表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
159/161

最終話・「貴方と生きていきたい」

 


 ――――――一瞬、世界から全ての音が消えてしまったかのように感じた。



 今、彼は、何と言った。


 夜空に浮かぶ月を見上げての感想?


 いいえ、そんなはずないわ。

 だって彼は知っているはずだもの。その言葉に、どんな意味が込められているのか。

 そんな、逆光になっていても分かるくらい、耳まで真っ赤に染めて……。


「…………っ」


 それを理解した途端、全身が熱を持ったように熱くなった。

 だって初めてなんだもの。前世でも今世でも、こんなふうに正面から想いを伝えられたのは。


 なんで。どうして。いつから……。

 ぐるぐると、そんな思いばかりが思考を埋め尽くす。

 あらやだ、私ったらなんだか少女漫画のヒロインみたいじゃない? …………とか、なんとか、思ってみたりなんかして……。


「…………」


 分かってる、これは現実逃避だ。思考が彼から逃げている。


 それはなぜ。

 嫌だから? 困るから?


 いいえ、そんなことはないわ。


 だって、こんなにも。

 まるで心臓が壊れたみたいに、鼓動がうるさくてうるさくて、たまらないのに。


 いつまでも変わらない?


 そんなことない。

 それはきっと、いつもあたり前のように側にあったから、緩やかに訪れていた変化に気づいていなかっただけよ。


 だってほら、心はこんなにも、違う。


 あの頃は、この言葉を聞いたって、ただ微笑ましいと笑っただけで終わったのに。


 今はこんなにも、胸が熱くて苦しい。


 それはきっと、あの頃よりも、この人の存在が私の中で大きくなっていたから。


 鈍い子ね、と、母に笑われた意味をようやく知った。

 確かに私は鈍かった。ぜんぜん気づいていなかったんだから。

 この人の気持ちにも、自分の心にも。


 今まであんなにさんざん、中身は大人だ、なんて言ってきたのに。

 こんなんじゃ、セシルたちの前でお姉さんぶるなんて、できないじゃない。


「……ウェルジオ様」


 逃げては駄目。

 彼は正面からまっすぐに、自分の気持ちを伝えてくれたのだから。


 だから私も、ちゃんと向き合わなきゃ。


 アイスブルーの瞳がこちらを向く。

 至近距離で視線が絡み合い、背筋がムズムズするような、胸がざわざわするような、何とも言えない気恥ずかしさが全身を駆け巡る。


 繋がった手が熱い。

 きっと今、私の顔も、彼と同じくらい赤いのだろう。



 本来なら。

 この言葉に対する、正しい答えはひとつだ。


 だけど私は知っている。貴方がその言葉を決して喜ばないということを。


「ウェルジオ様、私……」



 だから私は、この言葉で答えを返すわ。


 月に乗せた愛の言葉へ返すには場違いの。

 けれど、貴方にだけは確かに伝わるだろう、この言葉で。



「私、貴方と――――――…………」



 貴方が嬉しいと言った言の葉を乗せて。









 私は彼に微笑んだ――――――――……。









アヴィリアの人生リセット計画。

これにて終幕!

お疲れ様でしたーーーー!!

最後までお付き合いいただき、誠に誠にありがとうございますm(_ _)mm(_ _)m



ここでさらっと告知を(笑)


『ライセット!』は書籍でも発売しております。

現在1〜2巻、好評発売中(≧▽≦)


WEB版はこれで終了となりますが、ご興味のある方はぜひぜひ店舗などで探してみてくださいませ!


書籍はWEB版をもとに加筆修正を加え、さらに書き下ろしエピソードなどもありますので、WEB版とはまた少し違ったアヴィリア達の日常を覗いていただけるかと思います。


もちろん電子書籍もございますよ(笑)


こちらが 1巻の表紙↓

https://32884.mitemin.net/挿絵(By みてみん)


こちらが 2巻の表紙になります!

https://32884.mitemin.net/i906050/挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
「貴方と生きていたい」ってもうほぼプロポーズじゃないですか!尊すぎます。
ついに答えが…!この結末をずっと待ってました! 完結お疲れ様です!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