【悲報】クラスのマドンナ、俺の家に入り浸る
なろうで投稿するの初です。
温かい目で読んでもらえると嬉しいです。
「いけ! そこぉ! ふりゃ! 何でそこで負けるのぉぉぉーーー!!」
何でこんなことになった。
今現在、俺こと大谷 陽介のご自宅には、クラスのマドンナ、一ノ瀬 凪が入り浸っている。
こうなった経緯といえば、俺が一ノ瀬の裏の顔? を知ったからである。
偶々、休日の日に一ノ瀬とアニメショップにて鉢合わせ、少し気まずくなりながらも、お互いの趣味や好きなアニメキャラなどを話して意気投合。
そうして、一ノ瀬が俺の家でゲームをしたいと言い出したので連れて来たらほぼ毎日来るようになったのだ。
「なぁなぁ、一ノ瀬」
「ん? どうしたの?」
「いつもの清楚可憐な性格はどこに行ったんだい?」
「そんなものは部屋に置いてきた。だって私が本性出せる場所なんて陽介の部屋以外ないし」
そう、学校での一ノ瀬凪は、清楚可憐でお淑やか性格。
だが俺の家での一ノ瀬凪は、ゲーム好きのズボラオタクなのだ。
初めて一ノ瀬を家に入れた時はまだ清楚可憐な性格だった。だが二回三回、回数を重ねていくうちに一ノ瀬は俺の前だけ本性を表すようになった。
何故俺の前だけを強調したかと言うと。
こいつ、俺の家族の前でも猫を被っているのだ。
俺の家は4人家族で父、母、兄、俺なのだが、一ノ瀬は俺の父や母、兄などに対しても猫を被っている。
つまりだ。一ノ瀬のゲーム好きズボラオタクの本性は俺だけしか知らないと言うことになる。(自分の家族の前でも猫を被ってるらしいです)
「はぁ、まさかクラスのマドンナがこんな奴だとは思わなかったよ・・・・・・」
「そんな言い方しなくてもいいじゃん! 猫被るのだって大変なんだよ?」
一ノ瀬は頬を膨らませ拗ねたように言った。
性格はアレだが、見た目はクラスのマドンナと言われるほどの美貌はあるので、少しドキッとしてしまう。
サラサラしている黒髪を腰まで伸ばし、顔は小さく、周りよりもとびきり目立つ可愛い顔。街で見かければ二度見、いや、三度見はするだろう。
胸は残念だが、多分B・・・・・・
「何か変なこと考えた?」(笑顔)
「な、なんも考えてねぇよ」
何で俺の心が読めるのかはわからんが。一旦、話を戻そう。
一ノ瀬はクラスのマドンナとも言われているが、クラスだけではなく学校の中でも一、ニを争うぐらいには可愛いだろう。実際、月に三回は告白されてるし。
そんなクラスメイトが俺の家に入り浸っている。
この事をクラスの男子が知ったら多分俺は・・・
もうこれ以上考えるのはやめよう。俺は悪寒を覚えた。
まあ、そんなこんなで最近、俺の家にクラスのマドンナが入り浸っている。
★
翌日の放課後、大谷家にて。
「ねぇ陽介。このゲームってどうやってやるの?」
「ん? あぁ、このゲームはなぁ・・・・・・」
この日もいつも通り、俺は一ノ瀬とゲームをしていた。最近だと、一ノ瀬が俺の教えたゲームにハマってくれた。超絶可愛いクラスのマドンナが俺のおすすめゲームにハマってくれて嬉しい限りだ。
だが最近、少し困っている事がある。
それは・・・・・・
「ねぇ陽介。ちゃんと聞いてる?」
「あ、あぁ。ちゃんと聞いてるが・・・・・一ノ瀬、なんか距離近くないか?」
「え? これぐらいが普通だと思うよ?」
いや、いくら何でも俺の膝に座るのは流石に一線超えてませんか? 童貞の俺でも分かりますよ?
