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思い切りドン引きしてるカティを横目に見ながら、ネストリはヴェイニに『兄上』と声を掛ける。どうやらヴェイニはまだネストリが出し抜いてカティの側に行った事を根に持っているらしく、一気に彼の視線が鋭くなる。


[…ネストリ…(今度こそ)邪魔をするな]


もちろん彼の言葉はスルーして、ネストリも思い切り冷たい視線で対応する


『カティ様の役に立たないのなら通信切りますよ?』

[…カティの?]

『はい。兄上にしか出来ない仕事です』

[それは…カティが私に望む事か?]

『はい。それはもう!心から感謝されると思いますよ』


その言葉にネストリの横でカティが口元をヒクつかせる。ユホに至っては、尊敬する魔帝の今の現実を直視出来ず、ずっと俯いたままだった。


[…何を手伝えと言う?]

『具体的に手伝って頂くわけでないのですが、昔カティ様と遊ばれた時に、カティ様が手にしたジゾリアス科の植物をリストアップして頂きたいんです』

[…ジゾリアス?]


ヴェイニは執務室の椅子に座り、手で口元を弾きながら考えているようだった。その時突然ネストリの横のカティが叫ぶ。


「あぁ〜!思い出した!ヴェイニ!っと…ヴェイニ様!」

[…カティ、ヴェイニでよい。で、どうしたのだ?]

「昔ジゾリアスの綺麗な花くれたじゃない!!」

[花?…あぁ、ディピアルダの花だな…」

「それ!それよっ!!私が探してたのは!!」


ネストリがハッと息を呑む。ディピアルダの花と言えば、魔界の中でも生息地は限られており、しかもその生息地は地上からはとても遠い危険な地ばかりだった。懐かしそうに表情を和らげるヴェイニ。


[そういえば昔カティはよくあの花をくれと望んだな…]

「うん!くす…っもぐぅ」


ネストリが慌てて「薬の材料にする」というカティの頭を外套で包む。『ディピアルダを贈る』危険な地に咲くそれを贈るという事は、『愛しい人』という意味が込められているのをカティは全く気付いていない。よりによって恋敵の薬の材料にされていたなどと知ったらヴェイニは立ち直れないだろう…兄を思えばこそ、これは抹殺すべき真実と確信したネストリ。


『兄上!有り難うございました!それでは!』

[なっ!お前カティに触れて!!ちょっ…ちょっと待て!!おいっ]


ネストリはヴェイニの苦情も受け付けず一方的に通信を切る。そしてモグモグ言っているカティの頭を解放した


「ぷはっ!!死ぬかと思ったよ!!」

『申し訳ありませんでした。ですがカティ様どうか…ディピアルダが薬の原料だという話は、内密に…』

「…どうして?」

『貴重な花ですので、……心が痛む者がいるのです』


贈り主は以外とガラスハートの持ち主だとは言わないでおく。


「え?そうなの!?じゃあ…採って来てもらうの…無理かな?」

『いえ、少量であれば問題ないかと…』

「ほんとっ!?」


嬉しそうに飛び上がるカティにネストリの表情も緩む。


「じゃあ…その付近の土ごと20株ほど持って帰ってきて貰えると嬉しい」

『土ごと…ですか?』

「うん…出来ればまだ花の咲いてない蕾の状態の物をプランターで運んでもらえると直良し!なんだけど…」


根ごとというのは聞いた事があるが、土ごとというのは聞いた事が無かった


「希少種なんでしょ?そんなに大量に採取して貰う訳にもいかないから…土を研究して栽培出来るか試してみる!」

『魔界の花を…栽培…ですか?』

「うん。大丈夫!昔何種類か育てた事あるし…。あ…でも今うちの畑テロの結界が張られてるんだった…。神域じゃ育たないよね…」

『難しいかと…』


うーんとカティが唸っていると、ようやく立ち直ったユホがカティに声をかけた。


『囲いを作るのはいかがでしょうか?』

「囲いって?」

『ええ。こういった…』


そういうとユホは地面に側にあった枝で図を描きだした。さらさらと描かれるそれを感嘆の目で見つめるカティ。描かれたそれは地上にある物に酷似していた


「おぉっ!ビニールハウス!!」

『ユホは優れた魔具師でもあるんです』

「そうなんだ…すごいね…」

『壁面材でしたら先程の外套の力をもっと強力にした物もございますので…カティ様も入室の際には外套を羽織って頂ければ…十分に魔草も育つのではないかと…』

「すごいっ!!すごいよっ!!ユホさんっ!!」

『気に入って頂けましたか?』


少し不安げに見つめるユホにカティは満面の笑みを返す


「グッジョブですっ!!」


というと親指を立てた。


『では…私はディピアルダの採集に、ユホはそのビニールハウスとやらの設置にかかりましょう。時間は少し生息地が遠いので5日はかかると思います。ユホ?それぐらいでとりあえず持ち帰ったディピアルダを保管しておく物は作れるか?』

『御意』

『それでは、カティ様。そのような段取りでよろしいでしょうか?』

「いいもなにも、完璧っ!素晴らしい!エクセレントっ!!」

『では、我らは一旦城に戻ります。何かあれば指輪に向かって必要な者の名を唱え石を回して下さい。それで通信が出来ますので』

「うんっ!ありがとう!」

『では…』


そういうと二人は一礼していつの間にか手にした外套を一振りして消えた。

カティはあっという間の出来事に夢を見ている気分で、その二人が消えた跡を眺めていた

ちょっと長くなったんですけど、会話が多いのでさくさくっと読んで頂けるかな?と思いそのままUPしました


なんだか五帝よりこの3人の方がよっぽど良いメンバーになりそうです…

五帝が強烈な焼きもちを焼きそうで怖いです。

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