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第3話 妹、激怒する

 俺は莉奈の言葉で確信することができた。


『この子たち、絶対に売れる!』


 俺の元アイドルプロデューサーの魂に火が付いてしまった。


 しばらくして、チェキが完成した。

そのチェキには俺の名前と莉奈の名前、今日の日付に簡単なメッセージが書かれていた。


「お待たせしました。また、来てくださいね」

「うん、きっと近いうちにまた会う事になると思うよ」


 俺は微笑みを浮かべながらそう言った。


「それじゃあ」

「は、はい。ありがとうございました」


 莉奈はぺこりと頭を下げた。

今日は、何も言わずに帰る事にした。

そしてこの時の俺には、一つの考えがあった。



 ♢



「ただいまー」


 俺は家のに帰ると、玄関の電気を点けた。


「あ、お兄ちゃんおかえりー」


 リビングに入ると、実の妹である瑠奈が出迎えてくれた。


 黒髪を肩にかからないくらいの所で切りそろえ、切れ目でスタイルがいい。

可愛いというよりは、美人という表現の方が正しいだろうか。

確か、瑠奈は今年で23歳になると記憶している。


 大学時代からさぞかしモテているらしいが、彼氏の話は聞いた事がない。

まあ、彼氏がいたら兄の部屋には来ないだろう。


 俺たち兄妹は二人で暮らしている。

というか、職場にここからの方が近いからという理由で瑠奈が転がり込んできたのだが。


 でも、家賃や水道光熱費は折半できるし、掃除やゴミ出しも交代制にしているのでこの生活も悪くないと思っている。


「お兄ちゃん、今日は早かったんだ」

「うん、そうだな」


 俺はいつも忙しかった為、帰宅は深夜近かった。

すっかり、その生活に慣れてしまっていたので、こんなに早く帰るのは久しぶりだ。


 とはいえ、瑠奈はもう帰っているので時刻は19時過ぎだ。

瑠奈はなかなかホワイトな企業に勤めている為、いつも定時に帰宅していた。


「瑠奈、俺さ」

「ん? どうしたの改まって」


「会社クビになった」


 俺はありのままを瑠奈に報告した。


「はぁぁぁぁ!?」


 瑠奈の叫び声が部屋に響いた。


「大きい声出すなよ。近所迷惑になる」

「クビってなんでよ? てか、これからどうするの?」


 畳みかけるように聞いてくる。


「分からん。一方的にクビにされた」

「何それ!! 私、ちょっと文句言ってくる!!」


 瑠奈はイライラしながら言った。

兄の事になのに、まるで自分の事のように怒っている。


「落ち着けって! なんでお前が俺より怒っているんだよ」


 瑠奈は軽く俺の3倍は怒っていた。


「だって、納得できないじゃん!! せっかくお兄ちゃんがプロデュースしたアイドルが人気になったばっかりだったのに」


 一緒に暮らしているので、瑠奈もそれなりに俺の仕事のことは知っている。


「でも、もっと面白い事ができそうだからいいんだよ」


 俺はすでに前の会社のことがどうでもよくなりつつあったのだった。

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