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第84話 ヘアメイク

 廊下の窓からしばらくボーッと外を眺めたいた。


「四宮さん、着替え終わりました」


 楽屋から顔を出した莉奈が言った。


「はいよー」


 その言葉で、俺は楽屋に戻って椅子に座る。

しばらくして、楽屋をノックする音が聞こえた。


「はーい」


 俺はそう言って、扉を開けた。


「久しぶり。渉」

「おお、久しぶりだな。ヘアメイクって真子だったのか」


 そこには高校の頃からの同級生、結城真子が立っていた。

落ち着いた茶髪に緩くウェーブがかかっており、後ろで一つにまとめてポニーテールにしている。

大人の雰囲気を纏った美人だと言えるだろう。

なんというか、お姉さん系だ。


 確か、高校を卒業してからは専門学校に進学し、ヘアメイクをしていると小耳に挟んでいた。


 向井さんからヘアメイクが入るとは聞いていた。

それがこのくらいの時間に入るとも。


「渉も出世したねぇ。チーフなんでしょ?」

「まあ、色々あってな。彼女たち頼めるか?」


 俺はWhiteのメンバーの方に視線を移して言った。


「任せて! 最高に可愛くしてあげるから」


 真子は最初に莉奈を鏡の前に座らせた。

俺はその様子を椅子に座って遠目で眺めていた。


「真子さんって、四宮さんの同級生なんですか?」

「そうだよー。中高と一緒だったかなぁ」


 真子は莉奈と世間話をしながら髪の毛をセットしていった。


「四宮さんって、どんな学生だったんですか?」

「うーん、変わり者だったかな。ほら、顔は無駄にイケメンだから後輩とか先輩にはモテてたけど」


 俺の高校時代の話を始めてしまった。


「真子さーん。余計なこと言わないでくださーい」


 俺はちょっとだけ声を大きくして言ってみた。


「ごめんなさーい。まあ、だから高校時代から変わってはいないかなぁ」

「へぇ、そんなにモテたんですね」


 莉奈の声が少し低くなったように感じた。


「でも、彼女は居なかったんだよね。渉くんは」

「モテたのにですか?」

「うん、一匹狼みたいな感じで声掛けにくかったのもあると思うんだけどね」


 真子は俺を『渉』と名前で呼ぶ数少ない知り合いだ。

それにはカクカクシカジカあるのだが、長くなりそうなのでまたにしよう。


 そして、数十分で莉奈のヘアセットは終了した。

これがプロのスピードなんだろう。


「どうですか?」


 莉奈は俺の前まで来て言った。


「今日も可愛いな。似合ってる」

「ストレートに言われると照れますね」


 莉奈は頬を少し紅く染めていた。


 そこから、美穂、友梨の順番でヘアセットが施された。

やはり、プロがやると見栄えが違うと感じてしまう。


「じゃあ、私はこれで」


 真子は道具を片付けながら言った。


「おう、ありがとな」

「お礼は向井さんにも言ってね。あの人が私をWhiteの担当にしてくれたんだから」

「分かった」


 やっぱり、向井さんの差し金だったか。

俺に何も言わなかったのは、驚かせるためといったところか。

あの人も少し変わったところがある。


 まあ、テレビ局のプロデューサーにまでなった人がまともだと思う方が無理があるが。

ここでも類は友を呼んでしまったのだろう。


「じゃあね、渉くん。今度飲みにでも行こー」

「ああ、行こう。連絡先、変わってないよな?」

「うん、前のままだよ。じゃあ、期待してるね。みんなも頑張って」


 そう言って、真子は楽屋を後にして行った。

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