っていうかこいつ確信犯だろ!前に同じような奴が来てんなら、服見れば一発じゃねえか……。どっちにしても今は王に会ってみたい。不本意だが協力しとけば会えんだろ。
「別にいいぜ。」
そう言って俺は気だるそうにフードを取った。そこには…………。
今、総長率いるオーディオ剣兵隊の一行は城へ向かうために中央通りを歩いていた。城へと繋がるこの国で最も大きい道を歩いているその姿はなるほどこの国を守護する兵士達だと言うだけのことはある。その兵士達の前方にはイリアとともに四騎士と、そしてロイも一緒にいた。それぞれ四騎士達とも自己紹介も終わり、王に会うために歩みを進めている。
「あいつ、何か変よね。」
「ああ、勇者ってことは間違いねぇんだろうが、どうにもな……」
その中でリーゼとゼイドはロイに聞こえないように注意を払いながらさっきの出来事について話していた。
…………………………………………「別にいいぜ。」
そう言いながら帽子を取ったロイの素顔を見て、イリアや四騎士、周りにいる兵士達や民達も驚いた。顔立ちは前の勇者と共通している部分を感じるが、とても整った顔をしている。普通……とは言えない顔だ。しかし何よりもイリア達を驚かせたのはその渋みのある光沢が見える銀色の髪だった。前の勇者の髪色は黒だったし、それ以前にイリア達はこんな色の髪は見たことがなかった。
(……やはり、彼は勇者だ……!)
心の中でイリアは最大の確信を感じる。見たこともない服、勇者に似ている顔立ち、この世界の住人にはいないような髪の色、これだけ珍しい要素が揃えば彼女がそう思うのも無理はなかった。そして次のロイの一言でさらにイリア達は驚くことになる。
「多分、アンタ達が探している人間ってのは俺のことで合ってると思うぜ。」
「なっ!!」
「アンタ達が探してんのは…………勇者だろう?」
そう言ったロイの言葉にイリア達は絶句する。なぜそれを知っているのか、口に出そうとするが寸前で飲み込む。勇者召喚の話は国の上層部しか知らない。そして自分達が今勇者を探しているのも民達に知らせていたわけでもない。仮に勇者本人だったとしてもこの世界に呼び出されたばかりだ。魔族と戦うための勇者として呼び出されたなんてことを知っているわけがない。イリアは薄ら寒いものを感じるがこのままのわけにもいかない。とりあえず話しを進めることにした。
「あ、ああ、その通りだ。私達が探しているのは勇者だ。どうして君がそれを知っているのかはわからないがその情報は機密だ。あまり大きな声で言わないでくれ。」
「OK わかった。…………それで?俺はお前らについていけばいいのかな?」
「ああ、できることならそうして欲しい。」
「そうか、なら、とっとと行こうぜ?」
そうして今の状況に至るオーディオ剣兵隊の兵士達だった。
「なぜあの人は勇者を探していることを知っていたのでしょうか?」
クリスがゼイド達に問う。
「さぁな、そんなもん知ってるわけねぇだろうが、そんなことより、俺はあの野郎の落ち着いた態度の方が不思議だ。」
「不思議って?どうしてよ?」
「お前な~、ったく、……俺達は勇者召喚の儀式が失敗してどっかに勇者が飛んでっちまったから探しに来たんだろうが。つ~ことはあの野郎は急になんも知らない地に来たってことだぞ。」
「そんなこと言われなくても知ってるわよ。バカじゃないの?それに失敗はしてないし、そんなのユウトやアスカだって一緒だったじゃないの。」
「バカはお前だ。バカリーゼ。」
「………ッ、そういうことですか、ゼイド」
クリスがなにかに気づいたようにゼイドを見た。
「クリスは気づいたか。わかってねぇのはお前だけだな?バ~カリ~ゼ?」
「う、うるさいわよ!いいから早く言いなさいよ!ボケゼイド!」
「うっせ、声デケーんだよ。………いいか?ユウトもアスカも喚ばれたときは自分の状況がわからなくて半狂乱だっただろうが。それを落ち着かせることができたのは王様や総長に、レイナ師、俺らがここがどこでなんのためにの喚んだのか懇切丁寧に説明してやったからだろ?でもあの野郎にはその説明する奴らはいなかったんだ。普通だったら発狂してもおかしくねぇだろうが。なのにあいつにはそんな様子がこれっぽっちも見当たらねぇ。飄々とした態度でいやがる。な?おかしいだろ?」
「む、たしかに、そう言われてみるとそうね。」
「だろ?それにあいつは……………」
「そうよね、普通だったら…………………」
「ではこういうことでは?……………………」
ガヤガヤ、ガヤガヤ
ロイは四騎士の前を歩きながら思う。
………………………………………全部……聞こえてんだけど。
sideロイ
後ろの奴らの話しを暇つぶしに聞いているうちにいつの間にか城の前まで着いていたみたいだ。すごく大きな広場だ。ここも人通りが多い。城の前に半円状の階段がある。広場のどこからでも城に上がれるようにしてるみたいだ。階段を上がると広場からでも見えた大きな門がある。上がりきったところでずっと気になっていたことをイリアに聞くことにした。
「なぁ、詳しいことは聞かずについてきたが、お前らの王様とやらはなんのために俺を喚んだんだ?そしてこれから何しに行くんだ?」
何のために喚んだか、まぁなんとなく想像はついているが一応聞いておきたかったことだ。
「それはオーディオ王に会って、直接聞いた方がいいと思うぞ。」
イリアは答えない。別にいいがな。どっちにしろ聞くことだけ聞いて、何頼まれようが断るつもりだから。だいたい王っていう人種は信じるに値しない奴が多い。どうやって断ってやろうかな。
城に入ったところで下っ端兵士達とは別れる。王様の部屋に行くのはイリアと四騎士だけだ。城は四角い造りだった。周りに建物があって、建物からは中央の庭が見える。イギリスっぽい建物だ。庭もありえない大きさ、あれで庭とか(笑)、もはやあれは自然公園だと俺は思うけどな。城は3階建てのようだった。色々な区画に通じてそうだが、城の中からはわからない。王様の部屋は3階の奥らしい。
階段を上がって奥の扉を開けると、突然風に打たれた。目の前にはまた階段があるが、ここは中だぞ?なんで風に打たれるんだよ。そう思ってよく周りを見ると………………ここは空中だった。
階段から下を見てみると森が一面に見える。どうやらここは、国に入る前に見た地平線まである森を見ることができた崖から飛び出しているらしい。崖に面している国だとは思っていたが、まさか王の間だけ崖から出ちまってるとは、流石にビックリだ。
上りきると塔が建っている。下の森から建てられているみたいだ。ここが王様とやらのいるところか。………………俺、ワクワクしてきたぜっ
「大丈夫か?緊張していないか?」
扉の前に立つと、イリアが聞いてくる。
「誰に言ってんだ?早く扉開けろよ。」
不敵に笑いながらそう言う。
「その様子なら平気そうね。総長、行きましょう?」
「すげ~面倒くさそうなことになりそうだと思うのは、俺だけか?」
「ゼイド、大丈夫、私もです。」
後ろで四騎士が喚く。
「ふっ、では……行くぞ。」
待ちに待った王の間への扉が、 イリアの手で…………開け放たれた。
まあ、こんな感じです。少し書き方も変えたりしてます。感想とか意見めっちゃ待ってます。
あとがきとかまえがきってこんな感じでいいんですよね?
なに書くんだろ?小説への情熱とかかね?