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藤崎くんが、なんだか可愛い  作者: 春田りお
本編
3/10

大学入学共通テスト当日



大学入学共通テスト2日目



テストの終了時刻になり固まった体を大きく伸ばして息を吐く。



「んんーー!やっと終わった……」



実技試験はまだ終わってないけれど、試験の感触は良かったから、とりあえず試験勉強はもうしなくていいだろう。


これから塾に戻って答え合わせしよう……


帰って寝たいけど……

帰ってグダグダしたい……けど……!


ふと切っていたスマホの電源を入れると藤崎くんから「試験最終日頑張ってください」という連絡が入っていた。


ごめん気がつかなくて……


こういうやりとり苦手だと思ってたけど、嬉しいものなんだなと感じる。


『ありがと!さっき終わったよー

これから塾で答え合わせしたらやっと一息つけそう』そう返信をして塾の門をくぐるとすぐ返信が届いた。

『お疲れ様です。塾終わったら連絡ください』という内容が書いてある。


時計を見るとちょうど部活が終わる時間帯だった。

よくわからないが、了解スタンプを送って塾の教室に向かう。



塾の先生の解説と採点が終わり、個別に声をかけられた。


「共通テストは文句なしにいいよー!よく頑張った!あとは実技だけだけど気を抜かずにね」


塾で1番お世話になった先生に太鼓判を押され思わず感極まってじわりと視界が滲む。


うん、頑張った。


本当にこれ以上ないってくらい。

人に認められるのがこんなに嬉しいだなんて思わなかった。


「頑張ります……っ」


部活が終わってから実技に勉強に慌ただしくて息つく暇もなかったから余計ホッとしてしまったのだと思う。


溢れた涙を拭いながら藤崎くんへ塾が終わったと連絡をしようと教室からでたら、ロビーにその本人がいた。


泣いている私に気がつくと驚いて駆け寄ってくる。


「どうしました?」

「あっ、なんでもないよ、ちょっとホッとしちゃって…」


心配させて申し訳ない。藤崎くんは困ったようにこちらを伺っていたが、なんでもないことがわかるとホッとしたような表情をした。


「あの、試験は……」

「A判定」

「よかった…」

「待っててくれたの?」

「はい、ひと息ついてもらおうと思って、ココア好きですか?」

「う、うん」


左横に並んでいる自販機でホットココアを買って渡してくれる。


「あったかい……ありがとー沁みるー」


ひと口飲むと疲れた脳と心に沁みる気がした。


「あの…先輩が行きたい大学って美大なんですか?」

「うん、M美大」

「有名なところですよね」


(そんなに遠いところじゃなくてよかった)

だいたい電車で1時間くらいの場所だなと考えて駿はホッとする。


「無事受かればだけど…あ、画家になるのかなって思った?」

「違うんですか?」

「うん、3D CGてわかる?」

「リアルなゲームとか映画とかの…」

「そうそう、立体的なキャラクターとか素材とか作ったりデザインしたりそういうの、リアルって言っても私の場合マリ○とかスプ○トゥーンとかポケモ○みたいなキャラクターものが好きなんだけど」

「そういえば、ああいうゲームも3Dですね」

「うん、3Dに動きをつけたり映像を作る分野に進む人もいるよ」


駿くんが、うんうんと聞いてくれるから思わず話し過ぎてしまった。


「今日は本当に疲れたぁーそろそろ帰ろっか」

「帰り自転車ですか?」

「いつもは自転車なんだけど、今日は試験会場からバスで直接来たから歩き」

「送ります」

「えっ!悪いよ、ここからだと30分くらいかかっちゃうし」

「帰りは走るんで」

「ふはっ」


2、3キロはある距離を走ることをなんてことないみたいに言うから、さすが長距離選手だと笑ってしまう。


それから翌週に実施された実技試験と、面接は自分の全力で挑めたと思う。


あとは翌月の結果発表を待つだけとなった。

見ていただいてありがとうございます♪

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