「もう、これだから童貞くんは。こんだけで一線越えるわけないじゃん」
「なんで俺の心が読めるんだよお前は」
てか、今はそんなことどうでも良い。
そう、最近の俺の悩みは一ノ瀬の距離が近い事だ。
最初は軽いボディータッチから始まり、次に肩を寄せ合い、次に腕組み、次に後ろから首に手を回すバックハグ。
流石に付き合ってもない異性の相手とすることではない。それに童貞はちょっとしたことで勘違いするから普通にやめてほしい。
「普通、付き合ってすらもない異性同士はこんなことしないと思うんだけど」
「えぇ? そうかなぁ〜? これくらいの距離感が普通だと思うんだけどなぁ?」
何だこのわざとらしい態度は。
やっぱ明らかに俺のこと揶揄ってるよな?
「いや、やっぱこの距離感はおかしいと思う。やっぱり俺達はまだ付き合ってもな・・・・」
「まだ?」
俺の失言に素早く反応した一ノ瀬は、ニヤニヤしながら俺を揶揄うような目で見てくる。
「い、今のは言葉の綾というか何というか・・・・」
俺が口籠ると一ノ瀬はさらに追い討ちをかけてくるような勢いで口を開いた。
「なにをそんなに焦ってるのぉ? 陽介くん、少し期待してるんじゃない?」
「き、期待なんてするはずないだろ」
ポーカーフェイスを崩さずに言ったが、本当は全然期待してました。むしろいつも期待しすぎて妄想とかして悶々としてました。
「またまたぁ〜、そんなこと言って本当は期待しちゃってるんじゃない?」
「とにかく! この話はもう終わり! はいはい、ゲームやるよ」
俺は赤面した顔で話題を逸らした。
今も一ノ瀬がニヤニヤした顔で俺のことを見てくる。
クッソ、めちゃくちゃ恥ずかしい。
俺はそう思いつつも、気持ちを紛らわすためにゲームを再開した。
★
「よし、飯でも作るか」
ゲームを再開してからしばらく経ったが、少し腹が減った。今日は両親共々いないので俺が飯を作らないといけない。
「え? 陽介ってご飯作れるの?」
「当たり前だろ。今日は母さんと父さん両方とも仕事だし。兄さんはいつも部活で帰ってくるの遅いから、消去法で俺が作るしかないだろ?」
ちなみに俺の兄は高校三年生で18歳、部活はバスケ部をやっている。俺は高一、帰宅部。
「い、いや。陽介、ご飯作れるんだって思って・・・」
この反応、まさか一ノ瀬って料理が苦手系女子か?
「昏睡薬とか媚薬とか入れたらダメだからね?」
「お前は俺を何だと思ってんだ」
てか、昏睡薬なんてあるわけないだろ。媚薬なら何故か父さんの部屋にあるが・・・・・・
まあ、もう使う場面なんてないと思うけど。父さんも母さんも歳だし。
そんなことを思いつつも、俺は自分の部屋から出てキッチンに向かった。
「一ノ瀬、今日うちで飯食べてくか?」
「うん。陽介のご飯がどれくらい美味しいか審査してあげる!」
一ノ瀬は平べったい胸を張り答える。
うん・・・・・何故俺は一ノ瀬に睨まれているんだ? もしかしてバレた?
