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昔話 その1

 アウノはカティに柔らかい視線を向けたまま元の場所に戻ると再び椅子に腰掛けた。カティもアウノから視線を外さずすっと睨み付けている


 「天妃様。少し天界の昔話をしましょうか…」

 「むか…し…話…?今…関係…あんの、それ?」


 アウノはカティのその質問には答えず、椅子に深く腰掛けるとお腹の上で手を組んでリラックスしているような雰囲気を醸し出す。だが、カティには何かが引っかかった。


 「…聞かせて…もらおうじゃないの…その…昔話…とやらを…」

 「長い長い昔話ですよ」


 アウノはそう言うと話しだした


 「昔、天界のとある家に生まれた娘の話です。その娘は人嫌いの神族の家に生まれました。夜毎、その家では地上を覗く水鏡で人を見ては蔑み、酒の肴にするという宴が同じ考えを持った神族によって開かれていました」


 カティはアウノの言葉に天界に居た頃の自分を思い出す。口では敬う言葉を言いながらも決してその蔑みを含んだ視線は変わらない。目は口程に物を言うという地上の言葉をどれほど頭で繰り返しただろう。神と名の付く者が偉いなんて誰が言ったのか、こんなにも自分に酔いしれ、他を蔑む事しか出来ない種族なのに…と何度思った事だろう。


 「…昔も…今も…変わらない…世界…ね」

 「とんでもない。今の天界など昔のそれと比べると表立った人間排他の神族はかなり減りましたよ。でなければ貴方が天妃など…テロ様がそれを強く望んでも敵わなかったはずです」

 「…おぉ〜『貴方が…天妃など』ねぇ〜何気に…貶され…てるなぁ…」


 カティは決してアウノが嫌いではなかった。裏で自分を蔑む神族達の中、彼はカティに対して『気に入らない』とはっきり言葉にした。だがそんな言葉を向けたにも関わらず天妃として、そして天界で人として生き抜いて行く基本を教えてくれたのは紛れもなくアウノだった。天界から地上へ降りた時にもアウノの言葉はそれ自体はキツかったが、色んな意味で限界だったカティにとっては救いの言葉だった。それがわかっているからこそ、テロや五帝達もアウノに対して何も処罰をしなかったのだ。


 「…まさか…ほんとに…殺される程、憎まれてるとは思わなかった…」


 カティの呟いた言葉は小さく、アウノには聞こえない。


 「中断し…て、ごめん…なさ…いね。…で、その娘が…どうなったの…よ…」


 話が止まってしまったアウノにカティが先を促す


 「その娘は、ある日好奇心から誰もいない時にその水鏡を覗いてしまったのです。そしてその時から不幸の連鎖が始まりました。娘はその時水鏡に映った人族の男に興味を持ったのです。その娘は甘やかされた貴族の娘、世界は何でも自分の物になると思っていました。とくに地上など、人嫌いの家に育った彼女にとっては奴隷も同じ。手に入らない筈が無いと考えてしまったのです」

 「…さい…あ…く」

 「そうですね。最悪でした。彼女にとっても、その人族の男にとっても」


 そう言うアウノの視線はカティから外され、その瞳には何も映っていないようだった。まるで語った言葉が、自分の出来事の様に空を見つめている


 「…?」

 「不思議に思うでしょうが、娘にとっても不幸だったんですよ。何故なら神族としては当時、彼女の考え方は普通だったからです。そのまま水鏡で覗くだけにしておけば良かった物を、彼女の欲求はどんどん増していきました。そしてある日、波動が強かった娘は父親の目を盗んで、その頃は禁術とされた地上への呪を使い、その人族の男に会いに行きました」

 

 カティは自分が捕われている事を忘れるぐらい、アウノが語る話に引き込まれていったのだった

長い…ほんとに長いよ。昔話。

全然アウノが何でこんな事したのか出てこないじゃん!!!


…すみません。もう少しお付合い下さい

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