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犬だと思って拾ったら、どう見ても猫でした  作者: 櫻木サヱ
犬を拾った日

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3/4

犬は散歩に行かない

翌朝、私はやけに早く目が覚めた。


 理由はひとつ。

 犬だ。


 昨夜は段ボールとタオルで簡易ベッドを作り、床に寝かせたはずだった。

 それなのに。


「……なんでそこにいるの?」


 視界の端。

 カーテンレールの上。


 犬がいた。


 正確には、犬だと信じて疑わない何かが、細長い体を器用に折りたたみ、絶妙なバランスで鎮座していた。


 目が合う。


 じっとしたまま、瞬き一つしない。


(……あ、起きた)


 そんな顔だった。


「すごいな……高いところ好きなんだな……」


 私は感心した。


 犬は高いところが苦手、という一般論は知っている。

 だが、それはあくまで一般論だ。

 この犬は、きっと違う。


(いや、違うのはそっちの認識だ)


 犬は心の中で淡々と訂正した。


 私はカーテンを開け、朝日を浴びながら言った。


「よし、散歩行こうか」


 その瞬間だった。


 犬は、ゆっくりと顔を背けた。


「……え?」


 もう一度言う。


「散歩。犬、散歩好きだろ?」


 完全無視。


 それどころか、あからさまに尻尾を体に巻き付け、眠そうに目を細めた。


(朝の散歩とか、何の罰ゲーム?)


 私は少し考えたあと、前向きに解釈した。


「そっか……昨日、疲れたんだよな。無理しなくていいぞ」


 優しさである。


 犬は、その優しさを当然のように受け取った。


 朝ごはんに用意したドッグフードには、見向きもしなかった。


「……食べない?」


 匂いを嗅いで、顔をしかめ、床を一瞥してから、静かにその場を離れる。


(これは、違う)


 冷蔵庫の上に登る。


(こっちだ)


 私は腕を組んだ。


「……選り好みする犬か。グルメだな」


 その日の夕方。


 私は意を決して首輪とリードを装着しようとした。


 結果。


 全力拒否。


 歯は立てない。

 引っかきもしない。

 ただし、液体のように逃げる。


(なんでそんなに体柔らかいんだよ)


 私は床に座り込み、息を整えた。


「……まあ、室内犬ってことで」


 犬は、勝利を確信した。


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