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047:策士、策に…

お待たせしました。

まだまだ、A帝国に着きません。

と言うか、いつになったら着けるのか?(笑)

今回と、たぶん次回もマリーちゃんが苦労します。



当初たてた予定通りの日程で大型馬車(バス)は進んでいたが、乗っている人間の方は、予定通りにはなっていなかった…






「マリー様、大丈夫ですか?」



「だ、大丈夫…じゃないわ~~~~ちょ、ちょっとバス停めてぇ~~!」



マリーの悲痛な叫びに停まるバス



「マリー様、またですか~?」



「困ったわね~こんなに弱いなんてぇ~」



停まったバスに乗り込んできたフィリップとエリザベスが、寝込んでいるマリーに、話しかける。

しかし…




「………」




無言、何を言われても無言…

と言うより、話せないといった方が正しい。

現在、マリーは絶不調!俗に言う二日酔いだった。

それは運が悪かった、と言っても過言ではないかもしれないが、それでも自分の不注意ではあるので、ある意味これくらいで済んでラッキーだった。








時間は1日ほど遡る…




「マリー様、今日泊まる街の管理官から晩餐会の招待状か届いておりますが、出席なさいますか?何でもここを治めている大領主も出席するようですが…」



フィリップが、届いていた招待状を読み上げる。

ここは、海軍の軍港の手前にある街フェンツァー。

ここ自体も港町であり、F国寄りにある交易港なのでかなりの賑わいをみせている。

特に、H国よりの港町を持っていた領主が失脚したため、こちらの港の方が少々活気が出ているらしい。



「え~領主も来るの?そう言えばここの領主も、税金3割で処罰したんじゃなかった?そんなので、晩餐会に出席する費用があるの?」



フィリップに素朴な疑問をぶつけてみる。



「ま、今のところはあるんじゃないですか?不正蓄財を没収していませんし~」



「あ~それはそうね、でも…そんな状態を作った私が来るかもしれないのに、領主も出席する晩餐会?何だか怪しくない?ここの管理官って、どんな人物だった?」



「確か、箸にも棒にも引っかからなかった、灰色の人物ですね~」



「は?何その人物像…」



「ですから、怪しいことをしていた領主を咎めない代わりに、表面上は手伝いもしなかった保身的な人物ですよ。」



「…メッチャ怪しくない?」



「ま、怪しいですね。ですから、監査が査定に入ってます。」



「え~そんな内情を私に話して良いの?」



「はぁ~~~何言ってるんですか!

言わなきゃまた【御隠居ごっこ】するじゃないですか!」



「あわわ…やぶ蛇…」



「とにかく、もし出席するなら、今回はお遊びじゃなく危機感持って下さいよ!何仕掛けてくるか分からないんですから!」



「はいはい!ま、フィリップとエリザベスもいるから大丈夫でしょ?出席してみるわ」



「わかりました。そのように手配します。」








そして、夜。

エリス達、侍女に磨かれて、軽くドレスアップしたマリーが会場に現れると、下にも置けないもてなしで、少々食傷気味。

おまけに、領主の息子達(・・・)がまとわりついて、いやにお酒を勧めてくる…

『ま、私ザルだから酔わないけどね~』などど思いながらにこやかに対応中。

しかし、四六時中まとわりつかれるのも、よそ行きの顔をしてないとならないから、疲れるんだよね~

なので、少し会場を抜けて一息ついていたら、領主の息子(確か…)その5が来て



「マリー様、ずっと飲んでいらしたので、これを…」



と爽やかな笑顔で、柑橘系のジュースを手渡された。



「あら、ありがとう」



一応警戒はしたが、お酒ではなくジュースだったので、一息で飲み干し、グラスを返す

と、一瞬めまいがして、ふらつき息子その5にもたれかかってしまった。

息子その5が何だか言って、近場のベンチに座らせてくれたのだけど、酷いとめまいと頭痛で、話しかけられても何を言っているのか、よく分からない…

どのくらい時間が経ったのか、息子その5の話しかける言葉を、頭痛をこらえて、お経のように聞きながら耐えていると、こちらに近づいて来る足音がして、



「あら!マリー様こんな所にいたの?もうお帰りの時間なのですけど?」



息子その5の話が煩くて、気分が悪くなってきた所に、エリザベスの声が聞こえてきた。

すると息子その5が、



「マリー様は、僕とまだお話がしたいとおっしゃっている、君は先に帰ってくれてかまわない、帰りは我が家の馬車で送るよ」



は?何言ってんの!『帰るよ!!』言いたいのだが、なぜか声が出ない!

