うさぎ、戦う
「ノノさん! ノノさぁぁんッ!」
「だ、ダメだシェリー、まだ妖狼がいる!」
我を忘れてノノに駆け寄ろうとするシェリー。だが妖狼は未だ健在なのだ。幼馴染を危険に晒す訳にはいかない。必死に押し留めるジャスティン。
だが無理もない。酷い有様だった。
全身に打撲を受け、顔は腫れ上がって変形している。噛み付かれたのか左腕はズタズタで、 だくだくと血を流し続けている。もはや無傷の箇所を探すのが困難な程だ。魔法使いを一人にさせてしまった結果がこれだ。余りの痛々しさに歯噛みするジャスティン。シェリーが居なければまずジャスティンが我を忘れていただろう。
だが、その妖狼も無傷ではない。両眼は火傷で焼け爛れているし、何処かに傷を負っているのか口の端から血を垂らしている。どのようにしてなのかは不明だが、ノノはそれなりにダメージを負わせることに成功したらしい。
もはやこれ以上は危険だ。一刻も早くノノを取り返し、手当てをしなければ。
しかし、ジャスティンとシェリーは気が付かなかった。もちろん、妖狼に怯えて腰を抜かしている大鼠人にも気が付きようがない。
怪我が浅過ぎるのだ。脆弱な魔法使いが妖狼に単独で立ち向かい、この程度の怪我で済んでいることは異常なのだ。ましてや駆け出しの冒険者であるはずのノノである。あっという間に全身をバラバラにされ、既に獣の腹の中に収まっていてもおかしくはない。それが、怪我を負いながらも未だ対峙している。
「────え?」
ノノが立ち上がろうとしていた。
震えながらも、ゆっくりと体に力を入れ立ち上がる。血液が左腕を伝い糸を引く。瀕死の有様だというのに歯を食いしばり、まだ立ち上がり戦おうとしている。
ジャスティンたちはようやく気がついた。こちらに気が付いていないはずがないのに、妖狼はこちらを一瞥もせず瀕死のノノに対峙している。目の前の獲物が未だ牙を向き、刃向かう意思があることを分かっているのだ。当然獲物が立ち上がるのを待つ気はない。今度こそ息の根を止めようと牙を向き──
「《火球》ッ!!」
シェリーから放たれた火球を、当たり前のように避ける。
だがその隙にジャスティンはノノを抱きかかえ、距離を稼ぐことができた。
「ノノさん! 聞こえますか!?」
決して揺さぶらぬよう、しかし意識が怪しいノノに届くよう必死に声をかける。
「僕たちが来たのでもう大丈夫です! すぐにジェフリーさんとロゼッタさんも来ます! それまでなんとか──」
安心させようと現状を告げる。だが、ノノは聞こえていないかのように呼吸を繰り返している。どこか遠くを見つめながら呼吸を整えようとしている。
「これは……!?」
ノノから淡く光るオーラが放たれていた。それはノノの呼吸が整うごとに強さを増して行き、傷口を覆うとゆっくりと癒し始めていた。
武僧が技能の一端。魔力を活性化させ体内を循環させることにより、自己治癒力を急激に高め怪我を癒しているのだ。
ジャスティンが辺りを見回すと、この広場の至る所に血の跡がある。おそらく負傷する度に体を癒し、戦い続けていたのだろう。
しかし──
「これ以上はいけません! このままでは貴女の命に関わります!」
それは諸刃の剣だ。本来生物は少しずつエネルギーを消費して体を癒すもの。それを強制的に早めればエネルギーを急激に消費し、いずれ枯渇を招く。それに失われた血液も戻らない。このまま怪我を癒し続けていれば魔力も体力も何もかも使い果たし、やがて死を招くだろう。
何がそこまで彼女をそうさせるのか。ジャスティンには全く分からない。一旦下がり、手当を受けて全員で立ち向かうべきだ。それが生き残るには最善手だと思う。それなのに、これではまるで一人で戦おうとしているようだった。
