Abandoned Night 9話
「その話、聞かせて貰ったよ。」
暗闇の向こうから声が聞こえた。
振り向くとそこにはソラが立っていた。
ユニは警戒した様に言う。
「またお前か。何回言っても無駄だ。俺は悪魔と契約しない。」
ソラはフフッと笑って
「そんな殺気立てないでよ。僕はお願いしに来てるんだ。君が悪魔にならないと何も始まらない。生き残ったって意味が無い。」
ソラは続けて言う。
「でも、もう待つ必要は無くなった訳だ。十分待ったし。君が悪魔と契約するには君のお父さんを殺せば良いんだ。」
ユニは理解できない顔をしている。
それでもソラは続ける。
「この悪魔と契約した人同士の戦いには、一般の人を巻き込むのは禁止されてる。けど大丈夫。悪魔の力を使わなければ良い。僕が生き残れば、君のお父さんの記憶を消して寂しくさせないであげても良い!あっでも僕が生き残ってるという事は君も死んでるって事か…なら尚更良い!どうせ死ぬんだ!悪魔と契約して二人とも死んでよ!!ユニ!!」
「…狂ってるのか…?」
ユニは絞り出したような声で呟く。
「ん?何か変な事は言ったかな?分からない事があれば質問はいくらでも受け付けるよ?」
ソラはニッコリ笑う。
「でもさぁ、もう時間切れ。早く始めよう。生き残りをかけた戦いを。ね?ミラ?」
その時、ソラの後ろからゆっくりとミラが現れた。
私と目があったがフンッと逸らされてしまう。
「な、何をするつもりだ!いい加減にしろ!諦めろ!俺は悪魔になんかなったりしない!」
ユニは大声で叫ぶ。
するとユニの後ろからユニのお父さんが出てきた。
「ユニ?何か騒がしいけどどうした…」
ユニのお父さんが言いかけた途端ミラが飛び出し包丁を突き刺した。
ユニのお父さんはミラが離れると同時にゆっくり倒れていく。
「私が一番になるためだったら何でもしてやるんだから…。そこの赤い目の子、よく覚えておきなさい?」
静かにミラは呟く。
ソラは笑いながら拍手して言った。
「さすがだね!ミラ!君に嫉妬させれば右に出る者は誰もいないよ!」
シオンちゃんは息を呑んで固まっていた。
ユニは下を向いていて表情が分からない。
「お父さん…仕事のきりがついたら海見に行こうって約束したよな…。お母さん…天国に行ったら一緒にいられるって約束したな…ごめん。二人とも。俺…約束破っちゃう…。」
ユニは声を震わしながら言う。
「悪魔!!俺と契約だ!俺の名前はユニ!!こいつらをぶっ殺す!」
ユニは空中から長めの鎖の先に短刀みたいなのがついている武器を取り出した。
ソラは笑い「そう来なくっちゃ」と槍を出す。
すると横にいたシオンが飛び出して二人の間に入って「二人ともダメェ!!」と叫んでいた。
ソラとユニは武器を一旦降ろした。
「何?邪魔なんだけど?それとも先に殺されたいの?」
ソラは不満そうに言う。
シオンはユニに向かって言う
「ユニ君!ダメ!お願い!後悔してほしくないの!」
「後悔?俺はもう失う物も後悔する物もない。」
ユニは怪訝そうだ。
シオンは続けて言う。
「ううん!あるよ!それはユニ君自身だよ…!お父さんを殺されて悔しくて悲しくて憎いのは分かるよ…でも!ここで感情に任せて人を殺したら…ユニ君自身を殺してるのと同じだと思うの…だからお願い…今は…今だけは…辞めて欲しい…。」
ユニはゆっくりと深呼吸をし「…分かった。」と呟く。
ソラはつまらなさそうにしてる。
ミラは暇なのかずっと携帯をいじっている。
ソラはあくびをしてから「さぁ、帰ろうか。もう朝みたいだし。」
ミラはフンッとそっぽを向いて「誰があんたの指図なんか受けるもんですか!言いなりになったと思った?勘違いしないでよね!今回は特別よ!」
ソラとミラは反対方向に歩いて去っていく。
そして、私とシオンとユニが取り残されたまま朝を迎えた。




