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魔族

『スト〜ップ』と声を張り上げた男は、カティを捕らえている男と似た容姿をしており一目で魔族とわかる。だが身に纏う魔はその男とは桁違いに濃かった

魔の森から声の主が出ると、その男は腕の中で気絶するカティを放り出し、膝をついて敬意の意を声の主に表す


『ネストリ様…わざわざこのような所に…』

『ユホ!その御方を乱暴に扱うなっ!!』


ネストリと呼ばれた声の主は慌てて自分の中の魔を消し去る。そして口の中で何か詠唱すると着けていた外套を脱ぎ空中に浮かべ、放り出されたカティを慎重に抱き上げてその上に寝かせた。


『ネストリ様?外套が汚れてしまいます。たかが人間にそのような…』

『この御方はただの人間ひとじゃないんだぞ!』

『?』


『あぁ…ユホの『魔』に当てられてしまったんですね…』とぶつぶつ呟きながら、自分の持ってきた物で治療し始めるネストリをユホは唖然と見ていた。どちらかというと自分と同じ様に人が嫌いなはずのネストリが人間を助けようと必死になっているのが全くもって腑に落ちない。『ただの人ではないとはどういう事か?』その答えを求めようとユホはネストリに話しかける。


『どうしてそのような…』

『ユホ、黙って僕が持ってきた外套と面を着けて離れて座ってろ!』


命令されてしまえばどのように納得出来ない事でも、ネストリの方が立場も何もかも全てが上位な為、その言葉に従うしかない。面と外套を身に纏い少し離れた所で膝をついて、ネストリとカティを見ていた

しばらくすると頭痛が和らいだカティの目が薄らと開く。


「う…うぅ…」

『気がつかれましたか?』

「…誰!っうわぅ!」


カティは目の前の魔族を見て、先程突然現れた魔族に首を絞められた事を思い出し、飛び退いたら外套から落ちそうになった。


『あぶないっ!』


とっさにネストリにカティは支えられた、それによってより間近にネストリの顔を見る事になり、よく見ると先程の魔族とは違う顔だと気付いた。肌の色や耳の形、髪の色などは変わらないが明らかに整った顔立ちだった。


「重ね重ね、す…すみません。」

『天妃様』


突然地上では使っていない敬称で呼ばれ、顔を顰めてしまう


「…?………誰?」


外套にきちんとカティを座らせて安定させると、ネストリは少し離れて膝をつき敬意を払う挨拶をした。ユホが息を呑む、だが面と少し離れているので二人は気付かない


『初めてお目にかかります。ヴェイニの弟でネストリと申します』

「……」

『……』

「えぇぇ〜〜〜〜ヴェイニの弟!?」


カティの頭の中に昔『魔草』を探して魔の森に入った際に知り合った魔族の事が思い出される。


『はい。兄上より度々天妃様のお話しは伺っておりました』

「…あ、それは…ど…どうも…」


カティはどう思い出してもパシリの様にしか扱っていなかったヴェイニの弟を前にして汗が吹き出してくるのを感じる


「ゔぇ…ヴェイニ…さんは…元気ですか?」

『はい。つい先日魔帝への即位の儀が終わった所ですので…」

「まっ魔帝!?ヴェ…ヴェイニって皇族だったの?」


カティは淡々と語るネストリの言葉をおもいっきり遮ってしまった。天が世界を形成するのに対し、魔は生命体を形成する、魔帝と言えばその『魔』の最高権力者で、天帝と同等の力を持つ立場だった。


『おや?ご存知ありませんでしたか?』


首を傾げるネストリにカティは首をぶんぶんと縦に振る。


『兄上は天妃様がここにおられる事をすぐに察せられて、ここに来ようとしたのですが、何分多忙でして…泣く泣く代わりに僕を、と仰せつかりました』


ネストリは兄が天妃の元に駆けつけようとして、周りの側近達に羽交い締めに押さえつけられていた姿を思い出す、『じゃあ私が代わりに行って差し上げますv』と言った時の兄の怒りの表情が忘れられず、口元が自然と緩むのを止められない。そのネストリとは対照的にカティの顔色はネストリの話を聞けば聞くほど蒼くなる。カティは昔の自分の思い出し、どう考えてもヴェイニと『懐かしいね』などの和やかな雰囲気を作れるとは思えず、「し…仕返し?」と怯えてしまうのだった。


「あわわ…わ、私…こ、殺されるんでしょうか?」

『どうしてそのような馬鹿げた事を…兄上は貴方をあんなに御慕いしてるのに…』

「お…御慕いぃ!?」


カティは昔の自分の行動が『抹殺物』であれば理解出来るが、どうすれば『御慕い』になるのか見当もつかなかった。


『えぇ。天妃様が天界から地上へ戻られると聞いて、それまで全くやる気のなかった『魔帝』になると言い出したんですから』

「…それは別にあたし関係ないんじゃ…」

『いいえ。きっと天妃に見合う立場に兄上はなりたかったんだと思いますよ』

「………」


寝耳に水の話に、ただただカティは唖然とするばかりだった。

お気に入り登録が500件をこえました!

ほんとに感謝カンゲキですvvこれからもよろしくお願いします!!

感謝を込めていつもより少し多いです。


魔帝ライバル登場!

しかしカティは全くそんな事を自覚しておりません。

…カティがヴェイニに対してどんなだったかは…また番外編ででも(笑)


新作(異世界トリップ物)も投下しました。そちらも良ければぜひ…

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