038:○にかわってお仕置きよ~
「これも変~♪あれも変~♪たぶん変~♪きっと変~♪」
おかしな歌を口ずさみながら、続々届く求婚の手紙を開封する私の横では、宰相が呆れたように似顔絵を眺め、その隣にいる外務大臣は、私が見た手紙を国別に分別している。
「マリー様、ふざけてないで、真面目に断りの理由を考えてくださいよぉ~」
各国から求婚の手紙が集まるようになった執務室には、半分泣きが入った副宰相の訴える声が響いている。
「だ・か・ら、貴方と婚約中♡」
「絶対イヤです!!!!」
「…ったく、分かったわよ~仕方ないわね~貴方以外で何か考えるわよ!」
「ホントですね!!絶対ですよ!!!!」
「はい!はい!(笑) あ、外務大臣、各国の集計出た?」
「はい出ました。今日までの分でですと…我国以外の求婚者は、
王族・23名、貴族・148名の合計171名、19ヶ国全てから来ています。」
「何?その我が国以外って~」
「あ~我が国も入れますと、40名ほど増えますが…」
「………取りあえず入れといて、ああ~頭痛いわね~ちなみに、本人が申し込んできたのは何件かある?」
「えっと…ありませんね~全て国か家かの名前で来ています。」
「そう、わかった…じゃあ全部に『本人の意志で申し込んでいないプロポーズをお受けする気はありません。また、今後このような申し込みは一切ご遠慮いたします。』って書いて断って!」
「マ、マリー様!こんなに明け透けに書いていいんですか?」
「うわ~キツイ!!本音バリバリじゃないですか!」
外務大臣と副宰相が、驚いて聞いてくるが
「なに言ってるの!あたしは、国王なんでしょ?嫁にしろ婿にしろ選び放題!!この手紙を寄越したのが、例え他の国の国王だとしても、私も国王なんだから立場は互角!だいたいこのくらい書かないと、何回でも催促の手紙が来るわよ!!」
「「「まあ、そうですが…」」」
「あと、全ての国に正式な外交文書で『自分の婿は自分で決める、今後外交ルートを通じてのプロポーズは受け付けません』ってのも付けておいてね!」
「はあ~分かりました。ですが一応書き方は、宰相様とも相談して良いですか?」
「ええ、それは任せるわ、ただし曖昧な言葉は止めてね!宰相もそれで良い?」
今まで黙っていた宰相にそう言うと、
「仕方ありませんな…では外務大臣は明日原案を作って、私の部屋に来るように」
と、私の言葉を肯定した。
「それでは、私は下がらせてもらいます。」
「あ!外務大臣、悪いけど帰るときに、外の侍従に魔術師長を呼ぶように行ってくれる?執務室に至急来いって!」
「分かりました。」
そう言って、大臣が下がったあと、宰相が聞いてくる
「魔術師長に何か用事でも?」
「ええ、あと近衛将軍と女官長も呼んでくれる?」
「はあ、良いですが…何をなさる気で?」
「みんなが揃った後のお楽しみ~♡
私を女だと思って、舐めた事を後悔させたあげるわ~」
「「お手柔らかに願いますよ~」」
「おほほほほほほ~!」