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終わり
ビショはぼんやりと、何時間もそこに佇んでいました。夜は静かにあけてしまい、太陽が地上を照らしています。周りを見渡すと、空にはあのメイプと同じ蝶が、円を描くように空に舞って、未だかつて見たことのない、天国にいるかのような美しさです。突然、ビショと名付けられた猫は、群れの中に思い切り右手を振り上げて、一筋、切り裂きました。
ポタポタと、メイプと同じ模様の蝶が一匹ずつ、羽や頭を裂かれて落ちてきます。息も絶え絶えに、蝶はうごめいて、羽がないのにも飛び立とうとするものまでありました。ビショは落ちてうごめいている蝶を見つめていました。ですが、メイプが落ちたときのような、あの感覚にはなりません。ビショはこれはメイプでしか得られないもので、二度と彼にやってくることはないのだと、ビショが大事なものを手に入れて、二度と失ったこと、それはキラキラと胸に寄り添うようにしていても、メイプが羽ばたいていた時のように、輝き燃えることはないものでした。
ビショはその後、二度とその輝きを手に入れられませんでした。