048:常識?非常識?
皆様こんにちは、マリーです。
えっと…只今、異世界の常識と一人で格闘中です。
これからA帝国に向かうため、超・特大仕様の軍船に乗るのですが…
これって船?
ま、船なんだろうね~
この港に同じモノが20隻近く停まっているから…
「…ねえフィリップ…これに乗るの?」
「は?そうですが何か問題でも?」
私の間抜けな問いかけに、あきれたようなフィリップの返事が返ってくる。
「そうなの?マジで?私をからかっているんじゃないよね?」
私のしつこい疑問に、エリザベスも不思議に思ったのか、
「ねえ、マリー様。もしかしてマリー様の国には船がなかったの?」
と逆に問いかけられた。
「…いや、あったけど…ちょっと?いや、かなり形が違ってて…」
何と言っていいのか、言葉に詰まる。
「あら?じゃあどんな形なのかしら?」
「えっと、確か流線型って言ってね、えっと絵を描いた方がわかりやすいかな~
前から見たら、こんな感じで…横はこう、で帆があったりするのは、こんな感じ」
と、口では説明できないから、しゃがんで地面に絵を描いてみた。
「何ですか?この変な形」
「あらホント!これじゃあ横から波が来たら倒れるんじゃないの?」
フィリップとエリザベスからのダメ出しが飛ぶ…
「いや変な形と言われても、向こうじゃこれが普通だったし…
横からの波は確かに弱いから、そうならないように操縦してたと思うよ?」
と説明するも、2人は首をひねりながら、
「バランスは断然こちらの方が良いと思いますけど?横倒しなんてあり得ませんし」
「ふ~ん、あっちって変わってるのね~魔法がないからかしら?」
と、懐疑的だった。
ま、そうかもね、だって目の前に停まってる船の形って…
中華鍋!なんだもん!!!!
取っ手にあたる所が操縦室で、鍋にあたる所が船室になるんだろうか?
むろん、帆やスクリューなんて無く、人が漕ぐわけでもなさそう…
なので、動力は何?って聞いたら
「水の魔石よ~見たこと無かったかしら?
ちょっとお高いけど、神殿に登録したら買える便利グッズよ~
ちなみに、この規模の軍船なら10個は使ってるわね~神殿も太っ腹~」
「動力は魔石って、魔法か…さすがファンタジー!侮れないわね…
ところで、これの入り口はどこ?」
「は?入り口?あの上よ?当たり前じゃない!」
「いや、だからあの上まで、どうやって行くかって聞いてるのよ!?」
「どうもしないわよ~そのまま乗るんだから!
あ!船長~マリー様達を乗せるから準備してちょうだい!」
エリザベスが上に向かってそう言ったかと思うと、中華鍋は、徐々に沈んでいき、喫水線に関係なく波止場と同じ高さになった。
ええ!?と思っていたら、同じ高さになった桟橋から、バスごと船内に乗せられちゃったよ…
これはタラップいらずで大変便利~
で、船内に乗せたバスとトラックは、スロープを降りて船内の馬車置き場(?)に入っていった。
『まるで、車も乗せれるフェリーだわ~形は中華鍋だけど…』
はぁ~疑問は多々あれど、取りあえず船室に入って休むことにするわ。
ところで、この中華鍋って、どうやって前に進むんだろう?
ってか、この中華鍋て、どっちが前?
こんな船(笑)予定にはなかったんだけど、ちょっとしたアクシデントで、こうなっちゃいました(爆☆)