056:祝賀会②・笑ってこらえて!
す、すみません!!
3日前に、この話を投稿したはずなんですが、何故か投稿されていなかったので、もう1回載せます。
…たぶん実行ボタンを押してなかったんだと…(泣)
祝典が終わり、祝賀会の会場に移動となりましたが…
只今、入り口は凄いことになっております!
「ねえ~デニス…あれって何してんの?」
祝賀会場の入り口にズラリと並べられた細長いテーブル…
その上には、ところ狭しと言う感じで並べられた宝物の数々…
その前に並んで必死に何かを書き込んでいる人たち!?
そう、私達が祝賀会の会場に着くと、各国の王族や外務大臣らしき人たちが列をなして、なにやら行っている光景に出くわしたのだ!
「はぁ~あれは受付です」
「「「はいぃ~?」」」
「ですから、あれは祝賀会の会場に入るための受付です」
「で、でも何か凄いモノ飾ってあるし、壁に何か貼りだしてない?」
「ええ、あれは各国からのお祝いの品と目録です」
「「「目録?」」」
「はい、頂いたお祝いの品は見せるために飾るのですが、ここに持参できないモノ…例えば、馬などの生き物や大型家具とかは、目録を渡して張り出すことになっております。」
「へぇ~凄いわね~
って、じゃあ…あそこに並んでいるモノって各国のお祝いの品?」
「そうですよ、この祝賀会の終わりまで2日間飾られます。」
「え~じゃあ、どの国が何を贈ったか丸わかりなの?」
「はい、国の威信をかけた、贈り物合戦の場になります」
デニスの説明に、祝賀会にかけるヨハンの意気込みを思いだし、
「…これはヨハンが、お金をかけた訳だ…しかし、貰った国の丸儲けか~」
一人納得したマリーだったが、その横でエリザベスとフィリップが、
「まあ!じゃあマリー様の戴冠式を、省略したのは失敗だったわね~」
「何言ってるんですか、あの時は我が国に祝典を開くお金なんてありませんでしたよ!」
「あら~借金して祝賀会を開いたって良かったじゃない?こんなにお宝がもらえるなら、式典が終わったら売っちゃえば良いじゃないのぉ~」
と言い合っている。
そこで、デニスが3人の思い違いを訂正する。
「お3方とも何を馬鹿なことを言っているんですか!こんな目録まで頂いたモノ、おいそれと売れませんよ!
大体、貰っただけで済むわけ無いでしょう!!お返しは半返しなんですから!!!!」
「「「え?半返し?」」」
「ええ!だから、そのための目録です!!金貨10枚分のお祝いを頂いたら、金貨5枚分のお返しを渡すのが決まりです!!」
「「「げ~!?じゃあ足が出ちゃうじゃん!!!!」」」
「そうですよ、どこの国もお金を使うだけで得はしません!」
「「「………」」」
それって、結婚式(または葬式)の祝儀(不祝儀)金と引き出物じゃんかぁ~~~~!
と思ったマリーであった。
「取りあえず、我が国も受付をして、中に入りましょう」
あまりの事に呆けてしまった3人を置いて、デニスが受付に向かっていく。
「………そう言えばマリー様、我が国の“お祝いの品”って、何にしたのかしら?」
「あら?エリザベス…じゃなかったオリバーは、知らなかったの?」
「知らないわよ!だってみんなナイショって言ってたでしょ?」
すっかりおねえ言葉に戻っているエリザベス…もといオリバーにフィリップが注意する。
「オリバー、口調が戻ってるぞ!!」
「あら!失礼~それでは改めて…マリー様、フィリップ殿、お祝いの品は何ですか?」
フィリップの注意を、あっさり流し芝居がかった口調で中身を尋ねるオリバーだった。
そんなオリバーにため息をつきながら、マリーとフィリップがハモって答えた。
「「時計よ(だ)」」
「は?時計??そんなの珍しくも何ともないじゃない?じゃなかった、だろう?」
あまりに普通のモノなので、一瞬素に戻って、慌てて語尾を直すオリバーに小言を言いながら、マリーが追加で情報を与える。
「ややこしいわね~早く口調を統一してよっ!…タダの時計じゃなくてカラクリ時計なの!!」
「カラクリ時計?何それ?」
「マリー様の国にあった、1時間ごとにハトが出て来て、1時なら1回、2時なら2回と言うように、ハトが鳴いて時間を知らせるモノだそうだ」
実は、この世界にも時計はあったが、カラクリ時計というモノは無かった。
そこで、マリーが職人を呼んで新たに作らせたのである。
「はあ~カラクリ時計ねぇ~?ハトが出てくるのは良いとして…
ハトって鳴き声なんかあった?」
「「ポッポー」」
「何それ?まさか…そんな変な鳴き声が、ハトの鳴く声だって言うの?」
「いいのよ!!私のいた所では、ポッポーって鳴いたんだから」
「ま、貰うのは私じゃないから良いけどね…
A皇帝は、1時間ごとにその声を聞くのか~ご愁傷様~~~~」
厳しいオリバーの突っ込みに引きつりながらも、
「と、取りあえず、芸術品だから良いのよ」
「そ、そうですよ!外側は高級な桐の木を、ほぼ1本使って各パーツを作り、浮き彫りは四季をモチーフに職人が4人がかりで彫刻と彩色を行うなど2ヶ月掛かった大作です。おまけに長針には金を短針には銀をあしらい、時間の目盛りはルビーやサファイヤなどの宝石を埋め込んだ超・高価な代物です!!」
と、マリーとフィリップは反論する。
「あ~はいはい、ところで…デニス殿が無事受付を終了したようよ~
それではマリー様、お手をどうぞ!」
「ありがとうオリバー、じゃあフィリップも行きましょう、この祝賀会で皇帝に挨拶したら、ソッコーで帰るわよ」
「い、いや~マリー様さすがにソッコーは無理ですよ!せめて2時間は各皇室・王室の方々と歓談して下さい!」
用事を済ませたら、さっさと帰るつもりだったマリーだが、フィリップにだめ出しをされる。
「………仕方ないわね、腹芸は苦手なんだけど…お芝居だと思って頑張るわ!」
「「…十分お上手だと思いますが?…」」
「うるさいわよ!ソコ( ̄ヘ ̄#)何なら、2人とも婚約者ですって言ってあげましょうか?」
「「そ、それだけはご勘弁を~~~!」」