第42話 お似合いですよ
莉奈はそこから何着か俺の服を選んでくれた。
「どうです? 気に入ってくれました」
「ああ、いつもは選ばないからなんか新鮮でいい感じだ」
試着は済ませたので、サイズは問題ない。
莉奈も似合っているとご満悦だった。
「それは良かったです。いつものスーツもいいですけど、たまには着て下さいね」
「もちろんだ」
莉奈がせっかく選んでくれたのだから、着ないという選択肢はないだろう。
「じゃあ、これ買ってくるわ」
「はい、分かりました」
俺は選んでもらった自分の服を購入する。
お会計を済ませると店員さんが袋に入れてくれる。
その袋を手に、俺は莉奈の元に向かう。
「お待たせー」
「いえ、大丈夫です。それで女子受けもばっちりですよ!」
莉奈は悪戯っぽい微笑みを浮べて言った。
「あんまり女子ウケとか考えて無かったからな。ありがとう」
俺はスマホで時間を確認する。
まだ15時を回ったくらいだった。
「どうする? まだ15時だけど」
「そうですねぇ」
帰るにはまだ少し早いくらいの時間である。
「カフェとかで少しお話しませんか?」
「ああ、いいよ。この辺だとケーキが美味しい所があるよ」
「本当に四宮さんは何でも知っているんですね」
「何でもって訳じゃないけどね」
俺だって全ての範囲を網羅している訳ではない。
まだまだ勉強不足だと感じることも多くある。
俺たちは少し歩いた所にあるカフェに入った。
すぐに店員さんがテーブル席へと案内してくれた。
「好きなものを頼んでくれ」
そう言って俺は莉奈にメニューを渡した。
莉奈はしばらくメニューをジッと見ると、顔を上げた。
「決まりました」
「はいよ」
俺は近くにいた店員さんを呼んだ。
「俺はアイスコーヒーで」
「私はカフェラテとケーキセットで、チーズケーキお願い致します」
「はい、かしこまりました」
店員さんは注文を取ると、その場を離れて行った。
「四宮さんはケーキよかったんですか?」
「うん、今日はね」
「私だけすみません」
「いいよいいよ。あんまり気にしないで」
俺は甘い物が特別好きかと言われたらそうではない。
ケーキが食べたい日もあるにはあるが。
しばらくすると、注文したものが運ばれてきた。
俺の前にはアイスコーヒーが置かれ、莉奈の前にはカフェラテとチーズケーキが置かれた。
「いただきます」
莉奈はフォークでチーズケーキを一口サイズに切ると口に運ぶ。
その姿も絵になるなと思う。
「そういえば、四宮さんっていつ寝てるんですか?」
「え、夜だけど」
俺はコーヒーを飲みながら言った。
「でも、いつ連絡してもすぐに返ってきますよね?」
「ああ、たしかにな」
俺はすぐにレスを返す癖がついていた。
こういう所から仕事につながるのである。
「でも、毎日ちゃんと休んでるから安心してくれ」
俺は莉奈に向かって言った。
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