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それぞれの事情(立花君の場合)


 僕は、いつもの様に星世が通う高校の元よりの駅まで電車の中で彼女と一緒に話をした後、次の駅僕が通う大北高校がある駅で降りた。


「おはよう。隼人」

「穂香か、おはよう」

「穂香かは無いでしょう」

「分かったよ。おはよう穂香」

「それでよし」


 鈴木穂香。中学一年からの友達。俺が如月星世と恋人同士になってから話す事が無くなったが、同じ高校に入り半月位して声を掛けて来た。

思ったより明るい感じで話しかけて来てくれたので、俺も精神的にホッとしていた。


「今日も如月さんと熱々だったね」

「熱々って」

「だって、電車の中で二人でずっと話ばかりしていたじゃない」

「そりゃ、そうなるよ」

「平気で返してくるわね」


「それより、穂香はクラブどこか入るのか」

「今の所決めていない。直ぐに決めなくてもいいし。もう少し学校に慣れてからかな。あっ、運動系は入らない。向いてないから」

「そんな事無いだろう。身長だって普通の女の子よりあるし、二人で遊んでいたころ結構足早かったじゃ無ないか」

「足が速いだけじゃあ意味ないよ。それより隼人はどうするの」


「俺か、俺も決めていない。そもそもクラブ活動興味ないし。図書室で本読んでいた方がいいな」

「それじゃあ、中学と変わらないじゃない。隼人こそ身長がそんなに伸びているんだから何か運動部にでも入ったら」

「身長だけじゃ意味ないよ」

同じことを言っていると思って二人で顔を合わせると笑ってしまった。


 穂香とは偶然にも同じクラスになった。一年一学期は入学試験成績順でAからEまでクラス編成が決まる。


 俺と穂香はAクラス。一応、星世と同じ学校に入るだけの学力は有ったので、たまたまだろう。星世に随分勉強も見て貰ったし、入試近くでは、五教科合計点数が結構な点数になっていた。


 星世が今からでも志望校変えられると一生懸命進めて来たが、がりがり勉強するのは、ちょっと苦手なのでここ大北高校から適当な、いい加減という意味ではなく俺に有った大学に入ればいい程度に思っていた。


 駅から学校まで一本道だ。校門が見えてくると同じ学校の生徒も多くなる。入学してからそんなになっていないのに男の子と女の子が一緒に並んで話しているのが珍しいのか、チラチラ見る生徒もいたが、気にしても仕方ないと割り切って学校に入った。


「おはよ。立花」

「おはよ」

自分の席に着くまでに仲良くなった生徒から声を掛けられる。


 席に着くと前に座っている女の子が、いきなりこちらを向いて声を掛けて来た。ショートカットで目鼻立ちがはっきりした可愛い子だ。


「立花君。おはよ」

「おはようございます」

「立花君。毎日朝は鈴木さんと一緒に話しながら来るけど仲いいの」

「いいよ。中学三年間一緒だったんだ」

「そうなんだ。付き合っているの」

「うーん、そういう関係じゃない。でも仲はいいよ」

「そうか、へへへ」

「なに、じゃあ、立花君フリーなの」


 いきなり何を聞いてくるのかと思ったけど、その時、チャイムが鳴って担任の先生が教室に入って来た。

前の席の女の子は、中途半端な顔をしながら前を向いたが、俺は助かった。先生神様とつい思った。



午前中の授業も終わり、昼休み。俺は購買に行こうとすると

「隼人、今日お昼一緒でいい」


穂香が近く来るなり聞いて来た。周りの生徒が見ている。

「ああ、いいけど。俺購買に買いに行かないと」

「いいよ。待ってる」


 俺は急ぎ購買に行くと案の定既に十人ほどの列が有った。自販機は人の列。仕方なく順番に並んで昼ご飯を買って席に戻ると

「隼人遅いよ」

「仕方ないよ。混んでたんだから」

「まあいいわ、早く食べよ」


前の席の女の子がどこかに行っていない為、穂香は椅子を跨ぐように座って俺に向き直ったので、

「穂香、場所変る」

「えっ、そ、そう。悪いね」


 私も女の子としてちょっとはしたないかなと思っていたので隼人の申し出は助かった。こいつ昔からこういうところよく気が付くんだよね。


パンを頬張る俺に

「ねえ、隼人。今日の放課後一緒に帰れない」

「ごめん、今日に限って」

「……そっか。まあ、理由は分かるからいいよ」

「一応、明日は空いている」

「じゃあ、明日」

「分かった」


 今日の授業の終了を告げるチャイムが鳴ると、俺はそそくさと机の上に出していた教科書とノートを鞄に仕舞い、サッと教室を出た。


 隼人の奴、如月さんとデートか。放課後はあまり会えないはずなのに、今日はタイミング悪かったな。でも明日会えるし。



 俺は、急いで駅に向かいホームで電車の来るのを待った。腕時計を見ると三時過ぎ、まだ大丈夫と思って待っていると


「立花君」

声の方を振り向くと、クラスで俺の席の前に座る女の子が声を掛けて来た。


「なにか」

「急いでいるようだけど、この後、用事あるのかな」

「ごめん、あります」

「そっか。じゃあいいや。声かけてごめんね」


 それだけ言うと女の子は、同じホームだが反対線側の少し離れた位置に立っている女の子の側に歩いて行った。


 あの子もうちの学生服を着ている。でも見た事無いな。そのうちに電車が入って来たので急ぎ乗った。

隣の駅では星世がホームで待っていた。まだ、早いはずだけどと思いながら、僕は電車を降りて


「星世、待った」

「ううん、今着いたところ」

定番の答えだが、時間からすると本当のことだろう。


「すぐに乗る」

「次ので良いよ」

「そうだね」


二人でホームのベンチに座って、今乗って来た電車が走りすぎるのを見ていた。


如月さんは、あの男と付き合っているのか。


立花君は、あの子と付き合っているのかな。フリーとか言っていたけど。



―――――


如月星世さんを見る目と立花隼人君を見る目が有るようです。

どうなるんでしょ。


次回をお楽しみに。


面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 隼人も星世もモテモテですね。 それでも今は二人の世界を構築してラブラブですな。 考えてみれば、未だ高一で高校生の分際で、中学生時代からお互いにヤりあった仲とは大変許し難く、個人的にとて…
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