おまけに、抱きしめられて苦しいし!



「あら~そうは行かないのよね~

マリー様、しっかりしてちょうだい!帰るわよっ!!」



「君もしつこいな!マリー様は僕と過ごすんだ!」



う、煩い!頭痛いんだから、2人して大声出すな!

気持ち悪いんだから、体を揺するな~~~!

ああ~言いたいけど喋られない!!

く、苦しい~~!!



「げほぉ~~~~~~~!!!!」







「「………」」








「うるさ~い!頭痛いんだから、大声出すな!!

気持ち悪いんだから、体揺するな~~~~~~~~!吐いちゃったじゃない!」



と叫んだ私の目の前には、

私に抱きついていたために、背中に○○をかけられた息子その5と、

側の木にもたれかかって笑いをこらえるエリザベスが…

そんな沈黙の中、庭の四阿側から、



「ルイ様、お部屋の用意が調いました。護衛に気づかれる前にお移り下さい」



と、声をかけて出てきた人物がおり、

息子その5(名前はルイだと判明)が、あわてた感じで手を振るも、その人物は気が付かないのか近寄って来る、そして



「御領主様も、首尾よく運べと仰っていましたよ…あ!」



そこまで言ってから、抱きかかえられた私が、変な顔をして自分を見ているのと、木にもたれかかって笑っているエリザベスがいる事に、やっと気づいて顔色を変えた。



「あら~その話、詳しく聞きたいわね~」



と笑いながらエリザベスが言えば、



「ホントだわ~御領主様とやらも呼んで、じっくり聞きたいものね~管理官」



わたしも、にっこり笑いながら、息子その5をグーで殴って押しのける。





「「な、何で媚薬が効いてないんだ!」」





私の様子に驚いたのか、息子その5と管理官が漏らしたその言葉…



「…そう、【一服】盛ってくれた訳ね~~~~

エリザベス!この会場を完全封鎖。その後、この2人と会場にいる全ての人の持ち物検査および尋問、ああ~必要なら今回だけは、あなたの友達(ペット)を使っても良いわよ、きっちり背後を吐かせなさい」



「あら!あの子達を使っても良いの?いつもやめなさいって言うのに?」



「かまわないわよ!此奴らのせいで、私はこれから2~3日、二日酔いに苦しむのよっ!!」



「は?何それ、あなたザルだから、二日酔いなんてしたことないじゃない?」



「普段だったらね…私、アレルギーがあって、体質に合わない薬をお酒と一緒に飲むと、吐いた後に悪酔いするのよ!!さっきかなり飲まされたから、間違いなく後に引くわ!!」



「あら!それは~お気の毒ねぇ…じゃ遠慮無く、さあ~あなた達オードリーとアンジェリーナのオモチャにされてちょうだい」



「あら、あの()ってそんな名前だったの?」



「そうよ~オオアナコンダの【オードリー】とアミメニシキヘビの【アンジェリーナ】よぉ~♡」





「へ、蛇~!?」

「い、嫌だ~~~~~~~!」





エリザベスの魔法で拘束されたままの2人が叫ぶ、



「…煩いわね、フィリップ、どうせそこらにいるんでしょ?

早く出てきて、この2人を連れてって!」



そう私が言うと、四阿とは反対の茂みから、フィリップと近衛兵が少し気の毒そうな顔をして出てきた。



「は~つくづくトラブル体質ですね~マリー様」



「ほっといて!それに今回の私は被害者よ!!」



「「そうですか~?」」









そして夜は明け、バスとトラックはA帝国を目指して一路南へ、管理官と領主一味を乗せた護送車は首都を目指して一路北へ分かれて行った。





で、話は冒頭に戻る。



「困ったわね~アレルギー体質じゃあ、下手に酔い覚ましの薬も飲ませられないし…」



「だから気を付けて下さいって言ったのに、媚薬なんか盛られちゃって…」



「煩いわよ2人とも!うっぷ、取りあえず吐き気が止まったら出発するから、自分のバスに戻りなさいよ!!」



「「はいはい、お大事に~」」



苦笑しながら、去って行く2人に片手を振って、合図をする。

あ~辛いわ~これで明日か明後日船に乗るなんて、地獄かも~







策士、策に溺れるってこの事か…










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