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犬だと思って拾ったら、どう見ても猫でした  作者: 櫻木サヱ
犬を拾った日

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4/4

犬はボールを拾わない

犬との生活は、私の想像と少し違っていた。


 まず、吠えない。


「静かな犬だな……賢い」


 次に、物を投げても取りに行かない。


 私は部屋の端からボールを投げた。


 ころころと転がる。


「ほら! 取ってこーい!」


 犬は、じっと見ている。


 目だけで追っている。


(あれ、誰が回収する前提?)


 数秒後、犬は私の膝の上に跳び乗り、丸くなった。


「……え?」


 私は混乱した。


 ボールは、部屋の隅に転がったままだ。


「……犬って、もっとこう……」


 私は言葉を探した。


「走ったり……息切れしたり……」


(それ、犬)


 犬は内心で頷いた。


 夜になると、犬は窓辺に座り、外を眺め始めた。


 じっと。

 無言で。


 通りを歩く人、車のライト、風に揺れる木。


「……哀愁あるなぁ」


 私は勝手に感動していた。


(ただの観察)


 夜中、私はトイレに起きた。


 すると、視界の端で何かが動いた。


 棚の上。

 カーテンレール。

 ドアの上。


「……忍者犬?」


 私は本気でそう思った。


 犬は、軽やかに着地し、私の前に座る。


 そして、静かに言いたげな目で見上げた。


(いい加減、気づかない?)


 私は、微笑んだ。


「大丈夫だよ。ちゃんと犬として育てるから」


 犬は、その言葉を聞いて、ゆっくりと目を閉じた。


(……長期戦だな、これは)

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