「……意地なの……これ、は」
ノノから声が漏れた。ジャスティンの予想を裏付ける言葉。
「どうもあいつは……前に傷つけた私を恨んで……ずっと憎んでいたの。だから……私のせいで、この事態に……」
だから。だから一人で戦おうというのか。こんなにボロボロになってまで。
「もうそんなことを言っている状況ではありません! どうか手当を──」
「それ、に……」
訴えるジャスティンを遮り、ノノは言う。
「……あいつが許してくれないの」
は、と我に返るジャスティン。妖狼が徐々に距離を詰め、攻撃体制を取ろうとしている。このままでは二人とも危険だ。
「一撃は、一撃だけはなんとか凌いでみせます。ですからどうか、その隙に下がってください」
まるで嘆願だった。青年はこれ以上少女が傷付くのを見たくないのだ。少女の体を静かに横たえ、敵と対峙する。長剣を構え、受け流しに専念する。できるかどうかは考えもしなかった。できるかどうかではない。やるのだ。やらなければならない。
突如現れた邪魔者。それにイラつくように顔を歪め、腕を振り上げる妖狼。
『──ガアアァッ!』
虫ケラを払い除けるかのような一撃。それが幸いし、ジャスティンはその攻撃を視認し剣を合わせることができた。獣の腕に刃を合わせたというのに全く傷を与えられず、それどころか強烈な衝撃が剣を握る両腕に伝う。
「く──う」
辛うじてそれを受け流し、凌ぐことができたジャスティン。だが腕はびりびりと痺れ、なんとか剣を握っているという有様だ。
(こんな──こんな力で殴られて──)
敵の攻撃の重さに驚くよりも先に、ノノがこの攻撃を受けていた事実に憤る。もっと早く来ていれば怪我をせずに済んだかもしれないというのに──
当然それはジャスティンの思い上がりだった。そのようなことは不可能なのだし、駆け出し冒険者三人が立ち向かったところでまともに相手できる次元の存在でもないのだ。だが聖騎士を目指す者として、どのような理由があったとしても仲間が傷つくことは許せるものではなかった。
(そうだ、ノノさんは──)
目の前の敵から目を離すわけにはいかないので振り返らないが、逃げたような気配はない。未だ背後にノノの息遣いを感じる。
(まだ動けるほど回復出来ていないのか!?)
ならば何度でも防ぐまで。
決意新たにジャスティンは構える。だが無謀な行為だ。一度受け流すだけで両腕が痺れ、今も構えるのが精一杯だというのに、ノノを庇いながら防ぎ続けるなど不可能だった。
ノノがここに居らず、ジャスティン一人が攻撃を凌ぐ程度であれば問題なかっただろう。避けるなり受け流して体ごと転げるなりいくらでも方法はある。だが実際はノノは背後に居り、彼女を守るためにも攻撃を避けるわけにはいかなかった。完全に足手まといになってしまっていた。
そしてノノはそんな状況を、そんな己を許しはしない。
「ジャス、ティンさん……私も戦う、戦えるから……」
うわ言のようにぶつぶつと呟く。始めのうちしか聞こえなかったが、そんなことを許すわけにはいかない。
「私を庇わなければ……あなたが生き残る確率も上がる。私も受け流すくらいはできるから……私には勝機がある……だから力を貸して欲しいの」
徐々にその声もはっきりとし始めていた。ちゃんと喋ることができるくらいには回復したようだ。
「し、しかし……」
「──信じて」
その声を聞いた時──その覚悟の声を聞いた時、ジャスティンは自分はそれを拒否できないと悟った。
「……分かりました。作戦を」
駆け出し冒険者たちの、最初で最後の反撃が行われようとしていた。
◆ ◆ ◆
