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魔具

少し離れた所で笑い悶えるネストリにカティは冷たい一瞥を向けると、ユホを振り返り今浮かんできた疑問をそのままぶつける


「…ねぇ、ところで何で服装が変わってるの?」

『え?…あっこれはネストリ様から着ろと…』

「…ネストリ様から?」

『ネストリとお呼び下さい』


いつのまにかネストリの笑いは収まって、カティの側に立っていた。


『ユホが身につけている物は我が魔族が開発した魔具でございます』

「魔具?」


カティは神族に比べて波動の力が弱い魔族は、優れた具を作る事でそれを補い、魔族と神族のバランスが取られていると天界での史書で読んだ事を思い出した。しかしカティは実物の魔具を目にした事はなく、研究者としての血が騒ぎ、目が輝きだす。


「これが…魔具?」


カティの基本分野は薬学であったが、その知識はそれだけに留まらず、それ故興味の対象も無限大に存在する。ユホの姿は装飾のない透明な面と分厚い外套によってまるで妖しい従者のようではあったが、特に何かの力を纏っている様には見えなかった


『左様でございます。カティ様が寝ていた外套も然りです』


カティは浮いている外套を手に取ると、ネストリにその輝く目を向けた。


「これはどういった物なの?」

『これらは波動を抑える魔具であります』

「波動を…これで抑えられるの?」

『神族の波動を全て遮る事は無理だと思いますが…我ら魔の波動はそれほど強くはありませんのでこれで十分なのです。生命体を形成する我らの波動は微弱でも人に多大に影響を与えますから、人との接触の際には掟で魔具の着用を定めています』


カティはネストリの解りやすい説明に舌を巻きながら、ユホを見て違和感を口にする


「ってユホさん…着てなかったよね?」

『申し訳ありません。まさか魔の森を破壊して歩く者が人だとは思わなかったものですから…』

「あたしはエイリアンかっ!!」


カティが冗談のつもりで言った言葉にユホの顔色が蒼くなる


『神族の波動を纏う新種の人間かと…』

「新種かよっ!!」

『………』


流れる変な空気にこれはスルーするべきだと判断したカティは、横で再び笑いを堪えているネストリに浮かんだもう一つの疑問を投げかけた


「今あたしすっごい頭痛がしたんだけど…、それも魔の波動のせい?」

『そうですね。カティ様の体内の不安定な波動がユホの魔の波動と共鳴したからだと思います』

「共鳴?」

『はい。微かにカティ様の体内から魔を感じられますので、本来相容れないはずの二つの波動がそれを媒体に融合された結果なのでは?と』

「そっか。あぁ!波動で思い出した!この外套着たらあたし『魔の森』に入れる?」


カティはすっかり『魔薬』の事を忘れていた事にびっくりしつつ、新たなアイテムによって希望が見えた事に喜びが浮上する。しかしそれもネストリの返事を聞いてまた叩き落とされた。


「いえ…この外套ではそこまでの力はありません」


見るからにシュンとなったカティにネストリは苦笑し、言葉を続ける


「ですが、こちらの魔具を使って頂ければ』


そう言ってネストリは瑠璃色の石の付いた指輪をカティに渡す。


『この指輪は契約者の魔族と何処にいても交信する事が出来ますので、『魔の森』にどういったご入用かは存じませんが我らが協力しますよ』

「ほっほんと!」

『何なりとお申し付け下さい』


ネストリはそう言うとカティの掌にあった指輪を彼女の指に嵌め、その手を包んで口の中で何かを詠唱した。指輪がほんのり光り、熱を帯びる。


「…これが契約?」

『はい。私の銘がこの指輪に刻まれました』


よく見ると指輪の本体の部分に先程までなかった細工が増えていた。


『ユホ。次はお前だ』

『…御意』

「い…嫌ならいいよ…?」

『まさか!身に余る光栄です。お手を…』


おずおずと差し出されたカティの手をユホは貴重な物を扱う様に自分の手に受け取る。そしてネストリと同じ様に詠唱した。また指輪が光りと熱を帯び、本体の細工はより複雑になっていた。


『これより我らはカティ様の為に働かせて頂きます』

「い…いや…そんな大層な物じゃなくて…ただちょっとお手伝いして欲しいだけなんだけど…」

『御意』


こうしてカティの崇拝者が天界から魔界まで広がった事にカティ自身はまだ気付いていなかった

なんだかユホとカティをかけると思わず関西人の血が騒いでノリ・ツッコミになってしまって修正が大変でした(笑)


そして、どんどんカティ心酔者が増えていきます。

罪な天妃カティ。そして天然カティ。

その気はなくても目の前に現れた全ての者にロックオンです(笑)

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