女性の勝利
政府が、女性活躍推進法案を提出した。
女性を雇えば給与の二割、昇進させれば役職手当の二割を、企業に補助する。予算は十兆円。
取材に出ると、男たちは怒っていた。
「性別だけで優遇するのは不公平です」
「税金は、みんなが払っています」
女たちは反論した。
「これまでの格差を埋めるためです」
「社会全体への投資です」
国は男女に真っ二つに割れたが、法案は可決された。女たちは歓声を上げた。
私は記事に見出しをつけた。
「女性の勝利――平等への一歩」
翌年、政府は男性活躍推進法案を提出した。
配偶者のいる男性がスーパーで野菜や日用品を買えば、代金の二割を補助する。家庭での男性活躍を後押しするという。
今度は女たちが怒った。
「性別だけで優遇するのは不公平です」
「税金は、みんなが払っています」
男たちは反論した。
「これまでの格差を埋めるためです」
「社会全体への投資です」
私は双方の代表に、前年の発言を示した。
「このときとは、お考えが変わったのですか」
どちらからも、同じ質問が返ってきた。
「あなたは、どちらの味方ですか」
再び国は男女に真っ二つに割れたが、法案は廃案になった。女たちは歓声を上げた。
私は新しい原稿に前年の見出しを写し、後半を削った。
「女性の勝利」