すべては説明できなかった。目の前に妖狼が迫っているし、あまり長引けばこちらの身体も持たない。ジャスティンには最低限説明し、シェリーには風の精霊に声を運んでもらい、やってもらうことを一方的に告げた。
彼らには悪いと思っている。自分のせいでこんな敵と戦うことになってしまったというのに、その上自分で決着を付けようとしている。我ながら本当に自分勝手だ。
けれど、確信がある。こいつと決着をつけなければ、私はきっとこの先前に進めなくなる。
足に力を溜めながら考える。思えば自分は何を思い違いをしていたんだろう。経験が無いから学ぼうとしていたのではないか。体のスペックだけでは戦えないと思ったから冒険者を始めたのではなかったか。それが、いざという時は本気を出そう? 冗談ではない。そんな甘い考えで戦おうとしたところで、本気を出させてもらえる筈がないのだ。
その思い上がりの結果がこれだ。散々痛めつけられ、仲間には心配され、今や命の危機に晒されている。レベル99が聞いて呆れる。この世界にレベルなんて関係がない。所詮努力もせずに手にいれた力。今の私は年相応の兎人の少女でしかないのだ。
だから、本気を出させてもらう。仲間と協力し、今の自分ができる本気を出す。
『来い! 汚らわしく悍ましい獣よ!』
《挑発》──戦士の技能の一つだ。ジャスティンによる魔力を帯びた罵声が、妖狼を引きつけた。当然言葉は通じないのだが、言葉に込められた悪意は言語が異なっても感じ取ることができる。
『グルアアアア……!』
怨敵を前にして何度も邪魔してくる存在に苛ついたのか、予定通り私から意識が外れる。それを見てクラウチングスタートのように構えた。
「ぐ──あっ!」
必死に攻撃を受け流すジャスティンだが、やはり地力が違いすぎる。全てを受け流しきれずに、時折体ごと転がされている。本来ならば様々な経験を積み、十分な訓練の元に挑める相手なのだ。それを思えば直撃を受けていないだけで十分過ぎる立ち回りだった。
すぐにでも助けに向かいたいが、この状況を望んだのは自分なのだ。何とか堪え、機を待つ。
そして、妖狼を必死に観察する。
必殺を与えられるその部位を。
必殺を与えられるその瞬間を。
必殺を与えられるその道筋を──
──見えた!
地を蹴る瞬間、足の裏から魔力を噴出し一瞬で加速する。野伏が技能の一つ──《兎跳》。本来は逃げるためのその技能で、敵の懐へ飛び込む。傍に突如現れた私に気が付き、驚愕する妖狼。だが、その顔が嘲りに歪む。
──火球が私に向かって飛んできていた。
「な──」
「ノノさん!?」
詳細を伝えなかったジャスティンはもとより、《火球》を放った張本人であるシェリーは更に驚愕しただろう。私が自ら射線に飛び込んだのだから。
もはや私が逃れる術はない。このままでは炎に揉まれ大火傷を負うだろう。だが、これでいいのだ。こうするためにシェリーに頼んだのだ。
「危ない! ノノさ──」
迫る火球。叫ぶジャスティン。嘲笑う妖狼。
そして──
「──え?」
私の手によって、すう、と吸われるかのように火球は解けて消えた。
暗黒呪文──《吸魔掌》。
黒魔術の中でも特に攻撃的で、負の力を扱うような領域。それが暗黒呪文だ。そして手に触れた魔力を吸収してしまう呪文、《吸魔掌》。飛んできた魔法を吸収するなんてゲームでは当然不可能だったが、この世界では優れた技能さえあれば可能なのだ。
そして、吸収するだけではない。
吸収し、この身を駆け巡った熱い魔力を右拳に集める。すると片腕がメラメラと燃え始め、拳が炎に包まれた。
魔剣士が技能の一つ──《火炎属性付与》。
本来剣に宿らせる炎の力を、拳に宿した。