「い、一ノ瀬は何が食べたい?」
「うーん、オムライス」
「オムライスか、確か卵がここに・・・・・・って、やっべ。卵ないな。すまん一ノ瀬。卵ないからオムライス作れない」
「そうなの? じゃあ今から買いに行く?」
「まあそれも一つの手だが、買ってくる間、お前も暇だろ?」
「え? 何言ってるの? 私も買い物手伝うに決まってるじゃん」
「え?」
「てことで、はいはい早く準備して!』
こうして一ノ瀬の提案により、俺は流されるがまま、一ノ瀬と一緒に買い物に行くことになった。
★
「ねぇねぇ陽介、今の私たちって若夫婦って思われてるのかな?」
「確かに、さっきから俺らを見てくる視線は多いいが、それは多分、お前の男を惑わす美貌が原因だぞ?」
俺がそう言うと一ノ瀬は頬を朱色に染めながら俯いた。
こんだけで恥ずかしがってどうすんだよ・・・・
俺はそう思いながらオムライスに必要な材料をカゴに入れていくのだった。
★
「よし、材料もスーパーで買ってきたし、早速オムライス作るか」
「イェーイ! 待ってました!」
あの後、俺たちはスーパーでオムライスの材料を買い、家に戻ってきた。スーパーにいた時、周りからの視線がマジで痛かった。なぜか一ノ瀬の機嫌は良かったが。
そして俺はオムライスを作り始めた。
使っている途中、ふと頭によぎった考えを一ノ瀬に聞いてみることにした。
「なあ一ノ瀬。お前ってなんで周りの人には猫被ったりすんだよ」
「それ聞いちゃう? 結構グロい話になるけど聞いちゃう?」
「遠慮しとく」
「普通そこで引く!?」
「いや、なんか気まずいし」
「さすが童貞」
「童貞は関係ねぇだろ。それよりも早く教えろよ」
「なんか私陽介に振り回されてる気がする。まあグロいのは冗談だけど・・・」
一ノ瀬はそう言った後、意を決したように小さい胸を張り、話し始めた。おっと、またもや鋭い視線が感じるぞ。
「私ね、小さい頃から親とか周りの人達とかに期待されてきたの。勉強とか運動とか得意だからさ。ついでに私可愛いし。だから周りの人に迷惑かけないように、自分の気持ちを引っ込めて過ごしてたらいつの間にか周りに猫被るようになっちゃってね。だからずっと・・・・陽介みたいに本当の私で話せる友達が欲しかった。まぁ、こんな事があったから、私は周りの人には猫を被って、陽介の前では本性を曝け出す!ってな感じになったよ・・・」
最後に一ノ瀬はぎこちない笑みを浮かべながら俺に猫被りの理由を話した。その笑みは力がなく、まるで俺に縋るような笑みだった。
そんな笑みを見たからか、自然と俺の口が開いて言葉を発した。
「お前が周りに猫を被る理由はわかった。だけど、俺の前では猫を被らないでくれ。今まで通りで頼む。俺は本当のお前とこれからも会いたいと思っているしゲームしたり一緒にご飯を食べたいと思ってる。まあ、俺の存在が一ノ瀬にとっての支えになってるなら、な?」
俺はそこまで言って、自分が結構恥ずかしいことを口走ったと考え。少し頬を朱くした。
そして俺と同様に一ノ瀬も、頬を朱くし、目を見開いて驚いていた。
「な、なんだよ」
「いや、陽介がいつも以上にかっこよく見えたから・・・・」
そう言った一ノ瀬は顔を朱くしながらも揶揄うような笑みを浮かべ俺を見つめていた。
「あぁあ! もうこんな湿っぽい話はやめだ! オムライス出来たから食うぞ!」
「あははっ、照れてる陽介かわいい」
「うっせ!」
そう言って俺達は2人で合掌し、オムライスを黙々と食べるのだった。ちなみにこの時の一ノ瀬は首まで真っ赤かになっていたが、それに触れると一ノ瀬が怒るので俺は気付かないフリをした。
★
オムライス大恥時間から三日後、あのような恥ずかしい事件があっても、今もなお一ノ瀬との時間は続いている。
そして今日もどうやら一ノ瀬が俺の家に来たようだ。
俺は玄関に向かい、扉を開くといつも通り一ノ瀬がいた。
「今日も来ちゃった」
「お前が最近俺の家に来すぎじゃない?」
俺がそう言うと一ノ瀬ははにかむ様に笑いながら言った。
「だって私にとって一番大切な時間だからね!」
こうして俺の家にまた、クラスのマドンナが入り浸るのだった。
この数日後、クラスで『【悲報】クラスのマドンナ、一ノ瀬凪が大谷陽介の家に入って行った!』っという話題が上がり、俺はクラスの男子達に一ノ瀬との関係を聞かれるのだった。
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