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短編もの

漫才「ドラマー」

作者: 忍原富臣

ボケ・ツッコミ「はいどもー! 夢見る小人ですー!」


ボケ  「はい、ということで改めまして夢見る小人こと、フェアリーです。今日はね、コンビ名か名前どっちかだけでも覚えて帰ってもらえたらなと思います!」


ツッコミ「いやいやいや……」

ボケ  「あれ、どうしたのドワーフさん」

ツッコミ「どうしたもこうしたも……、お客さんたち、コンビ名も名前も全く違うので覚えなくて大丈夫ですよ」


ボケ  「なんでだよ、結成してからずっと、俺たちは夢見る小人のフェアリーとドワーフでやってきたじゃないか!」


ツッコミ「ごめんちょっと黙ってて……。すみません、改めましてミノカルビですー、よろしくお願いしますー」


ボケ  「……」


 ボケの顔が死ぬ。


ツッコミ「おいミノ、その顔やめろって……目がイッてもうてるから……」


ボケ  「だって、ミノカルビってコンビ名はダサすぎるよー……」


ツッコミ「食べ物の名前の芸人は売れるって言いだしたお前が決めたやん!」


ボケ  「飽きたんだよ。みなまで言わせるな」


 ボケに睨まれるツッコミ。


ツッコミ「コンビ名に飽きたとか言うなって……」


 ボケの顔が復活。


ボケ  「はい! ということで今日から夢見る小人ですー!」

ツッコミ「待て、さっきからそのコンビ名なんなん!?」

ボケ  「夢見る小人だけど」

ツッコミ「なに、その夢見る小人って。俺らおっさんな上に普通の人間やで。しかもお前、自分のことフェアリーって、頭おかしいんちゃうか」


ボケ  「いいじゃん、お前にドワーフ譲ってやったじゃん」

ツッコミ「え、俺って譲られてドワーフなん? もっと他にあったやろ!」


ボケ  「落ち着け、ドワーフ。そのくだりはもういい」

ツッコミ「お前から振っといてなんやねん! ちょっと待――」


ボケ  「そうそうお客さん、こいつね、なりたい職業があるんですよ」


ツッコミ「話の振りかた雑すぎん? 漫才下手やって思われるやん」


ボケ  「どなたか存じてます?」


 ボケが客席を見ながら一点を見つめて拍手。


ボケ  「そうなんですよ! こいつドラマーになりたいんですよ」


ツッコミ「無視すんな! っていうか嘘のコンビ名を伝えたあとにホンマのこと言うな! ごっちゃなるやろ!」


ボケ  「だから、今日はほら、俺がプロデューサーやってやるから、お前は憧れのドラマーを演じな」


 ボケのキメ顔。


ツッコミ「え? いいのか?」

ボケ  「もちろんだよ、カルビ」

ツッコミ「あ、ありがとうな……、ミノ」

ボケ  「じゃ、設定はライブ終わりのお前に声をかけるプロデューサーってことでいいな?」


ツッコミ「分かった!」


 一旦ツッコミが退場。すぐに汗を拭いながら舞台に登場。


ツッコミ「はぁ~、今日のライブも最高だったぜ」

ボケ  「ねぇ、ちょっと君」


 ボケのキメ顔。


ツッコミ「は、はい」

ボケ  「君のドラム、輝いてたよ」

ツッコミ「あ、ありがとうございます」

ボケ  「どうだい、一緒に夢を見ないか?」

ツッコミ「夢……、ということはあなたは!」

ボケ  「ああ、そうだ。俺は独りじゃ眠れないんだ。一緒に寝てくれ」

ツッコミ「ただの寂しがり屋じゃねえか!」

ボケ  「軽い不眠症なんだ、助けてくれ」

ツッコミ「お大事に! ……もう! ちゃんとしてくれよ!」

ボケ  「すまんすまん、次はちゃんとやるよ」


 ボケのキメ顔。


ツッコミ「そのキメ顔、腹立つわぁ……」


 ツッコミが汗を拭う。


ツッコミ「はぁ~、今日のライブも最高だったぜ」

ボケ  「ねぇ、ちょっと君」

ツッコミ「は、はい」

ボケ  「君のドラム、輝いてたよ、どうだい、一緒に夢を見ないか?」

ツッコミ「夢を見ないかって……もしかしてあなたは!」

ボケ  「ああ、そうだ。誰かと一緒に寝て同じ夢が見れるか試しているんだ」

ツッコミ「それ、俺じゃなくてよくね!? ってかその実験なに!?」

ボケ  「そう、君は夢見るドラマー、私は同じ夢を見たいドリーマー」


 ボケのキメ顔イン。


ツッコミ「うぜぇ! 果てしなくうぜぇ!」

ボケ  「ごめんごめん♪ 次で決めるからさ♪」

ツッコミ「あんまり次で決めるとか言うな……ハードル上がるだろ……」


 ツッコミが汗を拭う。


ツッコミ「はぁ~、今日のライブも最高だったぜ」

ボケ  「ねぇ、ちょっと君」

ツッコミ「は、はい」

ボケ  「君のドラム、輝いてたよ」

ツッコミ「あ、ありがとうございます」

ボケ  「そこでなんだが……。どうだい、私の元で働かないか?」


 ボケのキメ顔。


ツッコミ「え……失礼ですが、あなたは?」

ボケ  「私はしがない音楽プロデューサーさ」

ツッコミ「音楽プロデューサー……ってことは!」

ボケ  「ああ、そうだ。君をスカウトしたい」

ツッコミ「え、お、俺でいいんですか!」

ボケ  「ああ、君が丁度いい。いい感じに年を取っていて、若いのか老いているのか分からないくらいの感じが、ほんとに丁度いい」

ツッコミ「ん? それってどういう――」

ボケ  「さぁ、ミュージックビデオのドワーフ役として出演してくれ」

ツッコミ「結局ドワーフかい! やめさしてもらうわ!」


ボケ・ツッコミ「どうも、ありがとうございました!」

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― 新着の感想 ―
[良い点] は、はい。漫才ですね。 [気になる点] 上手い事小説に取り込めれば良いスパイスになりそう? [一言] 鍵かっこの位置が揃ってると読みやすいのか。なるほど。 キャラ名を味方3文字に統一する…
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