Abandoned Night 13話
その時だった。
部屋の窓がパリンと割れた。
外の風でカーテンがなびく。月明かりに照らされた影に見覚えがあった。
風に揺れるフワフワした髪。揺れてるスカート。少し甘い香り。
…ミラ?助けに来てくれた…?
考えてるとパァン!と銃声が聞こえた。
「ここまでよ。ソラ。」
確信に変わった。ミラだ…。
パッとソラの方を見ると膝から崩れ落ちてるソラがいた。
「…どうして…僕の石の…場所を…?」
さっきの銃声はソラの石を狙い打った音だったらしい。
ミラは軽くため息をついて言った。
「さっき、女子会をしたの。その時にシオンのスカートのポケットに小さい盗聴器入れたの。だからよ?
まぁ今更聞いても、あなたにとっては何もかも遅いでしょうけど。」
「…ッ」
ソラは悔しそうに何か言いたそうに消えて行った。
ソラが消えてからミラはゆっくりと私の方に歩みよる。
「怪我はない?アイ。」
初めてミラに名前を呼ばれた気がした。
「…ない。ありがとう。」
そう言うとミラはフンッとそっぽを向いて
「勘違いしないでよね!別に心配してる訳じゃないんだから!…ただ同盟組んでるのに勝手に怪我何てされたら困ると思っただけよ!」
「…うん。分かった。」
ミラは何で来てくれたんだろうか…
「はぁ、シオンが自害するのは予想外だったけど、ソラを消せて良かったわ。あいつが一番めんどくさそうだもの…」
ミラは全部分かっていたのだろうか?
「…ミラ、何で来てくれたの?全部こうなる事分かってたの?」
「いいえ?でも予想はしてたわ。ソラは自分の事を話すのが好きそうでしょ?だから二人相手だったらポロッと自分の石の場所とか話しそうだなって思ったのよ。」
ミラは頭が良さそうだ…。私もミラみたいに頭が良ければシオンちゃんを助けられたのかな…。何かあの時言ってあげられたんだろうか…。
こんなに人の事で後悔をしたのは初めてかもしれない…。何でだろうか。
「何よ。ボーっとして。行くわよ。」
「…どこに?」
「知らないわ。でもここにいたら気味が悪いじゃない。それにここはいずれ普通の人にもバレるでしょ?ずっといれる訳ないわ。」
ミラの言う通りだ。
私は立ち上がりミラについて行く事にした。
二人で歩いてると気まずさを感じた。
シオンちゃんとは違った感じだ。緊張する。
しばらく無言の時間が続くとミラが口を開く。
「ユニはどこにいるのかしらね…」
石を見れば分かるのにと思ったが、また生意気な子だと言われたらちょっと嫌なので言わなかった。
「…アイ?もしかして、石を見れば分かるのに。みたいな事思ってない?」
「…どうしてわかるの?」
「変な間と顔よ。私が気まずいかもと思って、話題を提供してあげたの。ありがたく思いなさい?それともアイから聞きたい事があるなら、聞いてあげても良いわ?」
私から聞きたい事…。そうだシオンちゃんは占い師から石を貰ったと言っていた。ミラはどうやって石を手に入れたのだろう…。
「ねぇ、ミラ…ミラはどうやって石を手に入れたの?」
「そんな事聞いてどうするのよ…。まぁ良いわ教えてあげる。その代わりアイも教えなさいね?」
コクリと頷くとミラは続けた。
「私はね、何でも一番じゃないと気が済まないの。学校の勉強も運動も。だからね、一番じゃなくなると嫉妬しちゃうの。そして、ある日一番じゃなくなったのよ。その時にクラスメイトの1人を殺しちゃったの。そしたらねその子のポケットからピンク色の石が落ちて来たの。そしたら悪魔が出て来て『君の方が嫉妬の悪魔に向いてる私と契約しよう』って。それで石を貰ったのよ。」
悪魔は持ち主を選べるのだろうか?じゃあ何で私を選んでくれたんだろう…?
それにミラはソラの次に危ない人かもしれない。
「で?話したわよ。アイは?どうやって石を手に入れたの?」
「…私。私は、家出をして、その時に知らないお婆ちゃんに会ってそれで貰った…」
「ふーん。そうなのね。何で家出なんてしたの?」
痛い所をつかれた気がした。
「…えっと、実は親に殴られたり、蹴られたりして、嫌だったから家出したの…。」
ミラは真剣な表情で聞いてくれた。
「大変だったわね。でも不思議ね。痣とかあんまり見当たらないけれど…まぁ良いわ。アイ。一言だけ言ってあげる。もしね、親に殴られたりした事があるという事が自分に原因があると思わない事ね。」
なぜそんな事を言うんだろう?
「…どうして?」
「囚われすぎても良い事なんて無いわ。だから自分に原因があると思い込まない事ね。約束よ?」
私は頷いた。
何だろう少し心が軽くなった気がする。
「あら、もう夜が明けたのね。」
ミラの言う通り空が明るくなって来た。
「さぁ、行きましょ?今日は特別に私の部屋で休んでても良いわ。」
私はミラの言葉に甘えてミラの部屋で休む事にした。




