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静かな地

 テロが地上に降りて一番最初に感じたのは違和感だった。結界が破られたからには何者かの侵入があったはずなのに、そこに広がるのは静けさだけだった。


 「…か…てぃ。カティ!!カティ!!!」


 声が自ずと叫び声になる。館の前に降り立つとテロはすぐ中に入り、「カティ!」と呼びかけながら一つ一つの部屋を捜して回る。荒らされた形跡もない部屋。ただ2階の一室だけ窓ガラスが割れて風が部屋の中に入り込んでいた


 「カティっここにいるのか!?」


 だがやはり呼びかけには反応がない。ベランダに出ると、記憶にある睡眠薬の香りがした。


 「これは…カティ?」


 ベランダにくくり付けてあるシーツを見てテロはカティがここから脱出したのだと考え、身を乗り出して辺りを見渡した。そこで目にした光景に唖然とする。遠くに見える畑は全て焼けて黒土と化し、そしてシーツが下った先には直視するのも堪え難い無惨な屍があった。


 「か…てぃ?」


 ドクンと心臓が跳ねる。すでに肉の塊のようなそれは2階からは性別すらも判別出来ない。テロは必死に自分の中の波動を抑える


 「カティなはずがない…」


 自分に言い聞かせるように、何度も呟きながら、空を飛び地上へ降りる。息苦しさに胸が詰まる。そして地上に降り立った瞬間にその塊が人の男性だったとわかった瞬間、安堵に詰めていた息を一気に吐き出した。


 「人間…カティを襲ったのは人なのか…」


 テロが口の中で呪を唱えると、地上の土が生きているかの様に屍を覆いつくす。そして全てを覆いつくすとそこは何も無かった様に普通の地に戻った


 「人が私の結界を…まさか…」


 テロは次にラボに向かう。ラボであった筈の場所にも同じような無数の屍と建物自体は焼失していた。


 「カティがこれをやったのか?」

 

 だがテロは言ってすぐ首を振った。そして先程と同じ様に呪を唱え屍を地上に戻した


 「カティが行うにしては残忍すぎる。これは薬でどうこう出来るものではない…」


 あきらかに何らかの力がなければ、このような姿になるはずが無いものばかりだった。それにカティは薬の実験などで人に対して悪戯をする事はあったが、命を奪うような物を行った事はなかった。そしてラボに残る呪の気配に焼失の原因は何者かの呪だと確信した


 「カティ…どこにいる…早く私を安心させてくれ…」


 頭の中に炎に囲まれたカティが浮かび、それを消そうとすると先程の屍に移り変わる


 「カティ…カティ」


 最後に向かったのは、妻が大切にしていた畑。ベランダから見た光景を間近で目にしてテロは息が止まる。色取り取りの花が咲き乱れていた畑は、何もかもが燃え尽き、そこを風が表面の灰となった物を浚っているだけの地になっていた


 「はっ…く。…カティ!カティ!」


 誰もいないとわかっているが、それでも声をかけ続け畑を歩き回る




 …そして見つけた。

 水道の側で俯せになった物を…


 「…火を…消そうと…していたの…か?」

 

 そんな事をする者はここでは一人しかいない。だがテロは認めたくなかった…

 少しずつそれに近づこうとするが足が思う様に動かない。

 だが近づくにつれ、今までの屍と違いがわかる。人の形が残るそれには見慣れた衣服が焼け残っていた



 「ぁ……っぁ…」



 そして指先に残る歪な形の指輪を見た瞬間頭が真っ白になった

 


 そして辺り一面、白の世界に覆われた。

あ〜また時間が空いてしまいました。ごめんなさい

テロ視点です。さて…カティ?を見つけたテロはどうなっちゃうんでしょうか…


HP進んだどぉ〜!もう少しで公開出来そうです!

(言わなきゃしないから、自分を追いつめる!)

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