逢瀬の時間
目覚めたカティはテロに抱えられている状態で、カティは『魔薬』の許可を貰ったので早く作業に入りたいのだがテロが離す気配がない
「テロ…」
「何だ?」
「もう大丈夫だし、離して欲しいんだけど」
カティがぎゅ〜っとテロの肩を押しても彼の力は一向に緩まない
「…やっと二人きりになれた」
「え?」
カティは痛みで意識が散漫になっていた事と、その後気を失ったため、五帝を含む周りの従者達一同が綺麗さっぱり居なくなってる事に初めて気がついた。
『二人きり』カティにとってこれほど恐ろしい事は無い
「あ…あれ?五帝は?いっぱい居た人達は??」
テロはそれには答えずに「フッ」と口の端を上げるだけだった。そして、もう一度ぎゅうっとカティを抱きしめると、カティを横抱きにし、すたすたと屋敷の方へ歩き始める。その行く先に見当を付けたカティがばたばたと暴れる。
「えぇ!!ちょっ!!テっテロっ!?何する気っ!!!」
「『何』をする気だ」
テロに抑揚を変えて同じ言葉を言い返されて、「上手いな」なんて一瞬思ってしまったカティだったが、再び危機的状況に陥っている事に気付いた
「む…無理っ!!」
「…私も限界だ。前に二人きりなったのはいつだったか覚えてるか?」
「えぇ?………?」
カティは必死に記憶を辿るが、いくら過去を思い出してもテロが降りてきている時は必ず五帝が記憶の隅っこに陣取っている。
「…んと?」
「天界時間で25日、地上時間で8ヶ月と3日だ。しかも肌を合わせたのは地上に降りてから一度もない。それをこの状況でまだ我慢しろというのか?」
「えっえーと…だっだってあたし天妃辞め…お休み中だし…」
「私が許可したのは地上への里帰りだけで、それ以外の事を許可した覚えはない」
「でっでも、まさかずっと禁欲生活してたわけじゃ…」
冷たいテロからの視線を向けられるが、地上に居る事は自分の我侭に過ぎないのだから、テロが欲求を満たす事ぐらいは思う存分どうぞと思う。
「何を考えているのか知らないが、カティ以外抱く気にもならない」
「…はぃ?だって…あのテロが?」
カティは「朝の光を何度見たか…」と天界での生活を思い出して、テロが禁欲生活など有り得ないと首を振った。
「そ…それは、身体に悪いよ…」
「あれだけの性欲を持て余すのは…」と医師の様に呟きながら首を振るカティ。それを見てどす黒い物を纏っていくテロ
「ほぅ。ならこの身体でしっかり癒してもらおう」
「えぇ!!なっ何で!?」
「学者肌は捨てて、頭で考えず身体でついてこい」
「いっ意味がわから〜〜〜〜ん!!!」
ばたんと屋敷の入口が閉じられる。
テロがそこから出てきたのは日が落ち、また昇り始めた頃だった。
…何だか最近暗〜い感じが続いたので、ちょこっとテロを幸せにして上げました(笑)また暫く会えない時間があるので補給補給!