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信じられない


 白石さんにいつも一緒に居る事をお願いして以来、高田は話しかけてこなかった。

朝は、美羽と一緒、休憩時間と昼休み、それに帰りの駅までは白石さんと一緒だった。高田が話しかけようとしても二人がそれを阻止した。

私は、申し訳ないと思いながらも高田が声を掛けてこない事に安堵していた。



「星世、その後はどうだ。もし本当に困っているんだったら、俺毎日でも行くぞ」

「うん、ありがとう。でも美緒と白石さんがいつも側に居てくれているから、高田も話しかけてこない」

「そうか。良かったな。美緒とその白石さんって人には、改めてお礼言わないとな」

「ふふっ、ありがとう」


「ねえ、今度の十月十六日と十七日は、うちの高校の文化祭やるの。十七日の日曜なんだけど空いている」

「聞くまでもないだろう。星世と一緒の時間だから」

「その日ね。うちの高校の文化祭が有るんだ。来ない」

「もちろん行くよ」

「じゃあ、十七日日曜日の十一時に校門の前で良いかな」

「うん、喜んでいく」



「ねえ、そう言えば、今日さ、隼人の家も私の家もご両親いるよね」

「うん、それがどう…………。えっ」

「ごめん。何かストレスみたいで」

「でも、どこで」

「ショッピングモールから二つ行った駅の側にビジネスホテルって名前の所があるの。だめかな」

「い、いいけど。どうしたの星世」

「分からない。でも隼人と一緒に居たいの」

「分かった」


…………。



「星世帰ろうか」

「うん」


ふーん。二人でビジネスホテルね。でもここって…………。




「ねえ、如月さん。今日の帰りカラオケ行かない」

「えっ、カラオケ。私行った事無い」

「うっそー。本当。絶対楽しいから。それにクラスのみんなも来るからどうかな」

「でももうすぐ文化祭でしょ。準備も有るし」

「大丈夫よ。うちらのクラス進捗進んでいるし。行こ」

「美緒に連絡してみる」


白石さんは面白くない顔をしていたが、私は何となく美緒に連絡したくなった。

『今日カラオケ行かない。クラスで行く事になったんだけど、美緒にも来てほしくて』

『星世がカラオケ。うそでしょ。面白そうだけど部活が有るからごめん』

『そうか。分かった』


「良いですよ」

「うわぁ、やったー。如月さんのカラオケデビューね」


放課後、クラスの皆も来ると言うので、先に白石さんとカラオケに来ていた。

「皆、遅いね」

「そうだね。あっ、私ちょっとお花摘み」


そう言って、白石さんが部屋を出て行った。部屋の周りを見ても全く知らない世界。嫌な感情しか出ない。そのうちドアが開いたので、白石さんが帰って来たと思ったら

「如月さん」

「………」


「驚かないで下さい。本当に話がしたいだけなんです」

「白石さんは………」

「白石さん。知らないですよ」


思い切り嫌な予感がした私は、鞄を持つと

「帰ります」

と言って、ドアを出ようとした時、肩を掴まれた。

「話をしたいと言っているだけです。見せたいものもあるし」

「見せたいもの」


高田が見せたのは、一昨日隼人と行ったビジネスホテルから出てくる隼人と私の写真だった。


「なんでこれを」

「そんな事どうでもいいじゃないですか。それより座りませんか。話をしたいんですよ」


私の体を強引にソファに押し倒した。

「何をするんです」

「わかっているでしょう。これをネットに流したどうなります」

「………。構いません。あなたを盗撮犯として訴えます」

「強い人だな。ますます好きになってしまう。あなたがこの写真を大丈夫と言っても立花隼人はどうなんですかね。彼の立場なんて一瞬で消えますよ。学校に入れなくなる。周りからもそんな目で見られます」


「だったらどうだと言うんですか」

「これをネットに流さない代わりに如月さん、僕の彼女になって下さい」

「何ですって。そんな馬鹿な事………」

「別に僕はこの写真をネットに流しても痛くもなんともないですが、あなたと立花、それにご両親はどんな事になるか考えて見て下さいよ」

「………っ!」


………。


「どうすればそれがネットに流れないように出来るの」

「だから言ったじゃないですか。俺の彼女になって下さい。もちろんその証明も欲しいですけど」

「証明?」


「それを俺に言わせるの」


高田は強引に私の体に圧し掛かって来た。重くて動けない。体の差がありすぎる。


ふふっ、これでこの女は俺のものだ。ゆっくり味わうか。


くっ、両手がこいつの手で押さえられている。動けない。不味い。ブラウスのボタンが外されてブラが丸見えだ。ごめんなさい。隼人。


ふふっ、やはり着やせしていたか。

「如月さん大きいですね。楽しみです」

「止めてー。誰か助けてー」

「誰も来ませんよ。ここは防音ですから」


涙が出て来そうになった。その時、ドアが開いた。いきなり私の体に覆いかぶさっていた重いものが取り除かれると


「幸助。やりすぎだ。その辺にしとけ」

「一郎どうして」

「白石さんが教えてくれた」

「文香、貴様」

「幸助。私以外の女の子を抱かないでよ。それに如月さん嫌いじゃないし」


私は急いでブラウスのボタンを付け部屋を逃げようとした時、白石さんに腕を掴まれた。


「待って。幸助は私の彼氏。小学校の時からね。一郎は幼馴染。三人共仲いいの。幸助から如月さんの事聞いた時、どうしようかなと思ったけど、やっぱり、幸助は私のものだから如月さんには、友達のままでいてほしい。でもさっきの写真もある。あの子とは別れて」


「………」


「如月さん。ミスったね。あれは、どっちかの家でするべきだったよ。俺もちょっと驚いた。ここは文香の言う事を聞いていた方がいい。立花隼人の為にも」

「………」


「それから、彼にはこの事言うなよ。もし言ったらその時は、この写真ネットに流すからな」



―――――


如月さん。不味いです。


次回をお楽しみに。


面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 幸助の邪な手段と脅迫に関わらず、星世の貞操が無事であった事。 白石とイチローは幸助が事に及ばんとする光景に、幸助の犯罪行為に対して自らが犯罪幇助(刑法 62条1項)に当たりかねない事を無…
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