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蠢動

足音を潜め、闇に紛れるように黒い外套を纏った者が人気の無い場所に作られた階段を地下へと下りていく。一つの灯りを手に持ち一言も言葉を発する事なくただ黙々と階段を下りる顔は陰鬱な表情の中で目だけをぎらつかせ、もし周りに人が居れば不気味に移った事だろう。

 かなり長い時間階段を下りると広い空間に出た。そこには床一面に大きな陣が描かれており、それを見ただけでかなり大規模な術を使う事がわかる。外套を纏った者はその陣の中心に立つと詠唱を始める。力を注がれた陣は発光し、その空間が眩い光に覆われる


 「…人ごときが」


 ただ一言その者の姿が消える前に発した言葉。空に投げられたその言葉が届く先をまだ誰も知らない。



 

 カティの歓声が畑に響き渡る


 「やったぁ!!!出来たっ!!」


 ディピアルダの加工はユホのケースによって簡単に済んだが、そこからの魔草と今まで作った『魔薬』の基礎との調合はなかなか大変な作業だったとカティは首をゆっくりと回す。期限が近づくにつれどんどん酷くなる頭痛はカティの集中力を削ぐのに絶大な威力を発した。


 「…もっと早く済むと思ったのに、でも最後、寝ないで頑張った甲斐があったなぁ〜」


 約束の時間まであと一日を残して完成させた自分を誇らしく思いながら、試験管の中の紫の液体を見つめる目はうっとりとしていた。


 「素晴らしい!エクセレント!!…皆にも今度は美味しいハーブティを入れてあげなくちゃ…」


 テロや五帝が『魔薬』が出来ない時の事の重大さを理解して、ここ最近は畑でお茶なんて事をしなくなった事も薬の完成を早めた要因だとカティは思っていた。


 「あぁ…また頭痛…」


 痛みに顔を顰めて、カティは試験管の『魔薬』飲もうとするがその手を止める。


 「飲むのはテロに完成を言ってからの方がいっか…」


 カティはそう言うと痛みの中指輪の通信を使う気力は無いので、いつもと同じ様に机に突っ伏して畑に漂うテロの波動を探しながら痛みが引くのをじっと待つ。


 

 その時、パキンと畑を覆う結界が壊れる音がした。そして結界が壊れた事によってテロの波動が薄れていく。


 「…何?」


 カティは頭痛で思考力が落ちているが、そんな脳でも今が異常事態なのはわかった。そしてテロの波動が消えていく中で急激に頭痛が酷くなっていく。


 「あぅ〜テロ…ごめん。報告とか待ってられそうにないや…」


 そう言うとカティは思考をはっきりさせるため、試験管の液体をぐいっと飲み干した。


 「ぐぅ〜〜〜やっぱ、まっず」


 カティが眉間に皺を寄せてその苦さに耐えていると、指輪が強い黄金の光を放つ。結界が破られた事をテロが察知したんだとカティは認識したが、先程よりは薄れているものの頭痛が完璧に消えておらず危険な予感がすぐ側まで近づいてる今、指輪に意識を持っていかれる訳にはいかなかった


 「返事しないので察知してよね〜」


 と言いながらカティは側にあったフードコートを羽織った。


 「さぁて、どなたさんがいらっしゃったんでしょうねぇ…」


 カティはこんな状況ながら口に笑みを浮かべて、これからの自分の行動を冷静に考えだした

お気に入りが600件を越えました。

感謝カンゲキ☆ありがとうございます!!

どんどんこれから話は架橋に向かっていきます!

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