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奇貼捨録  作者:


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血婚式

(提供:30代男性/会社員)


「こんなこと言っては何ですが……」


そう前置きして、投稿者は封筒の写真を送ってきました。


差出人は、高校時代の同級生。

しかし投稿者の記憶では、ほとんど会話したことがない人物。


クラスも同じだったはずだが、顔も性格も思い出せない。


それでも、封筒は速達で届いた。


■ 招待状の内容


中には、厚手の和紙。


赤いインクで、こう印刷されていました。



2026年6月10日


血婚式をします


つきましては


◯◯高校にて


血婚披露宴及び血婚式を開催します


参加の旨をお知らせください


◯ 参加

 不参加



しかし、投稿者が目を疑ったのはその下。


「参加」に、すでに赤い◯が印字されている。


ボールペンではない。

印刷段階で丸がついている。


つまり、返信の意思確認ではなく、“決定事項”の通知。

差出人名には、確かにその同級生の名前。


そして、


新郎 ◯◯ ◯◯(同級生)

新婦 ともみ


とあった。


「ともみ」という名前に、投稿者は覚えがない。

同級生にそんな恋人がいた記憶もないし、クラスにいたかどうかも曖昧。


■ 違和感

まず、「血婚式」という言葉。


誤字ではない。

封筒の表にも、本文にも、すべて「血婚」と記されている。

そして会場が、母校の高校。


卒業式や同窓会なら分かるが、結婚式を高校で挙げるという発想自体が不自然。


さらに、式の日付。


2026年6月10日。


投稿者の卒業アルバムを確認すると、その日は偶然にも同級生の“出席番号”と一致していた。


(仮に出席番号が「610」だったとする)


偶然にしては、出来すぎている。


■ 連絡


投稿者は半信半疑で、同級生の名前をSNSで検索。


同姓同名は数件ヒットしたが、顔写真は一致しない。

卒業アルバムを引っ張り出し、ようやく顔を確認。


だが、そこに写っているはずの彼の顔が、ぼやけている。


他の生徒は鮮明なのに、その人物だけが、光で飛んだように白い。


印刷ミスかと思ったが、家族に見せると、「最初からこんなだったよ」と言われた。


■ 追記


封筒の裏には、小さく一文。


「※血縁者以外も参加となります」


投稿者は一人っ子で、その同級生と血縁関係はないはず。


それでも、“参加”に丸はついている。

そして消印は、投稿者の母校最寄りの郵便局。


しかしその日は、学校は休校日だった。


◆作者より


「血婚」という言葉は一般的ではありません。

少なくとも、正式な儀式名称としては確認できていません。


ただ一つ気になるのは、“血縁者以外も参加となります”という一文。


もし血縁でないのに参加が確定しているとしたら、その式は何をもって“縁”とするのか。


招待状には、返信期限が書かれていません。


すでに参加が決まっている式に、欠席という概念はあるのでしょうか。

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