第77話 コンカフェゲスト出勤③
イベント時間が終了となり、Whiteが目当てのお客さんは次第に帰って行った。
「お疲れさま。結構いい感じだったね」
もちろん、イベントの事を知らないお客さんも一定層はいたので、そこの層への周知にも繋がったであろう。
「「「お疲れ様でした!」」」
Whiteのメンバーは笑顔を浮かべていた。
「着替えておいで」
「分かりました」
メンバーは更衣室へと向かって行った。
しばらくして、着替え終わったメンバーが戻ってきた。
「みなさん、すごく良かったです。おかげ様で、うちにも新たな層を取り込めたと思っています」
瑠衣さんが俺やWhiteのメンバーに向かって言ってくれた。
これは、俺たちだけでなく、瑠衣さんのコンカフェにもメリットがある事であった。
「こちらこそ、いい経験をさせてもらえました」
「はい、すごく楽しかったです」
メンバーはそれぞれの感想を述べた。
「それは良かったです。また機会があればぜひお願いしますよ」
「こちらからもお願いさせてください」
俺と瑠衣さんはそんなやり取りをして、お店を後にした。
そこから、いつも通りにメンバーを駅まで送って行く。
今日は俺も直帰することにしていた。
「じゃあ、お疲れさま。気をつけて帰ってね」
「四宮さんもお気をつけて」
「うん、ありがとう」
メンバーとは別の路線を使って俺は帰宅する。
約20分ほど電車に揺られて最寄り駅に到着した。
「ただいまー」
自宅に帰り、玄関を開ける。
すでに明かりが点いていたので、瑠奈は帰ってきているらしい。
「お兄ちゃんおかえりー。ご飯は?」
「まだ食べてないよ」
「私も今からだから一緒に食べよ」
テーブルには今日の夕食が並べられていた。
「ありがとう。相変わらず美味そうだな」
「褒めても何も出ないからね」
そう言いながらも、少し嬉しそうな瑠奈が対面に座った。
「いただきます」
手を合わせると、食事を開始した。
「そういえば、これ」
俺はジャケットの内ポケットからライブのチケットを出すと、瑠奈の近くに置いた。
「それで、今度のライブも会場に入れるから。関係者席を用意しといた」
「ありがとう。ちゃんと行かせてもらうね」
瑠奈はそのチケットを軽く眺めて言った。
「うん。女性ファンは少ないから目立つかもしれないけど」
「へぇー。そうなんだ。ちょっと意外」
地下アイドルの女の子が好きという女性ファンも居るには居るのだが、男性人口が圧倒的なのがこの業界だ。
Whiteも例外ではなく、女性ファンは少ない。
まあ、他のアイドルさんよりは多いのかもしれないが、数%の差であろう。
「意外なのか?」
「うん。だって、可愛い女の子見るのが好きっていう女の人もいると思ってたし」
「まあ、いるだろうけど少ないんだよ」
そんな会話をしながら、俺たちは夕食を食べ進めていた。
女性ファンを増やすことができたら、活動の幅も広がるので、Whiteの今後の課題は女性層をどう取り込んでいくかになるのかもしれない。
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