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暴走

アデリーに視線を向けているカティの額にズキンッと痛みが走る


「…っ」

「どうした?」


いち早くその様子を気がついたテロがカティの側に寄ろうとして、鼻腔内に広がる慣れた甘い香りに一瞬動きが止まる。それはカティの天妃の波動に違いなく、カティを見ると額に浮かび出た『天帝の銘』がより色濃く定着しようとしていた。


「いつから…こうなってる」


今まではテロが自分の波動と共鳴させなければ浮かび上がらなかったはずの『天帝の銘』。今テロは自分の波動をきちんと体内に納めているのでカティの銘と共鳴するはずが無い


「…ぅう」

「薬の効果が薄れ始めたか…ウーゴ。テーブルの周りの結界を強めよ。五帝は天界に戻り地上の安定に努めよ」

「「「「「…?」」」」」」

「カティの波動を抑える為に私の力を解放する」

「「「「「ぎょ…御意」」」」」」


テロの言葉に五帝はすぐに行動する。

それぞれが側にいた従者を引き連れて皆大きな歪みの玉に身を投じる。ウーゴもテーブルの結界を強めた後歪みの玉に飛び込んだ

歪みの玉が消えるのを確認したテロは自身の中の波動をゆっくり解放していく。

腕の中にカティを抱えると何かを口の中で詠唱し、額に口づけた。するとカティの銘は徐々に色を薄めて落ち着いていく、それと同時にカティも気を失った

使う者が使えば天帝と同等の力を持つ『天帝の銘』は本来、人の器では受け止められる物ではなかった。色濃くなるのは銘の波動が暴走するぎりぎりの状態を示していた。


「…無理に抑え込んでいた反動か」


テロが側にいなければカティの命にかかわる状態。

しかしカティを今天界に戻すと地上で取り戻した精神バランスはきっと前以上に悪い状態になるに違いない。だからといって地上に影響を与えかねないテロが常にカティの側にいるわけにもいかない。暴走状態の銘に対しテロは舌打ちをする



神族ではないカティに銘を授けた代償。



「くっ…」


遥か昔の幼き自分の面影と今のカティが重なる。強大すぎる波動をその身に宿し、中からその身を焼かれる感覚。



__あれをカティに経験させる?




テロの背中に汗が流れ出る。





__そんな事は…させられない!



『魔薬』、テロの脳裏にその言葉が過る。

テロは自然とプラチナブロンドの前髪に隠れた左目を手で覆う。右目は歴代の王が持つ金の瞳であるのに対し、そこには魔の漆黒の瞳があった。


テロは幼少期に自身の強大な波動を抑える為に魔草をずっと食していた…その代償に瞳がどんどん金の色を失い黒く染まっていった。

全てを魔に染められずに済んだのは、カティが魔草から偶然『魔薬』を作り出してくれたからだった。

しかし神族にとって代償無く波動を抑えられる薬は世に混乱をもたらしかねない物だった。故にテロはすべて処分した…はずだった。


「もう一度…頼るしかないのか…」


『魔薬』の調合は魔を扱う為に神族では行う事が出来ない、だからといって他の人間にこの薬の事を知らせる事も出来ず、つまりカティ本人に調合させるしかない現実。…テロはその事を告げると喜ぶカティの姿が目に浮かんで、大きく溜息を吐いた





目覚めたカティにテロが『魔薬』の件を伝えると、テロの想像通り喜び踊りだした

「『魔草』萌えぇ〜」や「調合高まるぅ〜」などの意味のわからない言葉を言うカティにテロは本日一番大きな溜息を吐いた。


「私が天界から波動を抑えられる期間は20日だ。その間に『魔薬』の調合を完成させてくれ」

「らじゃ!」


偶然出来た薬を作る事は新薬を作るのと同様で長く時間のかかる物であり、20日で調合するなど本来無茶な事だが、カティの顔は爛々と輝いていた。

ちょっとずつお話が進行していきます

カティはやっぱり薬バカなので…今後どんだけはじけてくれるのか…(笑)

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