Abandoned Night 5話
しばらくして、マモルが戻ってきた。
イツキの亡骸を見つめ、石を探して出す。
「おにいちゃん…?マモルおにいちゃん…?お菓子…」
黒い塊から弱弱しい声が聞こえる。
マモルは諦めた様な目をしながら、黒い塊から緑の石を見つけた。
「この石を壊せばイツキは死ぬ。死体は消えて、そして俺たち悪魔以外の周りの人間からの記憶からも消える。」
そしてどこか悲しげに淡々と言いながらマモルは石を壊した。
そうか。人は石を壊すだけで本当に死ぬんだ…。以外と脆いんだ…。
「ありがとう。マモル。これで一人消えたわね。」
「あぁ…ありがとうなミラ。お前のおかげで一人の悪魔を殺す事が出来たよ。」
マモルは私に背を向けた状態でミラと話をしている。
「私ね、誰にも心を開いてなかったの。いつだって私が一番だと思ってるうちに気づかないうちに独りになってたみたい。ありがとう。私に独りじゃない事を教えてくれて。」
二人はお互いを見る。
その時、私の悪魔マモンが言っていた事を思い出す。
この武器をどう使うかは自分次第と。
使ってみたくなった。
だって私、自分の意思で何かを決めた事が無かったから。
意思を持つ事すら許してくれなかったから。
今なら…きっと…。
誰にも怒られない。叩かれない。蹴られない。
そう自分に言い聞かせた。
「俺だって独りだと思ってた。ミラありがとうな。俺も…」
私は思いっきりジャンプして鎌を振りかざしてマモルの首を切る。
丁度石のあるところを狙って。
首と体の隙間から驚いた顔のミラと目があう。
マモルはだんだん消えて行く。
私が地面に着地した時にはマモルは消えていた。
これが殺すって事なんだ…。
死ぬって事なんだ…。
「ふ、ふざけるなー!!!」
聞いた事ない口調で急にミラが喋りだしたと思うと銃を構えてこちらを狙い打ってくる。
私は逃げる事しか出来ず。物陰に隠れた。
しばらくすると、ミラのすすり泣く声が聞こえる。
「マモル…マモル…。せっかく友達が出来たと思ったのに…心を許せたと思ったのに…。私…私は…また独りなの…?」
何で追って来ないんだろうと思ったらもう朝焼けだ。
目に日差しが入ってきて眩しい。
手にはまだ、切った感触が残っていた。少し不気味に感じる。
長い長い夜が終わっていく。
夜は気味の悪い手の感触まで持って行ってはくれなかった。
続く