わざわざシェリーの魔法を受け取ったのは、自分の魔力は体に回しているからだ。既に身体は限界を迎えようとしている。ここで魔力を解いてしまえばそのまま倒れこみ、最悪気絶するかもしれない。戦いに慣れていれば違ったのだろうが、戦闘に関して素人な私は、痛みや体の違和感を抱えたまま戦うなんてできそうもなかったのだ。
拳の炎を感知し、妖狼が硬直する。
だがもう遅い。魔法を使いながらも私は距離を詰めていた。
妖狼は迎撃しようとこちらを見据え──
「──はあああああっっ!」
どす、とジャスティンに脇腹を貫かれた。
『グガアアアアァァッッ!?』
先ほどとは逆だ。私が派手な動きを見せたことでジャスティンから意識を外してしまい、動きが見えなくなっていた。強靭な筋肉だが、隙を見せたところを柔らかい箇所に思い切り剣を突き刺せば、いくら駆け出し冒険者の攻撃だろうと通るのは道理だった。
そしてその瞬間、激痛に体を捩り妖狼の頭が下がる。
頭が下がる、正にそのタイミングに合わせて──真っ赤に燃える拳を叩き込む。
『グ──ギ──!?』
ごぎ、と無理やり顎を閉ざされ、喉の下に拳が食い込み、血を噴き出す。
ジャンピングアッパーカット。渦巻く炎と魔力を乗せた一撃。じゅう、と肉が焼け焦げる音がし、下顎の毛皮が焼け落ちる。
──気持ち悪い。
拳に肉を殴った感触が伝わってくる。
生物の肉体を破壊し、殺傷して行く手応えが伝わってくる。
なんておぞましい感触なのか。
これが──暴力というものか。
妖狼の頭が燃え盛りながら跳ね上げられ、ぐらりと揺れて──巨体がその場に倒れこむ。
どう、と地響きを立てた。
◆ ◆ ◆
「や……やった?」
いつの間にか近づいてきていたシェリーが、ジャスティンに尋ねる。
妖狼は倒れ、もう動かなかった。
頭は焼け爛れて酷い有様だ。血と肉の焼ける匂いでむせ返りそうだった。
「……ああ」
ジャスティンは呆然としている。あの妖狼を、自分たちだけで倒してしまったのだ。冒険者として初めての討伐依頼で、この恐るべき獣を倒してしまったのだ。そして、それを成し遂げた中心人物が──ノノだった。
「貴女は……一体……」
分からないことだらけだ。この戦いでノノはどれだけの技能を使ったことだろう。少なくとも、白魔術や黒魔術だけではないことは明確だった。同じ駆け出しの冒険者のはずが、見たこともない技能を使いこなし、あまつさえ妖狼まで倒してしまった。
そのノノはまだ妖狼を見据えていた。既に炎が雲散した拳を握りしめたまま、何かに耐えるように噛み締めていた。その姿はまるで、泣いているようだった。
「……ジャスティン、後にしよう」
「……そう、だね。そうすべきだ」
シェリーに促され、ジャスティンは自分に言い聞かせるように言った。すべてが終わったことを報告しなければ。
「…………! ……!」
聞こえてきた声にジャスティンが振り向くと、広場にジェフリーとロゼッタが駆け寄ってきていた。あの場を離脱してからどれくらい経っていたのだろうか。彼らの言葉を信じるなら三分でここに駆けつけてきてくれているはずなので、それくらいしか経っていないのか。まるで何時間も戦闘を続けたように身も心も消耗していた。
「おーい! 終わりましたよー!」
シェリーが呼びかけ、手を降る。
だが、様子がおかしい。必死の形相でこちらに駆け寄り叫んでいる。まるで背後に恐るべき敵がいるような──
「ばっかやろおおおおおお! 後ろだあああああああッッ!!」
振り向くと、妖狼が腕を振り上げ──
◆ ◆ ◆
殴る。
ぐちゃ、拳が肉を潰し、めき、骨を砕くのが分かる。
殴る。
ごき、拳が潰れ、めき、骨が砕けるのがわかる。
殴る。
ぐぎ、ぐちゃ。
殴る。
ぐしゃ、ぱき。
なぐる。
