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051:モグラ叩き

やっとA帝国の首都に着きました。


トントントン

執務机を指で叩く音のみが響く、無言の空間…

が、少なくとも、この室内には成人男女が20人ほど息を殺してたたずんでいる。



そう、ここはA帝国(正式名称:アルザート帝国)の首都パルハバート郊外にある、グラウンド王国大使館内、大使の執務室

だが今、執務机に座っているのは、大使ではなく国王マリーである。

そして、執務机を挟んでズラリと並んでいるのは、A帝国大使館勤務の大使及び主要官吏10名、その後ろにはフィリップとエリザベスとデニス、マリーの近衛隊員が並んでいる。



「取りあえず、説明して貰いましょうか?エアンデル大使」



額に怒りのタコマークを浮かべ、マリーがA帝国駐在の大使に問いかける。



「は?説明と申されましても…何をでございましょう?」



と、心底不思議そうに返答する大使に、ブチ切れたマリーが、バンバン机を叩きながら



「この大使館の建設費用よ!一体いくら使ったのっ!!!!」



「え?ああ金貨5枚ほどで、かなりお安かった割に良い出来でございましょう!

工事も帝国宰相様のご懇意にしていらっしゃるという会社に頼みましたので、すばらしい仕上がりになっております。」



そんな大使の言葉に追従するように、官吏達も



「そうですよ!それに家具もB帝国大使がお国の職人を紹介して下さって、我が国でも人気の高い、モーリン工場の一品なんですよ~」



だの



「それに、大広間に敷いている大理石は、D王国の大使が進めて下さった、D王国産の希少なピンク大理石です。」



などなど~~~~~

そんな自慢話を聞き、マリーの顎が落っこちた。



「ばっ!馬鹿!?あんた達馬鹿?」



「な!なんですと!いくら国王様でも言って良いことと悪いことが…」



「おだまりっ!!」



反論しようとした大使を一喝して、



「エリザベス!この大使館内全てをサーチして、今すぐ抜け道や隠し扉、隠し部屋、全てを塞ぎなさい!!家具の中も全部よ!

もし誰か隠れていたら、どこの国の者か聞き出しておいて、後は【オードリー】と【アンジェリーナ】にでもあげるわ、好きにしなさい。」



「もう、簡単に言ってくれちゃって~それってかなり大変なのよぉ~」



「いいからやりなさい!!」



渋るエリザベスを叱咤して水晶球を取り出させ仕事にかからせる。

そして、外務大臣(デニス)に聞く、



「デニス、あなた骨董とか家具に詳しかったわね?」



「はい、本職には負けますが、美術工芸品でしたら、たぶん分かると思います。」



と、デニスが答えたので、



「分かる範囲でいいから、この館の絵画・家具・備品を査定して、値段など概算を出しておいて」



「分かりました」



そんな話しをしている内に、館内のサーチが終わったらしいエリザベスが、水晶玉から顔を上げた。



「凄いわよぉ~この館、まるでカラクリ屋敷よ~

外からこの館に入れる道が3つ、中の隠し廊下が5つ、隠し部屋は7つ、覗き穴は無数だわ~

あ!家具にも隠れる場所が作られてるわよ~

で、家具に1人、隠し部屋に2人、隠し通路に1人隠れていたから、待機していた近衛兵に拘束させてね~

他にマリー様の寝室になるはずの貴賓室にも隠し通路があって、大物が1人と従者が3人隠れているわよ」



と、そんなことを言う。

大使や官僚が驚いて聞き入る中、マリーは平然と問う



「大物って誰?」



「たぶんこの国の王子様じゃない?偉そうにしてたから~」



「あらあら抜け駆けして夜ばいかしら?我が国の撃墜王(エース)の噂を知らないのかしら、まだまだね~エリザベス

ま、そっちも捕まえて好きにしていいわ、この敷地内に不法侵入しているんだから、文句なんて言わせないわよ」



そして、大使達に向き直り



「あなた達は拘束後、国に強制送還します。フィリップ後のことは任せたわよ!」



「分かりました」



マリーが怒っているため、今まで口出しできなかった大使や官僚だが、フィリップさえもが異を唱えずに自分たちを拘束しようとしたのを見て騒ぎ出した。



「「「な!なぜですか!悪いことなんてしていません!!」」」



「「「国王様、いくら何でも横暴です!」」」



口々に叫ぶが、それを遮るように笑いながらエリザベスが言う。



「罪名は国家反逆罪に決まってるでしょ~横領もありかな?

まぁ、捕まるのは当たり前よ~」



しかし大使は、



「私はそんなことはしていません!何かの間違いです!」



と言い張る。



「馬鹿ねぇ~こんな屋敷を造っただけでも監督不行届で、そう言われるのに…

それ以外にも、あなた達はマリー様の旅行日程を誰かに話したでしょ?」



そうエリザベスに言われて、心当たりがあったのか大使の顔色が悪くなる。



「ああ~!!し、しかし、詳しいことは何も言っていないし、話したのは国政に関わる人物ではありません!ただの友達です!」



そう答えた大使に、それまで黙っていたフィリップが、怒りをぶつける。



「ただ友だろうが誰だろうが、詳しくなくても国王のスケジュールは、機密扱いに決まってる!!話していいはずがないだろう!衛兵!この者どもを拘束して、牢に入れておけ!」



そうして、大使達が連れて行かれると、部屋の中にはいつものメンバーが残ることとなる。












「…マリー様、各国大使も試験して選び直した方がいいんじゃない?」



珍しく、真面目な顔をしたエリザベスがそう言う、



「そうは言うけどエリザベス、時間も手間もお金もかかるのよぉ~」



疲れたように額を抑えながらマリーが言うと、フィリップも



「そうですよ!マリー様、当分はあのような行事は控えて下さい!

取りあえず、全部の大使館に監査を入れて、特に増改築した所は念入りに調べさせますから!」



試験をすることは許可できないという。



「じゃあ頼むわ、フィリップ…それとデニス、明日の登城は取りやめて3日後にしてもらえるかしら?確かまだ式典には余裕があったわよね?」



この大使館の後任人事や侵入者の詮議など、後始末を考えてそう聞くと、



「はい、式典は7日後ですから間に合いますが、3日後に皇帝との茶話会が予定されていますので、せめて2日後には登城した方が宜しいかと思います。」



ちっ!そんな予定があったのか…仕方ない



「そう…じゃあ2日後に登城するわ、私もう寝る…ん?あ!エリザベス寝室の侵入者(ゴミ)先に片づけて~侍女達に危害を加えられても困るし!」



「ああ!大丈夫よ~気づかれないように出口は全て閉鎖してあるから!そのままにしておいてもいいわよ~」



「いやよ~気持ち悪いわ!壁越しとはいえ、変態がいるのに寝れないわ!」



「仕方がないわねぇ~じゃあ1つ貸しよぉ~♡」



「はいはい、貸されておくから頑張って!」









はあ~~~長い1日だった…

さて、侵入者(ゴミ)が片づいたら、寝るとするか~










ああ~変な人しか出てこない(笑)

この話に、Loveだけは期待しないで下さい…

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