第5話 再就職?
翌日、俺はいつもより少し遅い時間に起き出した。
朝から仕事に行かなくてもいいと思うと、少し気分が良かったりする。
「さて、準備するか」
今日はWhiteの所属事務所の社長である、望月さんと会う約束をしていた。
クローゼットの中からスーツを取り出し、袖を通す。
ちゃんとしたスーツは久しぶりに着るかもしれない。
「ひげも剃った方がいいな」
26にもなると、髭の一つが気になってくる。
リビングを通って洗面所に行く。
瑠奈はすでに仕事に行ったようだ。
朝食だけ用意されていた。
洗面所で顔を洗って髭を剃り、髪の毛を整える。
「こんなもんだな」
俺は一通りの身だしなみを整えた。
「お、もうこんな時間か」
時計を見ると、約束の13時の1時間前であった。
ここから、望月さんの事務所がある秋葉原までは電車を使って20分と少し、そこから歩いて10分くらいなので、今から出ればちょうどいい時間に到着できるのではないだろうか。
「行ってきますっと」
誰にも返されない行ってきますを言うと、家をでた。
最寄り駅まで歩いて行き、そこから電車に揺られる。
そして、目的地である秋葉原の駅に到着した。
望月さんの事務所の場所は把握しているため、迷うことはなかった。
「ここだな」
俺はビルの名前を確認すると、エレベーターに乗り8階のボタンを押した。
そして、エレベーターは8階で止まり、扉が開いた。
「どういったご用件でしょうか?」
若い従業員に尋ねられた。
「13時に望月社長とお約束しております、四宮と申します」
「あ、四宮さんでしたか。伺っております。どうぞ」
俺はその従業員に応接室へと通された。
「しばらくお待ちください。社長を呼んでまいります」
そう言って、従業員はその場を離れた。
そして、数分後に応接室の扉が開かれた。
「やあ、久しぶりだね四宮くん」
望月社長が入ってきた。
俺は座っていたソファーから立ち上がり頭を下げる。
「ご無沙汰しております」
「まあ、座りたまえな」
望月社長に促されて俺はソファーに腰を下ろした。
「早速だが、本題に入らせてもらうぞ」
望月さんが切り出した。
「うちに所属しているWhiteの件だったな」
「ええ、そうです」
そう言うと、机の上に資料を並べ始めた。
「もう調べたかもしれんが、これがWhiteの詳細な情報だ。うちとしては、お前さんの申し出を受け入れる方向で進めていいと思っている」
「本当ですか!?」
意外とあっさりとしていたので俺は驚いてしまった。
「ああ、お前さんがWhiteに目をつけるとは思わなんだが、お前さんの力量ならWhiteをもっと上に押し上げることができるかもしれん」
「ぜひ、よろしくお願い致します!!」
俺は望月さんに頭を下げる。
「分かった。分かったから頭を上げてくれ。善は急げだ。早速メンバーに会ってもらおう」
望月さんは何かを確信したような目をしていた。
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