ぼき。
なぐる。
ぐちゃ。
「─────」
誰かが叫んでいる。それとも泣いているのだろうか。分からない。何も考えたくない。私はなぜ殴っているのだろう。何を殴っているのだろう。
「─────」
ただ、気持ち悪い。
暴力を振るうことが、何かを殴るということが、こんなにも気持ち悪いだなんて知らなかった。できれば一生知りたくはなかった。
それでも、殴らなくちゃ。
「─────」
私は何がしたかったのだろう。力を手にいれて、何をするべきだったのだろう。最初はただ、憧れの力を手に入れたことに喜んだ。次に、その力を使いこなせないことが分かって、経験を積むことにした。じゃあ経験を積み、力を使いこなせるようになったら何をするつもりだったのか。
そもそも、この力は何なのだろう。何のための力なんだろう。途轍もない魔法の力。魔法ほどじゃないけれど、優れた戦士の力。ゲームで育てていた、データでしかないはずのそれが、この身に宿った。誰が? 何のために? どうして──
「──もう、おやめなさい」
誰かが、抱き締めてくれていた。
けれど、殴らないと──
「もう、死んでいますわ」
死んで──?
「もう妖狼は息絶えていますわ。だからもう、貴女が殴らなくていいの」
殴らなくて、いい?
ふ、と手元を見る。
「──あ」
真っ赤だった。
目の前の肉塊も、私の両手も、血で真っ赤だった。
これは妖狼か。ずっと殴り続けていたせいでもう原型を留めていない。いや、それだけではないだろう。レベル99のこの肉体が本気で殴ったせいだ。手加減なしで延々と殴り続けたせいで、私の両手も潰れている。
頭がぐちゃぐちゃに焼け爛れていたというのに、背を向けたジャスティンたちに襲いかかろうとしたのだ。それを止めようと再度殴り飛ばした。二度と起き上がらないように何度も何度も殴り続けた。
──本当に死んだのか? また起き上がるんじゃないのか?
再び振り上げた腕を、優しく止められた。
「もう死んでいますわ」
「本当かどうか分からない」
「呼吸も心臓の鼓動も止まっていますわ」
「それでも動くかもしれない──」
「ノノ」
私の腕を掴み、ロゼッタが私の瞳を見つめる。
「貴女のこの手は、誰かを癒すための手でしょう?」
そうだ。
そうだった。
私は白魔術師だった。
初めてキャラクターを作った時、最初のクラスは黒魔術師だった。初めのうちはゲーム内の魔法を全部覚えて最強の魔法使いになると豪語していた。
それが、クラスチェンジして白魔術師を育てていたら、とても楽しかったのだ。
誰かを癒す喜び。誰かを助ける喜び。誰かから感謝される喜び。それが嬉しくて嬉しくて堪らなくて、いつの間にか白魔術師がメインクラスとなり、最大レベル近くまで育て上げたのだ。
「──ああ」
それなのに。
目の前にあるのは息絶えた命だった。
「ごめん──ごめん、なさい」
そもそも事の発端は私が不用意に魔法を使ったことなのだ。それによってこの獣は永遠に光を奪われ、暗闇と激痛の中恨んでいた。そして私たちのパーティに襲いかかり、そして──殴り殺された。
なんてことをしたのだろう。
誰かを癒し、救うためのこの両手で、命を奪った。
私のせいで傷付かなくていい獣が傷付き、失われなくていい命が失われた。
そんなこと──そんなことが──
──許されていいはずがない。
◆ ◆ ◆
その瞬間、ノノから光が溢れ出す。
「んなっ!?」
「これは──!?」
光はどんどんと強まり、視界を白で染めて行く。
「きゃっ!?」
「く──!?」
刮目して見よ常命の者たちよ。
これこそが生命の輝き。これこそが魂の煌き。
覚悟ある意志がもたらす夜明けの力。
黎明の力──《最初の祈り》。