〔決断、半世紀越しの選択〕
記号等で区切るなどし主観を変えたりもしています。
※作者は文章力が拙いので。予め、ご了承ください。m(_ _)m ヒラニ
この作品はフィクションです。
実在の人物や団体など、現実的体制や根拠仕様とは一切の関係がありません。
ご理解の上、ご覧ください。
人生とは選択の連続である。
日々行われる当たり前の事ですら、人は無意識下で選択をし、その時々を過ごしている。
しかし、もしもそれが人生を決定的に変えてしまう重要且つ重大な一世一代の選択であれば、――どうだろう?
今目の前に在る飲み物を飲むか飲まないか、そんな気軽なノリで着手する事が果たして出来るだろうか。
答えは――NO。
人の生で二度と無い様な重要なコトを目前にし易々と決断できる訳がない。
そう決断、出来ぬ――まま、俺の人生は気付くと半世紀もの時間が経っていた。
※
時間の男神、大地の女神が創造しその二大神から選定の加護を受ける世界。
それが自分の産まれた世――ヘレ。
まあそんな誕生話は置いといて、本題に入ろう。
俺が生きているこの世界には〝選定〟と呼ばれる二大神の加護が、自然の摂理として常時存在している。
簡単にどういうモノかと言うと、人間が危機に瀕する時――要は窮地に立たされる場面で時間が形成される一定の空間内で加護の法則に従い、働き掛ける。
……――ゴメん、分かり難かった。
端的に言うと、魔物との戦闘時にコマンド選択が現れ長考できる様になるという。
この間に互いは自動で形成されるバトル空間へと強制転移させられ、そこでターン制でのコマンド選択――戦闘を行う。
ちなみに戦闘の開始はシンボルエンカウント、要するに対象に最も早く触れた者に戦闘の権利が与えられる。
その後、戦闘に勝利――または敗北する事で空間からは強制退出。
戦いの報酬はその際に生産され、受け取る事ができる。
無論〝敗北=死〟である事は言うまでもない……。
※
――どれくらいの時が経ったのだろうか?
一時間、二時間?
イヤ、思い出す事すら困難な時が過ぎる。
正直この自問自答する件も、一万を優に超えている。
ただそれでも――俺はたった一つの答えを選べずに途方もない刻を消費して見詰め続けた表示を、未だに見詰め続けている。
[ダン]
→戦う<→超越スライム鋼>
呪文
道具
逃走
…
『コマンドを決定します、よろしいですか?』
→はい
いいえ
――イヤ、まだ。
クッソっ。
ヘラヘラと笑いやがって。
どうせ俺が決めかねて選べないと高を括っているのはお見通しなんだよっ。
だが今日こそッ、今日こそは――その見飽きた面に度肝を出させてやる!
▽
もう今となってはずっと前の事の様に感じる。
自分が冒険者を始めて、それなりに食って行けるようになった頃、仲間の一人が自分達から抜けたいと申し出てきた。
その理由は単純だった。
要は自分達と居たら大成する事はないだろうという見限りだ。
別段、誰も否定はしなかった。
実際パーティーの代表をしていた俺すら、止めようとは思わなかった。
冒険者となり、最初は持っていた夢も三年程で大抵は現実物語に移り変わる。
いつか冒険者を辞めた時にその後の生活を支えるだけの貯えを得るコトだけが目的となるのだ。
だから止めようとは思わなかった。
何せまだ夢を持ち続けている事が何よりも価値がある。
求めるものが〝安定〟に切り替わった自分には決して選ぶ事が出来ない道を進もうとする親しかった仲間を、快く見送る以外の選択肢は――俺には無かった。
故に送迎会をすることにしたんだ。
去る仲間も、嫌な顔一つせずに提案を受け入れてくれた。
そして話を切り出されてから三日後の夕食でと約束をし、それまでに各々が何かしらの準備をしようと見送りをする他の仲間とで決めた。
斯くして俺は次の日から早速近くのダンジョンへと独りで向かう。
迷宮と言っても下級冒険者が数名で二日もあれば最深部まで攻略が可能な低等。
ただ近場では其の内でしか咲かない花が在り、去ってしまう仲間が好きだと知る唯一の情報でもあった。
自分は、それを取りに――ダンジョンへと入って行った。
…
思い返すと本当に、本来の目的を見失い過ぎて、途方に暮れる。
結局自分はそのあとダンジョン内で極稀に出現する隠し部屋を見付け、彼奴と出会った。
そう、冒険者を名乗る者ならば一度ならず名を耳にし必ずしも機会に恵まれたいと思い出来る事なら倒したいと願う、超絶希少な――あの魔物に。
△
――そうして気付くと半世紀もの時間が経っていた。
時間の男神に因る加護で戦闘中は肉体的に年を取る事はない。
しかも発見したパーティー単位で独占が可能な隠し部屋でのエンカウント。
邪魔等は無く、人生を懸けた運命の選択に只管の長考が出来た。
しかし選択と言うには余りにも陳腐な中身と言えよう。
何せ超絶希少なその魔物は特性で戦闘開始時超速退避と戦闘中の超速回避を兼ね揃えた、謂わば死の危険とは最もかけ離れた戦闘力で言うところの雑魚中の雑魚。
それは小数点以下の体力と揶揄されるほど、当たれば必ず倒すことが可能な最弱の魔物。
だが誰もがお気付きとなる、その特別な性質がいとも容易い筈の打倒を拒む。
そう超絶希少なこの魔物は先ず攻撃が全く当たらない。
更には機先を制するのは必ず相手側から。
加えて戦闘開始時の逃亡率は99%と言われる――エンカウントした事にも気付けない、幻の存在とも名高い。
つまり仮に発見しエンカウントしても開始時には既に居ない、居たとしてもコマンド選択後の先制で逃亡され、万が一じっと見詰められても超高い回避力で先ず攻撃は当たらず魔法類はその鋼のボディーで無効化。
要するに倒す事など夢のまた夢。
見れただけでも、一生分の運を使い果たすと言われる――超絶希少ッ。
故に危険などは一切無い。
挑みしは最大級の運と、無意味な決断っ!
如何に長考しようが作戦を練ろうが何ら意味は無い、虚しい選択権。
だからこそ巷では万が万々一倒すコト叶ったその時には人生が生まれ変わる事、間違いないと予想される戦闘報酬が用意されていると、噂されている――実際に倒したとされる証拠も事例もない為。
本当に、ちゃんちゃら可笑しい。
――無意味な決断、ただそれだけのコトを成し遂げる事が出来ずに五十年以上の時を費やした俺の運命はその結末は、呆気なく――。
予想だにせず死んだ。
――は?
決断、半世紀越しの選択/了