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鎮火

まるで獲物を仕留める獣のようにテロの首から離れないカティ。

テロが首から感じる痛みに「っつぅ」と呻くと同時に浮き上がっていた地表が元の位置に戻り、彼の何も映していたかった瞳に力が戻る

「カ…ティ?」

「……」

「カティ…もう大丈夫だ…」

テロの言葉にもカティは口を離そうとしない。

「ふぅーふぅー」と荒い息をして、目をぎゅっと閉じ自分の首元に噛み付くカティにテロはゆっくりと頭を撫でながら「大丈夫」という言葉を繰り返す

テロも我を失ってしまったが、そのテロの力を初めて目にしたカティも極度の興奮状態に陥ってしまって今も我を取り戻しきれていない。

もしかしたら『魔薬』の副作用もあるかもしれないとテロは考えるが、取りあえず今カティを落ち着かせる事を優先した

「カティ?戻っておいで…」

「あ…うぅ」

ようやく落ち着いたのかカティがテロの首から顔を上げる。

その唇にはテロの赤い血がべっとりと付き、カティをまるで人外の者のように見せた。

「あ…テロ。もぅ大丈夫なの?」

「あぁカティ。すまなかった」

「陛下っ!!」

二人の雰囲気を割って入るようにウーゴがテロの首に布を当てる

「あ…」

そのウーゴの行為にカティは唇に手を持っていき、そこに着いた紅い物に茫然となる

「あたし…」

「カティ。大丈夫だ。それより止めてくれてありがとう。我を失うなんて恥ずかしい限りだ…まだまだ私も修行が必要だな」

「陛下…カンデラを呼びます」

カンデラは水帝の力で、回復の波動を使う事が出来る

「必要ない」

大事にしてカティを怯えさせたくなかったのでウーゴの言葉をテロは退ける。

カティは慌てて袖の中をごそごそと探り、袖口から何かを取り出した

一瞬テロは『魔薬』が出てくるのかぎょっとしたが、それは丸い容器の薬だったらしく、カティは蓋を開け、中の薬を自分が傷つけてしまったテロの首に塗る。

「天界の回復草を使ってるから、多分効くと思う」

「ありがとう」

自分がしてしまった事に顔を歪めるカティに笑って欲しくてテロは自分の思いとは違う言葉を口にする

「……カティ、地上の件は認める」

一瞬カティの顔が明るくなるが、テロの首を見るとやはりしゅんと項垂れる

ただテロも波動の力を意図的に傷口に持っていき治療していたので既に出血は止まっているどころか傷口も回復しつつある

「怖い思いをさせてしまってすまなかった」

そういうとテロは一度ぎゅっとカティを抱きしめると自分が出した決断を覆さない内に彼女を離した。そしてウーゴに向き直って言葉を発す

「波動の影響が他に及んでないか調べる為に天界に戻る。お前達も戻れ」

「御意」

ウーゴがテロに跪き、よく見ると遠くのドームの中でも五帝がみな跪いている

テロはカティを見て手を伸ばす

「ひとまずここで安心して暮らせる環境になるまで、天界に戻る事は出来ないか?」

「大丈夫よ。家だってある…し…あれ?」



「家が…な…い」



先程まで古びた家があった場所は、家の跡形もなく更地と化していた

「え?」

気まずそうにウーゴが頭を抱える

「ウーゴ?」

「古い家でしたので…火柱に水柱。サイクロンに落雷では…ひとたまりもありませんでした」

「えぇっ!?」

「申し訳ありませんでした」



「ごらぁぁぁぁあ!!!貴様らそこに直れぇぇぇぇっっ!!!



カティはまっすくドームの方に向かっていき、ドームの中の四帝に鬼の形相を見せていたのだった。

もちろん四帝はそんなカティを見るのは初めてで、驚愕に震えていた


その後カティが一時天界に戻って地上に降りてきた時には結界バッチリ、現在のカティの畑が出来上がっていたのだった

ようやくっ!!ようやくっ!!次回から本筋に戻れます

短編の番外編を2作ほどUPしております


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