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閑話 伽の余韻の中で…

長い伽の時間が終わった後、意識の無いカティを抱いてテロは湯に浸かっていた。テロが身体を隅々まで綺麗に洗い流しているとカティの意識が覚醒めざめ始め、やがて黒く大きな瞳がぱっちりと見開かれる。


「…テロ?」

「私以外の者だったら…その者の存在など無かった事にしてくれる」

「…冗談でも怖いから止めて」

「……」


冗談と取られたテロは少し眉間に皺を寄せるものの、今はカティを抱いた後の至福の時間なので気にしない事にして湯船の中のカティを引き寄せる


「カティ。薬を完成出来そうか?」

「…何で20日なの?」

「私の波動で天界からカティの波動を抑える事の出来る限界が20日だ。天界から地上へ波動を使うとなると他への影響を考慮しないわけにはいかないからな…」

「そっか…」

「それもここの私の結界内での話だ。これから外に出ると私の波動は送れない。その場合…地上がカティの波動の影響を許容出来る時間は24時間だ」

「24時間…」


詳しいタイムリミットを言われ、もともと負けん気の強さが出てカティの中で更に気合いが入る。


「20日経って薬が出来ない場合は有無を言わせずに天界に連れ帰るからな」


有無を言わせないテロの口調にカティは少し拗ねた。


「でもさ…そもそもあたしの銘を消せば早い話なんじゃないの?」


カティの呟きにテロは一度大きく溜息を吐いてから話始める


「…カティ、一度しか言わないからよく聞くんだ。銘を消すというのは、カティの身体の中の波動を無くすという事だ」

「う…うん」

「お前が天界で過ごした時間は天界時間で10年、地上時間では約100年だ。そもそも人の寿命はとうに尽きているはずのカティが生きているのは何故だと思う?」


畳み掛けるように話すテロにカティは何も答えられない


「『天帝の銘』の波動を失った瞬間に、カティの身体は急速な老化が進み、その速度に身体がついていかず…」


声を詰めるテロ、水音だけがその場を支配する


「…あ…あれ?…あたし…死んじゃうの…?」


カティの呟きに更にテロの腕に力が入る。カティにとって『天帝の銘』は自分では扱う事の出来ないただの波動の元だと思っていた為、自分の命の源になってるという事に動揺を隠せない。


「消さないから死なない。ただ…安易に銘を消すと言うのは…もう止めてくれ…」

「…テロ」

「これは天帝のみしか知らない事だが、銘の波動は一方的に天帝の波動とリンクしていて…私の寿命が今のカティの寿命だ。歴代の天帝はそんな同体さが嫌で『天帝の銘』を正妃に与えなかった者もいる。ただ…選択肢は無かったんだ」

「あたしが…人だから?」

「…今更こんな説明を聞かせて…すまない」


カティが身体を反転させてとテロの顔を見ると彼の辛そうな顔が見えた。カティはそっとテロ頬に手を当ててから首を横に振る。銘をこの身体に宿した事は後悔していない。今更取り出せないと言われても事情を聞いたら理解出来る。


「『天帝の銘』を持つ者と、天妃って分ける事出来るの?」

「…さぁ?そんな事必要がなかったからな…考えた事もない」

「今から考えたりなんか…」

「必要ない」

「……ぐぅぅぅぅ」


カティにとってはっきり解決した問題もあれば、難問も増えた。寿命は神族でもカティの身体が人から変わったわけではない。天妃を辞める事も出来ない。


__嫌だけど…凄く嫌だけど…天妃を辞められない以上、テロが側室を持つ必要が出てくる。その為にはあたしが地上で過ごす時間は絶対に必要で確保しなくちゃいけない。とにかく『魔薬』を作らなければ!


カティは新たな展開と使命に燃えて、『魔薬』製作を心新たに誓ったのだった。

カティは一応聞いてみる


「側室なんて…」


「いかがですか?」と続けようとして続けられなかった。テロの目が見開かれたかと思うと細められ、眉間の皺が深くなった。返事を聞かなくてもその表情かおで答えがわかる。


「…ですよね〜」

「私の伽の心配をするなど…随分まだ余裕だな。その要望には答えてやらなくてはな」

「えっえぇ!?ちっ違っ!!」


カティは返事を言い切る前に寝室に再び戻されたのだった。

やっとテロが銘を消せない本当の理由を話せました。

というわけでどんどんカティが追いつめられていきますが、二人はハピエンになる予定ですので、ご安心をっ!!

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