表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/17

Abandoned Night 1話

風と雨が私の心と体に出来た傷に染みこんで痛い。


何もこんな時に手ぶらで家出をしなくても良かったんじゃないか…。

でも今日しかなかったんだ。

あんな所から逃げ出せるのは…。だからしょうがないんだ。


そう自問自答しているうちに、どれくらい歩いたのだろう?

私は歩き疲れてしまったので、暗い夜の隅っこに座って、私はゆっくり目を閉じた。

しばらく眠っていると、空気は冷たいまま風と雨が嘘のように止んでいた。

恐る恐る目を開けると、赤黒く冷たく光るネックレスが湿った地面にあった。

目を上げると老婆の姿があった。

暗くて老婆の顔は見えなかったが、皮膚の彫りが深い感じや、濡れた様なよれよれの髪が所々見えた。


私は突然の事に身体が固まり動けなくなる。

しかし、私の様子を気にする間でもなく老婆は話し出す。

『昔、女と魔物が契約をし、ある時魔物が処刑を断行した。理由の一つは、女が守りを汚す者の現れであったそうな…。汝、約束を守る事は好きか?』


老婆の言っている事が難しい。少し返答に困ったけど私はこう答えた。

「約束…守らなかったら痛い目をみるけど嫌いじゃない」


『そうかい…ならば汝には丁度いいかもしれんの…貰ってくれ。なんせ前の持ち主に捨てられた野良じゃから…。』

そう言って老婆は闇に消え、雨が降り始めた。

夢だと思ったが、さっきの謎の老婆がいたであろう場所は生暖かく、赤黒く光るネックレスは目の前にあった。


何気に目を引いたネックレスを拾おうとすると手に吸い込まれるように私の物になった。


すると重い声が私に降り注ぐ。

『何だ。ただの子供じゃないか。』


手の中から低い声が聞こえた…気のせいだろうか…。

次はお前か。と聞こえた気がする…私の事だろうか…?

不気味に感じもう一度、貰ったネックレスを見た。

しかし何も起こらなかった。気のせいだったのではないか。と思い前に視線を戻す。


すると目の前にいたのは暗くて見えづらいが、私より背が高く人の形をしていて頭は鳥のように見える。

『じっと見て…私の顔に何かついているのか?』

静かに私を見下ろし鳥の形をした顔から声が聞こえ、空気が張り詰めていくのが分かる。


「ご、ごめんなさい…。」

名前を聞こうとした。

しかし、自分の名前が思い出せないし分からないため聴くのは失礼かもしれない。と思ったので聴くのは辞めた。

怖気づく私を見て、鳥頭の彼は口を開いた。

『私の事は好きに呼んで貰って構わない。名前などただの飾りだ。』

気持ちが読めるのだろうか…?

しかし先ほどと同じ低い声で言われたにも関わらず、前まで感じていた恐怖感と違い安心するような感覚になった。


現状の整理ができた頃には、暗かった空は少し明るくなっていた。

私は一体これからどうしたら良いのか…行く当ても無ければ誰かに助けを求めたいとも思えなかった。

背が高く、顔が鳥の形をした男は周りが明るくなって来ても黒く見えて姿がはっきりとは見えなかった。

しばらく二人の間に沈黙が走る。

すると男の方から口を開いた。

『行く当ても無さそうだな。お前はどうしたい?』


したい事なんて無い。あの家から出たかっただけ。何も考えずに出て来てしまっただけ。


でも願うなら…願って良いなら…もう苦しみたくない…痛みを感じたくない。


『承知した。私はお前について行く。』


何かを悟ったかのように男は発言し姿は消えていた。


気づけば空の色が明るくなっていた。

朝焼けだ。


続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