Abandoned Night 16話
後ろを振り向くと、いつぶりに会っただろうか
石をくれた老婆に出会った。
老婆はゆっくりと近づいて私に拍手をしてきた。
「私の目に狂いはなかった…やはり汝は悪魔の子じゃ…」
どういう事だろう…私は悪魔なんかじゃない…
「不思議そうな顔をしておるが、汝は不思議に思わなかったのかの?最初から。最初…汝は何事も無く家を出られた。何故じゃ。そんな小さい体でドアを開けられて無事でいられるのは…それは最初から強欲の悪魔の才能があったからじゃよ!」
私は頭がこんがらがりそうだ。
でも確かに今まで生きてる。怪我もなく。
言われてみれば確かに不思議だ。
すると老婆は付け加えて
「それに、汝は人と比べて冷酷じゃった。しっかり見ておったよ。虐待を受けていた時に心を動かしたくないと強く願ったからじゃ…あぁ、本当に汝を選んで良かった…そう思うだろう?悪魔。」
私の後ろにいる悪魔に問いかける。
悪魔は何も答えない。
何だろう…この気持ちは…私は何だろう…私は一体何なんだろう…
すると老婆は思い出した様に口を開く
「そうじゃ…この戦いは最後に生き残った者に願いを1つ叶えるんじゃったな。汝、願いを聴こう。」
願い…私の願い…
そんな物ない。でも今まで出会った人の事を思い出した。
色んな人がいた。もし違う世界線で出会っていたら…仲良くなれたのかな…?
ちゃんと自分の気持ちがあって自分の気持ちを人に喋れるようになっていたのだろうか?
もし、皆が生きていたら、皆は何を願うんだろう…
私は考えてみたが分からなかった。
でも唯一分かるのはきっと皆戦いを望んで無かったのかもしれない。
だから思った。考えた。
そしてこの願いにした。
「私は、色んな人を見て来た。だから色んな事を感じた。そのうえでお願いがある。貴方がいる限りこの戦いが続くんだったら私は貴方に死んで欲しい。…死んでよ。悪魔。」
そう言った瞬間、老婆は苦しそうにしながら「汝…」と何か言いかけたが言い終わる前に消えて行った。
すると後ろにいた悪魔が呟いた
『お前、分かっているのか?その願いは自分もを殺すことになるんだぞ?』
そう分かっている。私は悪魔の子。でも寂しくはない。
「大丈夫。だって貴方も一緒でしょ?」
悪魔は『フッ』と笑い一緒に消えて行く。
ついでに自分の赤い石も投げて鎌で砕く。
一回は人を殺した鎌で自分を殺すことになるなんて、なんて皮肉なんだろう…そう感じたが後悔はない。
「皆、幸せで…」
海風に身体を任せた。消えて行く感覚を感じる。
あぁ皆に出会えてよかった…




