第20話 緊張のライブ
今日はテレビ局でプロデューサーをしている向井さんが来るライブ当日だった。
時刻は夕方、人通りも少し多くなってきている。
「なんか、人増えたな」
会場もいつもより少し入るお客さんが多い気がした。
あれからも、順調にSNSのフォロワーは伸びていっているので、その効果もあるのだろう。
「緊張します……」
ライブの直前になっても友梨は緊張の表情を浮かべていた。
「プロデューサーってどんな方なんですか?」
莉奈が俺に尋ねてきた。
「確か、俺の4個上の人で童顔な感じ。身構えるような相手じゃないから安心していいよ」
向井さんはどちらかといえばとっつきやすい性格をしている。
それでも、プロデューサーとしての威厳もあるので見習わなきゃいけないと思っている。
「分かりました。頑張ります!」
「うん、いつもどおりやればいいから」
そう言って、俺はメンバーをライブに送り出した。
向井さんには見やすいように関係者席を用意しておいた。
すでに会場に入ったという連絡があったので後で挨拶するとしよう。
そして、今日もWhiteのライブが始まった。
今日のライブはいつも以上の盛り上がりを見せた。
メンバーたちも気合が入っていたのだろう。
約1時間のライブは盛り上がったまま終了した。
そこからはメンバーとチェキなどを撮る時間となる。
やはり、今日の入りは多かった。
「四宮さん、お疲れ様です」
俺は会場の端に立っていると、向井さんがやって来た。
「お世話になっております。すみません、ご挨拶が遅れてしまって」
「いえいえ、お気になさらず。しかし、さすがは四宮さんが目を付けただけのことはありますね」
「ありがとうございます。こちらにどうぞ」
俺は向井さんを控え室へと案内した。
「もう少しでメンバーも戻って来ると思いますので座って待っていてください」
「ありがとうございます」
そう言って向井さんはソファーに腰を下ろした。
「にしてもよかったんですか? ユメミヤの方ではなくて」
俺も向井さんの対面に座ると言った。
「あそこは、四宮さんが居たから成り立っていたみたいなもんでしょう」
「買い被りすぎでは?」
「私は、そんなことないと思いますけどね」
そんな話をしていると、メンバーたちが控え室へと戻って来た。
「みんなお疲れ様。こちら、プロデューサーの向井さん」
「初めまして。セントレルテレビでプロデューサーをしております、向井と申します」
そう言うと、向井さんはスーツの内ポケットの中から名刺を取り出してメンバー全員に渡した。
「頂戴します」
メンバーたちは少し恐縮しながらも向井の名刺を受け取った。
「四宮さんには言ったのですが、私はまた四宮さんとご一緒したいと思い伺いました」
向井さんは本題へと切り出そうとしていた。
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