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…冥界?

 カティは自分を纏う奇妙な感覚に目が覚めた。まるでフワフワと宙を浮いてるかのような感覚は決して不快ではないが安定感のない心もとない感覚だった。今まで蔦に絡めとられていた身体も解放されていて、思いっきり伸びる事が出来た

 

 「…あ〜初めて世界を跨いだ時もこんな感覚だったっけ?蔦も無いし…普通に喋れる…って事はあたしとうとう死んじゃったのか…」


 カティは目をゆっくりと開けながら呟いた。そして目の前に広がるのは白銀の世界。


 「へぇ…冥界って…黒じゃないんだ…」


 死に纏わる色が黒というのも安直だなぁ…と自分の考えを些か訂正し、カティはその場に寝ていたのを起き上がった。


 「あ…起きたかの?」


 カティの中に衝撃が走った。気配など何も無かったのに、突如として絶世の美女が目の前に現れたのだ。そして、冥界から連想してカティが思ったのは


 「え?…えっと…いっひひゃいっ!!」


 「死神ですか?」と言葉を続けようとした所、思い切り頬を抓られたカティはニコニコと笑いながら頬を抓る力を強める彼女に言葉のチョイスを間違えたのだと知った


 「ふふっ!柔らかい頬じゃの。プニプニしておる」

 「は…はほぉ、ひひゃいれふ」

 「我が死神だとは…。ずっと一緒におったのに…酷い話じゃ…」


 ようやく解放された頬を両手で摩りながら、カティはその美女が言った言葉を反芻してしまう。


 「い、一緒にいた?」

 「そうじゃ…其方が天界でいじめられていた時も、絶望の淵に立たされた時も、地上での暮らしに満足している様に見えて実は内心葛藤だらけだった時もじゃ、テロの事が好きで好きで仕方がないのにのぉ…」

 「ななっなっ何でそんな事!」


 突然現れた絶世の美女に次から次へと自分の内情を明らかにされてカティは狼狽を隠せなかった。しかもカティが言葉を挟んだにも関わらず「あれもあったな…」などまだまだ暴露が続いている。しかもテロとの伽の話まで出そうになりカティは慌てて叫んだ


 「や、や、やめてぇ〜〜〜〜!!!」


 カティは真っ赤になりながら絶世の美女を押さえつけようとし、その美女に触れられない事に気付いた…


 「あ、あ、あ、貴方…何?」

 「我か?我は…アネルマじゃ」

 「アネルマさん…ですか」


 カティはその続きを待った。…だが、キョトンとした表情のアネルマに見つめられるだけだった。


 「って!名前とかじゃなくて貴方が何者なのか知りたいんですっ!!」

 「何者と言われると…そうじゃな…我は『天帝の銘』と呼ばれておる」

 「………え?」


 カティの頭の中が更に混乱する。カティの思考内では『天帝の銘』は天妃の証であり、力を有していてもそれはテロの波動から発生した物と考えていた。まさか銘が生物であったと説明された覚えもなければ今までそれを感じた事も無かった


 「テ、テ、テ、テロォォォォォォ!!!!」


 とんでもない物を人の身体に入れやがって…とカティが怒りをメラメラと燃やしているとアネルマがカティの額を持っていた扇子でぺちっと叩いた


 「これこれ天帝に間違った怒りを抱くでない。現天帝も我が銘だとは知らぬのだから」

 

 叩かれた額を摩りながら「そちらからは触れられるんですね」とカティは言ったがアネルマは無視して話を続ける


 「さて、無駄な話をしてる暇はないのじゃ」


 カティはそれは「貴方じゃ…」と言いかけたが、身の危険を感じてやめた。

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