寄生植物
主人公が痛い目にあいます。
苦手な方はスルーして下さい
水がカティの頬に一滴落ち、それによってカティは深い眠りから覚醒された。まだ不明瞭な視界に映るのは薄暗い部屋の中に壁も見えないぐらいに増殖する植物だった。自身はかろうじて身体が隠れる程の薄く太ももの中ほどしかない丈の短い外套を羽織らされていた。動きはその部屋にある植物に封じられており、よく見ると自分の両腕と両足の太ももの部分に植物が埋め込まれていた
「…き…せい…しょく…ぶつ?」
寄生植物とは寄生した相手から栄養を吸い取り自分の糧にする魔界の植物だったとカティは徐々にはっきりする頭の中で考える。ただこの植物に見覚えはなくどんな寄生の仕方をするのかはよくわからなかった
「あぁ、気がつかれましたか?」
カティが顔を向けると視界の外からアウノがゆっくりと自分に向かって歩いてくるのがわかった。カティは言葉を発する事なくそれを見守り、彼はカティの目の前まで来るとそこにあった椅子に腰をかけた。アウノはゆったりと手をお腹の辺りで組み、リラックスした体勢でカティにじっと視線を向ける。
「『マジュリュリア』はいかがですか?痛みは無いと思うんですがね」
「…マジュリュリア?」
確かにカティの身体に何かを埋め込まれているが痛みは無かった。カティは頭の中にその植物の名前を捜してみるが思い当たる物がない
「ええ。『マジュリュリア』魔界の言葉で『咲き誇る大輪』というらしいですよ?ちなみに天妃様はもう察せられてるとは思いますが、寄生植物です。魔界の最下層にある植物で危険度はSSランク。他の世界で手に入れる事はおろか、魔界ですら手に入れる事が難しい希少植物です」
「な…んで、そんな物を貴…方が…」
危険度SSクラスの植物など、世界間を渡らせる事はもちろんの事、生息地ですら移動は厳重に管理されている筈の物である。
「どうですか?薬学師としては非常に興味を持たれるんじゃないですか?」
「こ…の状…態で、興味な…んか持つ…わけ…な…い」
「それは残念ですね」
心底残念そうに言いながらも笑っているアウノの口元にカティは理性が切れそうになる
「今からこの植物の効能、というより生態を紹介しようと思いましたのに」
「……」
「まぁせっかくですから、聞いて下さい」
アウノはそう言うと席を立ち、カティに近寄り手を添わせようとした。不快感からカティは身を捩って逃れようとするが、植物に身体を固定されていて、思う様に動かなかった。
「この植物は別名『鮮血花』と言われる物で、その名の通り寄生する相手は血です。表皮に近い血管から侵入し」
アウノの手はカティの頬を一度優しく撫でると、そのままカティの植物が植え込まれているであろう腕の部分へ向かいそこを一度撫でる。そしてそのままアウノは説明を続ける
「より新鮮な血を求めて人の部分で言うと骨髄内の赤色随に辿りつきます」
カティに添えられた手が腕からどんどんと肩に向かいそのまま身体を降りて腰の辺りで手が止まりその辺りを軽く撫で続ける。そこは丁度腸骨の辺りで一番骨髄が集中している所だった。カティは撫でられる感覚に吐き気を覚える程の嫌悪を感じるが、ぐっと歯を噛み締めて耐える
「そしてそこで全ての血液を宿主から奪い、本体が絶命の瞬間、大輪の花を咲かせるらしいです。私も実物では見た事ないのでどのような花が咲くのかは存じませんが、天妃様でしたらそれはそれは素晴らしい花が咲くのでしょうね」
カティはうっとりとそう言うアウノに愕然としながら、ただだるさが身体全体を包んでいる状態が、実は血をどんどん搾取されている状態だと聞いて更に顔色が青くなる。カティの身体に無痛の状態で行われているそれは今彼女の中をどれほど浸食されているか本人もわからず、ただ部屋一面の植物の状態から推測して、かなりその植物が成長をしている事は間違いなかった。
「な…んで?こん…な…こと…を?」
カティの問いにアウノはぴたりと腰を撫でていた手を止める。そしてカティに視線を合わせると、今までで一番優しい表情でカティを見つめた
は〜い!カティ捕まってます!
しかも寄生植物なんて埋め込まれてます
そしてアウノの理由はまて次回です!
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