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検体

「さて…何から手をつけましょうかね…」


ラボに戻ったカティは途方に暮れていた。残していた『魔薬』は自分自身で全部飲んでしまったし、研究メモの類いも実家に全て置いてたので五帝によって消失されてしまった。よくよく考えると『魔薬』に関してカティの手元には何も資料が無い事に今更気付いたのだった。


「うぅ〜こんな事になるなら『魔薬』少し置いとけばよかった…」


10年以上も前の調合を自身の記憶だけを頼りに行わなければいけない現実に思わず逃避をしそうになる。しかもこうしてる間にも20日というタイムリミットはどんどん減っていっている。


「あとは…検体しかないけど…」


『検体』それは検査の材料をさす言葉で血液・髄液・尿や組織の一部等を纏めて言うのだが…もちろん今回の場合は尿や組織の一部は関係なく、髄液など一人では採れないので、自ずと血液になる、しかし…カティは大の注射嫌いだった。


「やるしか…ないんだよねぇ…」


青い顔をしながら袖を捲り上げカティは覚悟を決めて注射器を手に取るが、まだ針も刺さっていないのに「うぅ」と呻いている。「ふぅ・ふぅ・ふぅ」と呼吸を整えようと努力するが、心臓は異常な早さで脈を打つ。


「よしっ!いきます!!」


というとカティは自身に針を突き立てた。「これは『ちくっ』じゃない」と泣きそうになりながらカティは思う。ある程度採取出来た所で針を抜いたが、注射筒に溜まる自分の血液に目眩を起こしそうになった。



試験管の中には試験薬と自分の血液が混ざった物が入っており、カティはそれを振り混ぜながらその反応を見ていた。カティの血で赤く色付いていた水が黒く染まる。今まで検査した10本の試験管のうち反応を示したのは1本だけだった。


「『魔草』の中でもジゾリアス系の物っと」


カティは今の検査の行程と結果を手にしている紙に書き留める。それが終わると「ここまでの分類は早いんだけどねぇ〜」と呟きながら近くにあった『魔草』と表紙に書かれた本を手に取り、パラパラとページを捲っていく。


「…ジゾリアス系の魔草…5600種…」


予想より随分多い数にカティは思わず本を投げ出してしまう。生息地で絞られるとしても半数は地上に存在する2800種。なおかつこの付近に生息している物…300種


「魔草だけでこれって…300種なんて発見出来るかぁ〜!」


カティは机に突っ伏すと暫くそのままでいたが、「それでも…やるしかない…」と呟いて『がばっ』と立ち上がり近くにあった草の採取道具を手に取っていく。掛けてあるこの付近の地図を見て一番近い魔の森を確認した。


「とりあえず50種目標で!」


そういうとカティはラボを後にした

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