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始動へ向けて

 アネルマの次の言葉をカティはただ黙って聞いた。


 「今見たこのすべての力が其方の力となるのじゃ。世界を創生出来る力…どうじゃ?」

 「どうじゃと言われても…」


 カティは今見た映像が自分の力になると言われても余りにも現実離れしすぎていてやはりおとぎ話にしか感じられなかった。


 「力の使い様によっては全ての世界を容易く破壊してしまう力じゃ。今まで数多くの妃がおったが、この力を授けたことは無い。その資格を持つものもおらんかったしのぉ。さて、最後の質問じゃ。この力を其方は使うことはないかえ?」


 アネルマの質問にカティは即答した。


 「無理です。使います。がっつり手に入れたものは使います」

 

 答えを聞いたアネルマが剣呑な瞳を扇の下からカティへ向けた。


 「其方、生き返りたくは無いのかえ…」

 「そりゃもちろん、生き返りたいですよ。でもここで私が『力を使わない』と言えばそれは嘘になりますから、そんな嘘をつく人間の方が力を手にする資格はないと判断したから正直に答えただけです。それで生き返れないのであれば、他の方法を探します」


 創生神ともなれば自分の浅はかな嘘など簡単に見破られる事などすぐにわかった。その上でアネルマはカティに質問しているのだと


 「生き返ってやりたい事にこの力があれば助かるんです」

 「…ほぉ?」

 「とりあえずテミセヴァ長老ぶっとばします。ふふ…私怒らせたら怖いんです。あんの神族至上主義め」


 カティの据わった目を見てアネルマの顔がひくついた。


 「殺すのかえ?」

 「…殺す?いいえ。裁くのはテロに任せます。ただものすんごく狡賢い神なんで今までの悪事の証拠が何も出てこないんですよね、死んでる方が相手油断すると思うんで、それの調査を極秘でします」

 「それのどこに我の力がいるのじゃ…」

 「ふふ…あの神族至上主義がですよ!人間のあたしが創生神の力を手に入れたなんて知ったら…絶対呆然としてその後、悔しがるじゃないですか…その顔が見たいだけです」


 アネルマは自分が想像した力の使い方のどれよりもちっちゃいその使い方にがくっと膝が折れるのを感じた。


 「…アウノはどうするのじゃ?」

 「アウノ?アウノがどうしたんですか?」


 自分が殺された事などすでに過去の話なカティにアネルマはにやりと笑う。カティの質問には答えずアネルマは先程カティが言った言葉に興味を引かれた


 「生き返れなければ他の方法とは…どうするつもりじゃったのじゃ?」

 「あ〜…それは…」


 カティは、もしアネルマに生き返らせて貰えなくても今までのアネルマとのやり取りで魂の半分が生きているのであればここで生き返りを研究する価値はあるはずだと思っていた。その時にはアネルマに頼んでこの空間だけを残して貰い、ここで研究をしたい!とその事を話すとアネルマは大爆笑している


 「ひぃひぃ…そ、そ、其方我を殺す気か…笑い転げて死ぬかと思たえ…」

 「………」


 真面目に答えた質問で爆笑をされても…とカティは口の端が引きつる複雑な顔を返した。その間も笑いが我慢出来ないのかアネルマはずっと笑い続けている。暫くして、ようやく呼吸が落ち着いてきた頃を見計らって扇を畳み、カティへ向けた


 「では、生き返らせるかのぉ」


 そう言うと扇から熱を帯びた光線の様な物がカティに注がれる。そうして光が消えた時にはカティの胸の辺りがほんのりと熱を帯びた状態となっていた


 「……?」

 「ほんとに生き返らせぬとでも思たか?言葉にした約束はきちんと守るぞえ。後は天帝の力を待つのみじゃ」

 「…テロの?」


 死んでからもテロの力が必要になると思ってなかったカティは、幾つもの疑問符を頭に浮かべる。口に出さなくてもそれを察したアネルマは


 「其方の身体の銘の力は魔薬によって抑え込まれておるのじゃ…その力が収まるか天帝が無理に銘の力を発動させぬ限り中から出来る事には限りがあるのじゃ…」

 「じゃあ…テロが動かなくても待てばいいんですね」

 「それがそうもいかん。魔薬の効力が切れるのは約1年かかる。銘の力が抑えられてる以上、半魂が死んでいる状態では其方の肉体が持たん」

 「生き返ってもゾンビってシャレになんないですよね…」

 「我が新たな肉体を作ってやってもよいが…」


 その瞬間カティの頭に先程のエイリアンが浮かび、思い切り頭を左右にふった。言葉にならない恐怖であった

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